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2019年05月23日11:52

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小説「私が棄てた女」の遠藤周作氏の意図

   神谷恵美子をモデルとしたミツという女性に、遠藤氏の信仰する聖母マリアを描こうとしたわけである。それが意図であり、ハンセン氏病啓蒙ではなかった。映画化された時は、白血病に変えられていた。それが交通事故だろうが、筋ジストロフィーだろうが、他の病気や後天性障碍でも構わないわけである。たまたま神谷恵美子はハンセン氏病関係の道を歩んだから、それを背景に変えたわけだ。


  それは1963年に発表された。遠藤氏は、ライ予防法は知らなかったわけである。戦時中の強制収容の事もどれだけ知っていたか、判らない。1963年当時は世間に知られていなかった問題である。しかも、東京出身ならば、尚更知らなかったに違いない。2001年のハンセン氏病訴訟の和解の後ならば、当然書けない内容である。

  その他にも、遠藤氏は諸々の著書に、自らカトリック関係の慰問団として、療養所に行き、感染が恐かった事を少し書いてある。感染は政策的に宣伝された事も知らなかった。

  日本のハンセン氏病政策が世間に知られる前に、遠藤氏は昇天したわけである。よく知らない事は、本当は書いてはいけないわけだが。遠藤氏は「沈黙」などの優れた作品を書いたが、やはり、人間のする事には限界があるのだろうか。特に、情報不足の事は。それは怖ろしい。





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