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2020年01月05日16:50

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世界はデザインでできている[読書日記759]

題名:世界はデザインでできている
著者:秋山 具義(あきやま・ぐぎ)
出版:ちくまプリマー新書
価格:760円[+税](2019年11月 初版第1刷発行)
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デザイナー、アートディレクターの秋山具義さんのデザイン論です。
秋山さんはポスターやパッケージ等の二次元のデザインにとどまらず、立体のキャラクターデザイン等(三次元)のデザインもされる、ユニークな方です。

本の帯の糸井重里さんのコピーを引用します。
“すべてが
 イタズラの延長のようにも見える。
 だけど、効く。”

目次を紹介します。
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 はじめに
 第1章 デザインの距離
 第2章 デザインの作戦
 第3章 デザインの力
 第4章 デザインの実技
 第5章 デザインの時間
 第6章 デザインの人柄
 おわりに デザインの未来

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印象に残ったところを5つ抜き書きします。

1.【第1章 デザインの距離】から、地下鉄の中吊りポスターの話。
“首都圏では山手線や中央線などの地上を走る電車よりも地下鉄の方が広告料金が高かったりします。
 なぜかというと、地上を走っていれば乗客は車内だけでなく窓の外の風景にも目がいきます。移り変わっていく景色はそれだけで見ていて楽しいものです。
 地下鉄では地下空間を走っているので外の風景を見ることができません。自然と車内を見ることになります。
 つまり、地下鉄の方が広告としての効果が高いということです”(17p)

2.【第1章 デザインの距離】から、スマホがアイコンのデザインに与えた影響について。
“スマホのアイコンは□(正方形)で設定されています。
 そのことによって、その形に収まるデザインが求められるようになりました。実際、企業からのオーダーは「正方形に収まるデザインにしてほしい」という内容が増えています。
 CI(コーポレート・アイデンティティ)といって、企業戦略としてその企業文化や特色を統一されたイメージやデザイン、またはメッセージによって発信しています。
 今はスマホのアプリのアイコンにも使われるようになったので、正方形のデザインが多くなりました。
 横長では収まりきらなくなったので、文字組を一段組から二段組にしたりして多くの企業のCIが新しいデザインに変わってきています”(33p)

3.【第3章 デザインの力】から、日本と海外の桃のイラストの違いについて。
“日本と海外では「桃」に対する見せ方が違うという話を以前ネットで見ました。
 桃のイラストを見ていると、そのデザインの違いに気付きます。
 日本人がよく見る桃のイラストは、葉っぱが下にあります。海外では逆で、葉っぱが上についています。(略)
 なぜなのでしょうか?

 答えは、日本人が「桃太郎」を見て育ったから。
 僕たちがイメージする桃は、おばあさんが選択している川に、どんぶらこどんぶらこと流れてきたあの桃を無意識の中で思い描いているのです”(81p)

4.【第5章 デザインの時間】から、アイデアが生まれやすい瞬間について。
“僕がアイデアを思いつく瞬間は乗り物に乗っている時が多いです。人によっては、「トイレの便座に座っている時」や「お風呂に入っている時」アイデアが浮かぶということもあるようです。
 僕の場合は、乗り物の中でもバスが一番アイデアが浮かびやすいということに気づきました。ベストポジションはバスの後部、歩道側の窓側の席です。
 ぼーっと窓の外の風景を見ていると、ランダムに情報が入ってきます。
 「こんな名前の店があるんだ」「あのビルボード広告のタレントは最近よく見るな」「あの女性の服の組み合わせ、いいな」「あのレストランのロゴ、おもしろいな」
 窓から見える風景と自分がそれまで考えていたことが結びついて、それが新しいアイデアになったりします”(108p)

5.【第6章 デザインの人柄】から "自分らしさ" の見つけ方について。
“デザインは基本的に無記名です。「作:○○」と書かれているわけではありません。
 だからこそ、 "自分らしさ" を含んでいた方がいい。(略)
  "自分らしさ" というのは自然に出てくるものももちろんありますが、自分自身を振り返ってみてそこから自分のスタイルを発見するということもある。
  "自分らしさ" を見つけるために、自分が育ってきたものや好きなものを振り返ること。
 それが自分のデザインに生きてくる”(126p)

私も以前、デザインの勉強をしていたので、最新のデザイン論やデザインの考え方に刺激を受けました。

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秋山 具義(あきやま・ぐぎ)
1966年 東京秋葉原生まれ。日本大学藝術学部卒業。
アートディレクター。日本大学藝術学部デザイン学科客員教授。
広告(PARCO,TOYOTAほか)、マルちゃん正麺のパッケージデザインやAKB48のヘビーローテーションCDジャケットデザインなどを手掛け、グラフィックデザインを中心に第一線で活躍。
「ほぼ日刊イトイ新聞」のおさるのキャラクターデザインほか、エディトリアルから映像、ネットまで様々な分野でデザインしている。その他、食べログの「グルメ著名人」としての活動や雑誌連載、飲食店のプロデュースなど食に関する仕事も。
著書に『ファストアイデア25「発想スイッチ」で脳を切りかえる』(二見書房)、『#ナットウフ朝食』(TWJ books)など。

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