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2020年08月02日09:05

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その落語家、住所不定。[読書日記789]

題名:その落語家、住所不定。
著者:立川 こしら(たてかわ・こしら)
出版:光文社新書
価格:760円+税(2019年1月 初版1版発行)
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落語家:立川こしら氏のエッセイ(?)です。
著者の特徴は、書名のとおり住所不定なこと。
「自宅」を持たない生活スタイルを築きあげたそうです。

表紙裏の惹句を引用します。

“私にとってのタンスはアマゾンだ。必要なモノだけ注文して、使ったら捨てる。
 洗濯だってほとんどしない。定住してるわけではないので荷物は最小限だ。次
 に泊まる予定のホテルに、アマゾンから衣服が届いている。今日までの服はそこ
 に脱ぎ捨てて、新たなシャツで次の仕事場に向かうのだ。アマゾンタンスもこな
 れてくると、新しい使い方が見えてくる。
 下着はこまめに買うことになる。ならば大量に買えばいい。探せば中国の業者が
 安く出していることがある。この時にまとめ買いをして、アマゾンの倉庫に全て
 の在庫を送っておくのだ。そしてアマゾンに売り物として出品する。買った時の
 倍ぐらいの値付けでいいだろう。もう、こんなのは適当である。この下着を自分
 で買うのだ。ついでに誰かが買ってくれるかもしれない”

目次を紹介します。

 はじめに
 第1章 持たない落語家になるまで
 第2章 持たない落語家の1週間
 第3章 実践・家もモノも持たない生活
 第4章 お金について考える
 第5章 持たない落語家の仕事論
 第6章 ITと落語
 第7章 落語について
 おまけ こしらのはんせい
 あとがき

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本書から頷いた点と驚いた点を挙げます。
まず、頷いた点から3つ。

【はじめに】から、今の日本に生まれた特権について。
“お客さんが来てくれて、私の噺にお金を払ってくれる。日本円じゃない時もあれば、現物支給の時もある。
 私の噺や存在に価値があると思ってくれる人がいさえすれば、それだけで生きていけるのが日本に生まれた特権だ”(6p)

【第3章 実践・家もモノも持たない生活】から、おしゃれなコートは不要という話。
“ショーウィンドウに並ぶおしゃれなコートに、私は全く魅力を感じない。もちろん、きらびやかな都会の一等地にかっこよく並んでいるのは、私も認める。
 しかし、そのコートが一番似合うのは私ではなく、マネキンだ。
 耐久性、防寒性、動きやすさ。
 私が(防寒着に)求めるのはこの3点。そしてたどり着いたのが、冷凍庫作業用ブルゾンだ”(63p)

【第5章 持たない落語家の仕事論】から、人付き合いと幸福度について。
“人付き合いは幸福度を簡単に左右してしまう、とても大きな要因だ。デメリットがある人と付き合う必要はない。そんな人は、自分の人生のモブキャラと思うくらいでいいのだ。主人公とモブキャラの深い絡みは不必要だろう。
 そりゃ、どんな人でも良い面と悪い面はある。私が最重視するのは、その悪い面だ。ここを受け入れられない人とは付き合わない。ドンドン切り捨てるのだ。なんと言っても私の人生の主人公は私なのだから”(130p)

そして、驚いた点を3つ。

【第1章 持たない落語家になるまで】から、著者が不要品の引取業(そして集まったモノはネットで売る)をしていた頃の話。
“(他所から不要品を引き取って部屋に置ききれなくなったので)まずは、部屋の床面積を2倍にする工事に着手する。(略)
 部屋を上下に分けるのだ。
 四隅に柱を立てて、部屋全体の大きなテーブルを作る。
 直立で過ごすのは不可能になるが、考えてみてもらいたい。部屋の中で直立でいる時間はそう長くはないのだ。寝る、座る、這う。これが私の部屋での過ごし方のスタイルだった”(35p)

【第2章 持たない落語家の1週間】から、アマゾンの利用方法について。
“在庫はアマゾンの倉庫(正確にはフルフィルメントセンター)に置いておけばいい。そしてそこから必要なだけ引き出せばいいのだ(69ページで後述)。
 陳列販売と在庫管理を同時にこなせるのは、通販の発達と、日本の配送システムが優秀だからこそだろう”(46p)

【第7章 落語について】から、どのようにしてオンリーワンを目指したかという話。
“プログラムにしても、ネットワークにしても、ハードウェアにしても、どのジャンルにも専門家はいる。
 私は専門家と名乗れる程の知識も経験もない。しかし、ここに「落語家で」という肩書きが付くと、私にしかできないジャンルが誕生するのだ。
 ナンバーワンを目指さなくても、オンリーワンを追求すればナンバーワンになれる”(174p)

新書の帯に師匠の立川志らくが次のような推薦文を書いています。
“変な弟子だが、やろうとしている事は、まさに現代である”

そんな生き方もあるのか、と感じ入った本でした(笑)。

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立川 こしら(たてかわ・こしら)
落語家。落語立川流真打。1975年千葉県東金市生まれ。96年、立川志らくに弟子入り。
2012年、真打昇進。落語の他、ラジオパーソナリティー、WEB製作、オリジナルグッズのデザイン、伊豆で養蜂・無農薬農業など、活動は多ジャンルに渡る。
17年より海外公演開始(開催地:オーストラリア、ニュージーランド、バルセロナ、ヒューストン、ニューヨーク、メキシコ)。avexよりCDを5枚発売中。
「高速落語R‐30(Vol.1〜3)」「真打昇進記念盤 高速落語 大ネタ十」「死神」。

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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年08月04日 07:28
    究極の断捨離生活ですね。このような生活が可能なのも、現代だから
    できるのかもしれません。宵越しの金をもたないのともちょっと違います。

    立川流の落語家たちは、談志を慕って集まった人たちで、独特の個性派
    ぞろいで、文章が上手い人も多く、不思議な集団です(^^♪
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年08月04日 21:31
    >立川流の落語家たちは、談志を慕って集まった人たちで、独特の個性派
    >ぞろいで、文章が上手い人も多く、不思議な集団です(^^♪
    おっしゃるとおりです。
    立川談春の「赤めだか」は友人が絶賛していました。
    こしらの師匠、志らくも落語に関する本を書いていますね。
    ヤマヤマさんのコメントを拝見して、読みたくなりました。

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