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2020年02月26日09:58

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ハンセン氏病元患者・伊藤まつさんから教えられたこと

 ハンセン氏病元患者・伊藤まつさんから教えられたこと(文芸誌投稿)




 数多い。二つほど、書きたい。1908年生まれ、1985年昇天。

 まず、1977年夏、福祉団体の交流合宿に多磨全生園に来ていた僕に対して、「来てね」と声をかけて、まつさんの部屋に行き、丹精込めて描いた絵も見せていただき、身の上話など、色々な話をしてくれ、かつ、僕などの「相手の声」を真剣に聞いて下さった事である。それゆえ、最初から話が弾み、そのまま天国に行く時まで8年間も付き合う事ができた点である。人との付き合いで、「自分の想いを伝え、かつ、相手の声をしっかり聞く」ことは僕は小学6年ごろから、ボランティアとして母校の光明養護学校や家に来ていた原一男氏などとの付き合いで学んでいたが、伊藤まつさんとの付き合いで、再確認できたわけである。旧日本軍人の中には他人の声を聞けない人が多かったなど、戦前から日本では意思疎通が苦手な人が多いが、伊藤まつさんはそのよう事はなく、貴重な付き合いができたと思う。

 もう一つは、ハンセン氏病差別の根は諸説が入り乱れているが、まつさんは「顔が醜いから嫌われるの」と言っていた事である。それも元患者にしてみれば、大変な事だろう。それゆえ、僕も次第に考えこみ、顔で人を判断する事は悪い事だと思うようにもなった。脳性まひ女性で「脳性まひの女性は緊張で顔が歪むから、男性から恋愛対象にされない」という怒りの声も同様に聞き、さらにそのように思うようになった。まつさんと出会う前は顔で女性を選んだ事もあった僕だが、「心」が大事だと思うようになったわけである。

 以上、伊藤まつさんという歴史に隠れた人の事のごく一部を書いた。これからも書いていきたいと思う。今でも心の奥底でつながり、楽しく付き合っているわけである。






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