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2020年02月23日19:50

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なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか? [読書日記766]

題名:なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか? 世界を旅してビジネスを創る生き方
著者:小林 邦宏(こばやし・くにひろ)
出版:幻冬舎
価格:800円+税(2019年12月 第1刷発行)
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面白いタイトルに惹かれて読みました。
著者は中小企業の強みの強みであるフットワークの軽さを活かして、“僕がビジネスの種を見つけに行く先の傾向として挙げられるのは、ライバル商社が行かないような「めんどくさい、危ない、遠い国」”(27〜28p)と書いています。

表紙裏の惹句を引用します。
“チャンスの眠る発展途上国やへき地のビジネス的な情報というのは、
 これだけインターネットが発達した世の中においても、
 ネット検索ではほとんど出てきません。
 とにかく現地に行って、自分の足を使い、
 たくさんの人に声を掛けて話を聞くことで、商材の具体的な情報が
 徐々に立ち現れてきます。
 「じゃあ、コレやってみる?」と、想像もしなかったビジネスが
 浮き上がってくるのです。
 本書では、僕が世界各国でビジネスの種を探し、
 その国ならではの文化や習慣の違いといった壁を乗り越えて、
 ビジネスを広げてきた軌跡をお伝えします”

目次は次のとおりです。
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はじめに
[第1章]なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?
     大手企業が手を出さない商材を買い付ける理由
[第2章]現地でのヒラメキをその場でビジネス化
     東大と財閥系商社を経て辿り着いた「フリーランス商社マン」という仕事
[第3章]100ヵ国にある100通りの商習慣
     日本の「非常識」にこそビジネスチャンスがある
[第4章]香港人投資家からチリの漁師、ケニアの農場主まで
     人と人をつないでビジネスを創ってきた極意
[第5章]無尽蔵の好奇心で世界を旅してビジネスを創る
おわりに
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印象に残った個所を各章から紹介します。

【[第1章]なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?】から、日本の有機農家野菜を輸出する事業について。
“ここまで述べてきた僕のビジネスは、輸入業ばかりですが、そのほかに日本の商材を海外で販売する事業も行っています。(略)
 タイという国の経済がいかに勢いがあるか、僕は肌で感じていました。今後、富裕層がもっと増えれば、有機野菜に対するニーズもさらに高まる……。
 僕はそこにビジネスチャンスを感じました。
 日本に戻り、国内の有機野菜の市場を調べてみると、タイのような勢いはなく、スーパーの有機野菜のコーナーも狭いものでした。生産者である有機農家に話を聞くと、手塩に掛けた野菜をどこに売ればいいのか、悩んでいる人が多くいました。(略)
 安心できるものを食べたい、タイの富裕層。
 売り先に悩む、日本の有機農家。
 ひょっとしたらこの二つを、僕がつなげられるのではないか”(57〜60p)

【[第2章]現地でのヒラメキをその場でビジネス化】から、中小企業の強みについて。
“中小企業の強みの一つは、フットワークの軽さです。
 経営者の判断で、どんどん新しい事業にチャレンジできます。(略)
 日本の中小企業の経営者は、とてもまじめな人が多く、畑違いのビジネスに手を出すようなことは、あまりしないと思います。偶然の出会いに身を委ねたりもせず、事業計画どおりに物事を進めていきがちです。
 もちろんそれが悪いわけではないのですが、現代ではビジネスの環境が変化するスピードが速く、今は順調でも3年後、5年後にはどうなっているか、誰にも分かりません。立案時にはすばらしいと思えた中長期計画も、市場の状況一つで一瞬にして陳腐化するようなことも、日常茶飯事です。
 それであれば、最初から「計画は変わって当たり前」と考え、事業計画に縛られず、自由にビジネスをつくる気持ちでいたほうが、より柔軟にチャンスをつかめます”(88p)

【[第3章]100ヵ国にある100通りの商習慣】から、ベトナムの商習慣について。
“商習慣でいうと、特徴があるのはベトナムです。
 僕の経験上、ベトナム人のパートナーは、とにかく逃げ足が速いのが困りどころです。
 クレームを入れ用とした電話した段階ですでに会社からいなくなり、誰もその行方を知らない、というケースが本当にしょっちゅう発生します。
 とはいえ、行方不明になったわけではなく、自ら姿をくらまし、ほとぼりが冷めるまで連絡を絶つのです。そして、数ヵ月後に突然事務所に現れ、何事もなかったかのようににこにこしている……それがベトナム人です”(99p)

【[第4章]香港人投資家からチリの漁師、ケニアの農場主まで人と人をつないでビジネスを創ってきた極意】から、現地のパートナーを選ぶ基準について。
“経営者が人格者である会社のほうが、明らかに伸びしろがあると言えます。
 パートナーとともに成長できるというのは、事業の一つの醍醐味であると思います。
 10人中7人に自分を合わせて仕事をするより、自分とぴったり合う3人と仕事したほうが、最終的には成功する。僕はそう考えています。
 その3人を選ぶ基準が、リスペクトできるかどうかなのです”(156p)

【[第5章]無尽蔵の好奇心で世界を旅してビジネスを創る】から、「失敗を恐れない」精神について。
“初期段階でのトラブルは、むしろいち早くビジネスを軌道に乗せるための改善のチャンスと言えます。
 そしてまた、一度大きなトラブルが起きると、相手の本質が見えてきます。
 ミスを認め、真摯に対応するのか。現実的な互いの落としどころを探ろうとするのか。あくまで開き直り、責任を回避しようとするのか。逃げを打って連絡が途絶えるのか……。
 そうした対応に、国民性や商習慣、そしてパートナーの人間力が表れます”(174p)

私がこれから、商社を興すことはありませんが(笑)、好奇心を満たされた本でした。

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小林 邦宏(こばやし・くにひろ)
東京大学卒業後、住友商事株式会社の情報産業部門に入るも、世界を旅しながら仕事をするという夢が諦めきれず、28歳で商社を企業。花、水産物、オイルなど、さまざまな商品の卸売りを始める。
中国などアジアを中心にビジネスをしていたが、「中小企業は大手と同じことをやっていては生き残れない」と考え、南米、アフリカ、東欧、中近東など、「人が行きたがらない場所」に行って、知られていないニッチな商材を見つけ、取引するようになる。
2018年6月と2019年7月にはNHK総合の人気紀行番組『世界は欲しいモノにあふれている』に、「世界の花屋」ブランドのチーフバイヤーとして2度登場。大好評を博した。
その他、NHK総合「あさイチ」への出演や、ラジオ局のゲストコメンテーター、講演業など、幅広く活躍中。

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