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2020年02月16日21:35

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見抜く力 [読書日記765]

題名:見抜く力 夢を叶えるコーチング
著者:平井 伯昌(ひらい・のりまさ)
出版:幻冬舎新書
価格:720円+税(2008年11月 第1刷発行)
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競泳の北島康介選手のコーチとして有名になった、平井 伯昌さんのコーチングに関する本(2008年刊行)です。

目次を紹介します。
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 まえがき
 第一章 五輪の栄光
 第二章 選手から指導者の道へ
 第三章 見抜く力
 第四章 人を育てる
 第五章 水を究める
 第六章 夢を叶える
 あとがき
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印象に残ったところを引用しましょう。

【第一章 五輪の栄光】《初めての涙》から。
“背泳ぎの中村礼子の場合は、康介とは違うコーチングが必要だった。(略)
 康介の場合、レース展開を説明し、ライバルの話をして意識させた上で「勝つために、おまえのやることは、これだ」と指示したほうがいい結果につながる。康介には、私が思っていることを100言っても、それを全て受け止められるだけの心の強さがある。
 だが礼子は、ライバルの話をすると意識しすぎてしまい、本来の自分の泳ぎができなくなる傾向がある。100メートルの決勝でも、隣の選手を見てあわててしまったのだ”(20p)

【第二章 選手から指導者の道へ】《周りもその気にさせる》から。
“オリンピックをめざそうとしたときに、最後に必要になるのは、絶対に諦めない精神的な強さだ。そうした要素をちゃんと持っていて、しかも「こいつだったら!」と自分が思えるような選手でなければならない。そう考えていた。
 そんな観点から、私は北島康介を推した。すると、他のコーチたちから予想していたような、疑問が呈された。
 「なんで、北島なんだ?」
 「あんなに身体が硬いんじゃ、記録もそう伸びないんじゃないの?」
 だが、私には確信があった。康介は練習では決して強くないが、試合になると目つきが変わり、もの凄い集中力を発揮する。練習のときとは別人のように強くなるのだ”(56p)

【第三章 見抜く力】《やる気は目で見分けろ》から。
“「目力(めぢから)」といったらいいだろうか。
 選手を指導するとき、やる気のあるときは純粋な目をしたり、ランランと輝いているときもあるし、澱んでいるなと思うときもある。
 目は、選手のやる気を見分ける重要な判断基準でになるのだ。(略)
 たとえばこちらが何かアドバイスしたときに、グッと睨んできたりする選手もいる。
 そんな「目力」のある選手に出会ったときは、「こいつ、やる気があるなぁ」と感じるのである。(略)
 選手というのは不思議なもので、本当にやる気のあるときは目の輝きが違っている。
 徐々に伸びるのではなく、一瞬でグンと伸びるときがあるのだ”(77p〜79p)

【第四章 人を育てる】《「頑張れ」という言葉の怖さ》から。
“北京オリンピックで「加油!(ジャーヨウ)」という言葉をよく耳にした。
 中国語で「頑張れ!」という意味である。
 だが、外国のコーチがよく使うのは、「頑張れ」に相当する言葉ではなくて、「グッドラック」か「エンジョイ」と言うことのほうが多い。(略)
 あるレベルまで達したら、「頑張る」のは当たり前で、「頑張れ」と人から言われることではなくなる。むしろ、どう「頑張る」かということが問題なのだ”(112p)

北京オリンピックで金メダルを獲った北島選手が表彰台から戻ったあと、自分の金メダルをはずして、平井コーチの首にかけた瞬間をテレビで観ていました。
選手に、そこまで惚れられる指導者が、理想のコーチなのだと思います。

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平井 伯昌(ひらい・のりまさ)
1963年、東京都生まれ。82年、早稲田大学社会科学部へ入学。
在学中に選手からマネージャーへ転向。卒業後、東京スイミングセンターに入社。96年から北島康介選手の指導に当たる。
2004年、アテネオリンピックで北島選手に金メダルをもたらし、「金メダリストを育てる」という自身の夢をも叶える。
08年、北京オリンピックの水泳日本代表コーチに就任。北島選手にオリンピック二大会連続の二種目金メダルを、中島礼子選手に二大会連続の銅メダルをもたらす。
現在、東京スイミングセンターコーチの他、日本水泳連盟・競泳委員。12年のロンドンオリンピックに向け、競泳日本代表のヘッドコーチに就任。
著書に『世界にただ一人の君へ』がある。

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