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2019年12月15日08:56

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天才と発達障害[読書日記756]

題名:天才と発達障害
著者:岩波 明(いわなみ・あきら)
出版:文春新書
価格:820円+税(2019年4月 第1刷発行)
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精神科医の岩波さんが書かれた本です。
天才と評される人たちと発達障害の関連を解き明かしてくれます。

表紙裏の惹句を書き出します。
“モーツァルト、アインシュタイン、ヴィトゲンシュタイン、
 南方熊楠――人類史を変えた超天才たちの精神病理を解析
 すると、発達障害の存在が独創のファクターだったことが
 見えてくる。「空気が読めない」人々をいかに生かすか?
 ……ヒントは本書に!”

目次を紹介しましょう。
 はじめに 天才と狂気
 第一章 独創と多動のADHD
 第二章 「空気が読めない」ASDの天才たち
 第三章 創造の謎と「トリックスター」
 第四章 うつに愛された才能
 第五章 統合失調症の創造と破壊
 第六章 誰が才能を殺すのか?

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印象に残った文章を引用します。
【第一章 独創と多動のADHD】から、野口英世の分析。
“過剰なまでの集中力、衝動的な浪費癖と生活力のなさは、英世のADHD的な特性を示唆するものである。
 日本が世界に誇る数々の医学研究の業績は、このような特性と関連が大きかったのである”(28p)

【第二章 「空気が読めない」ASDの天才たち】から、「裸の大将」山下清の分析。
“清には、明らかにサヴァン症候群の特性が認められた。一度目にしただけの風景でも、ちぎり絵に忠実に再現することができた。(略)
 清は放浪中、一枚のスケッチも描かず、メモもとらなかった。
 しかしその驚異的な記憶力によって、施設に帰って数ヵ月たってからでも風景の細かい部分まで再現することができた”(66〜67p)
ちなみに、“サヴァン症候群”とは“「数十年も昔(あるいは未来)の特定の日の曜日を言える」「相当の桁数の複雑な暗算ができる」「写真を少し見ただけで、細部まにわたるまで正確に描き起こすことができる」(61p)など能力を指すそうです。
映画『レインマン』で有名になりましたね。

【第三章 創造の謎と「トリックスター」】から、トリックスターの定義について。
“トリックスターとはもともと文化人類学の用語であり、米国の文化人類学者ポール・ラディンがアメリカ先住民の民話の研究から命名したものである。
 本来の意味は「道化」であるが、転じて、俗なる世界と聖なる彼方をつなぐもの、あるいはこの世界の秩序を一瞬にして
 変化させる心理的な「装置」を意味するものとして使われている”(119p)

【第四章 うつに愛された才能】から、ウィンストン・チャーチルの分析。
“(英国の首相を務めた)チャーチルの性格はいわゆる循環気質に属するものだった。彼は積極的、行動的で、困難も笑顔で乗り切ってしまう豪放さを持っていた。
 多くの友人、知人から慕われる一方、自分の意見に固執する傾向があり、頑固で怒りっぽかった。
 政敵に対しては徹底して戦い妥協することはなかったが、謀略を働くことは決してなかった”(139p)

【第五章 統合失調症の創造と破壊】から、中原中也の分析。
“中也の病像は急性の幻覚妄想状態である。いったん改善がみられているが、数年後に再発した。
 このような精神症状がみられる疾患として、2つの可能性があげられる。
 第一に考えられるのが、統合失調症である。統合失調症は幻覚や妄想を主な症状とし、次第に進行していくことが一般的な特徴である。
 第二の可能性として、なんらかの脳の器質的な疾患があげられる。中枢神経系の感染症や腫瘍、あるいは血管障害などが原因でもこのような症状を示すことがある”(216p)

【第六章 誰が才能を殺すのか?】から、自尊感情が低い日本の子供について。
“日本社会における子供の教育の問題は、深刻さを増している。
 学校という小さな閉鎖社会の許容度は、ますます狭いものとなっているからだ。これは発達障害の特性を持つ子供において、特に顕著である。
 安定した対人関係が持てない子供や、突飛な行動を繰り返す子供は、「変わった子」とレッテルを貼られ、教師からも周囲からも排除の対象となりやすい。
 このため発達障害の特性を持つ子供は、優秀な能力を持っていても、いじめの被害者となりやすく不登校の比率が高い”(222p)

実在の天才だけでなく、架空の人物(シャーロック・ホームズなど)も俎上に乗せて評論する、面白い本でした。

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岩波 明(いわなみ・あきら)
昭和大学医学部精神医学講座主任教授(医学博士)。
1959年、神奈川県生まれ。東京大学医学部卒業後、都立松沢病院などで臨床経験を積む。
東京大学医学部精神医学教室助教授、埼玉医科大学精神医学教室准教授などを経て、2012年より現職。
2015年より同大学附属烏山病院長を兼任、ADHD専門外来を担当。
精神疾患の認知機能障害、発達障害の臨床研究などを主な研究分野としている。
著書に『狂気という隣人 精神科医の現場報告』「心に狂いが生じるとき 精神科医の症例報告」(以上、新潮文庫)、『大人のADHD もっとも身近な発達障害』(ちくま新書)などがある。

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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年12月16日 08:42
    最近読んだ、「人間のトリセツ」の黒川伊保子さんも、自閉症スペクトラム障害だと
    カミングアウトしていました。以前読んだ、中村うさぎさんと池谷裕二さんの対談でも
    お二人とも、自閉症スペクトラムだとわかりました。

    お三方とも、普通の人では表現できないような文章を書かれて、素晴らしいと思い
    ましたが、発達障害があったのですね。だとすると、発達障害の方たちの仕事が、
    人類に貢献しているのではと、じろさんさんの日記を拝読しながら、思った次第です。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年12月21日 09:22
    ヤマヤマさま
    いつも、コメントありがとうございます。

    > だとすると、発達障害の方たちの仕事が、
    > 人類に貢献しているのではと、じろさんさんの日記を拝読しながら、思った次第です。
    おっしゃるとおりです。
    人類に貢献する発明・発見をする人たちは、多かれ少なかれ発達障害傾向があることが、本書では語られています。
    俗に言う「寝食を忘れて没頭する」という、過度な集中力も発達障害のなせる業のようです。

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