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2020年03月29日18:02

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コスパ飯[読書日記771]

題名:コスパ飯
著者:成毛 眞(なるけ・まこと)
出版:新潮新書
価格:1600円+税(2014年3月 初版発行)
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元日本マイクロソフトの社長:成毛眞さんの美食に関する本です。

表紙裏の惹句には、次のようにあります。
“ある時は最高の「牛めし」を決めるべく数十種を食べ比べ、またある時は美味しい
 サラダのコツを求めて評判のオーベルジュに足を運ぶ。東にいい食材を探し、西で
 名物料理の味を試す。「うまさ」は前提条件。その上でどれだけ投資効率が良いか、
 つまりコスパを追求。ネットを駆使して情報や現物を集め、想像力全開で工夫も
 凝らす。持ち前の知的好奇心で数々の「うまい!」に辿りついた軌跡を語る初めて
 の「食」の本”
これだけ読むと、お金持ちしかできない美食談義のようですが、内容は違いました。

目次を紹介しましょう。
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 はじめに
 第一章 値段・流行りと味は比例するのか?
 第二章 ベスト・オブ・牛めし――気になった食にはとことんこだわる
 第三章 私の食遍歴――「ピンからキリまで」食べてきた
 第四章 日本の家庭料理はどこがすごいのか?
 第五章 備えて損はない調味料は何か?――これさえあればもっとうまい!
 第六章 逆張り美食論
 食にまつわるガイドブック

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印象に残った文章を引用します。

【第一章 値段・流行りと味は比例するのか?】から、うまい食べ物との出会い方について。
“うまいものに出会うには、まず、とにかく数を試してうまいものに巡り合うしかない。(略)
 ほかにも方法がある。うまいものを知っている人の、その知識を借りるのだ。(略)
 そこで歌舞伎好きの私が参考にしているのは、歌舞伎役者である。歌舞伎役者は食べ物のプロではないが、しかし、うまいものをよく知っている。(略)
 例えば、歌舞伎座から徒歩30秒ほどの場所にある『YOU』という喫茶店のオムライス”(29p)

【第二章 ベスト・オブ・牛めし――気になった食にはとことんこだわる】から。
“うまい肉の弁当の筆頭が柿安の『黒毛和牛めし』であるならば、魚介の筆頭は『品川貝づくし』である。
 あまり積極的に貝を食べようとしない私も魅了する力が『品川貝づくし』にはある。茶飯の上にはハマグリ、アサリ、しじみ、貝柱、ホタテがぎっしりとしかし美しく並んでいる。東京駅と品川駅で買える”(52p)

【第三章 私の食遍歴――「ピンからキリまで」食べてきた】から、札幌育ちの著者が思う札幌ラーメンについて。
“北海道とバターというと、ラーメン好きは必ずこう反応する。
 「確かに、札幌ラーメンにはコーンとバターが乗ってますねえ。実に味噌味のスープと合います」
 しかし勘違いしてはいけない。ブームになる前の札幌ラーメンには、バターもコーンも乗っていなかった。
 それどころか。味噌味ラーメンですらなかった。
 札幌で生まれ育った者にとって、醬油味のものが札幌ラーメンだ。少なくとも私の記憶ではそうである”(72p)

【第五章 備えて損はない調味料は何か?――これさえあればもっとうまい!】から、調味料の価格と価値について。
“さきほど紹介した我が家の定番ホワイトバルサミコは、500ミリリットルで1200円台だ。これを高いと感じる人はいるだろうか。
 ドレッシングに10ミリリットル使うとして、50回分。1回あたり、24円だ。
 では、おいしいイタリアン・レストランでおいしいサラダを食べようとしたら、いくらかかるだろうか。
 そしてその店に、そのサラダを食べるためだけに毎週通ったら、いったいいくら必要になるだろうか”(145p)

【食にまつわるガイドブック】の『酒肴日和「そうざい」エッセイ選集』(池波正太郎著)を紹介した一文から。
“男子厨房に入らずとは、江戸時代半ばから言われはじめたことであり、徳川家康や伊達政宗は自ら台所に入り、客人に出す料理を吟味したという。
 現代の男子としては味わうだけでなく、本書を手に客人や家族に自作した料理を振る舞いたいものだ”(186p)

最後に【第四章 日本の家庭料理はどこがすごいのか?】から、2つ紹介します。
1)
“もしも「インスタント食品はまずい」という先入観を持っているのなら、それは即行で上書きすべき古い記憶だ。
 たとえば、『セブン‐イレブン』のプライベートブランド、『セブンプレミアム』の担々麺。
 冷凍した状態で売られていて、電子レンジで温めれば調理完了なのだが、丼に盛られた状態で出てきたら、冷凍食品と気付く人はいないだろう。
 そんじょそこらのものよりもずっとうまい。つけ麺(具付き)も同様だ”(127p)

2)
“食品加工の技術となると、この企業に触れないわけにはいかない。『アマノフーズ』ブランドのフリーズドライ食品でおなじみの『天野実業』だ。(略)
 『アマノフーズ』のフリーズドライ食品は、我々の期待の遥か上をいっている。たとえば、親子丼の素や、カレー、クリームパスタなど、「そんなものまで」と言いたくなるものにも挑戦していて、まずそれに驚かされるのだが、食べるとまた驚く。ことごとくうまいのだ”(128p)

さっそく、『セブンプレミアム』の担々麺と 『アマノフーズ』のカレーを買ってきたいと思います(笑)。

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成毛 眞(なるけ・まこと)
1955(昭和30)年北海道生まれ。中央大学卒。
自動車部品メーカー等を経て日本マイクロソフト株式会社入社、91年同社代表取締役社長。2000年に退職後、インスパイア設立。
早稲田大学客員教授ほか書評サイト「HONZ」代表を務める。
著書に『これが「買い」だ』等。

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