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2017年01月17日11:42

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創作童話・お餅を食べたクマさん

  お餅を食べたクマさん       熊

  皆さん、お正月はお餅(もち)やおせちを食べましたね。おいしいですね。でも、クマさんは冬眠するから、お餅やおせちも食べられません。そんなクマさんの物語です。

 ここは日本の東北地方の森。動物たちが仲良く暮らしています。その中に、クマ太郎というクマさんがいます。おいしいものを食べることが好きです。でも、ほかのクマさんと同じく、12月になれば、冬眠します。起きるのは4月です。起きて、花見をして、おいしいものを食べるのが楽しみなわけですね。
 ある年の秋の日、クマ太郎君は森の中のお友だちのリス子さんに会いました。リス子さんはいろいろなところに行き、話をたくさん聞いています。リス子さんは
 「最近、町に行き、犬のポチ君から話を聞いたの。町では、今はサンマがおいしいけれど、冬になったら、クリスマスにはロースト・チキン。お正月にはお餅やおせちを食べて、楽しく過ごすそうよ」。
 クマ太郎君はお餅を知りません。そこで
 「お餅って何だい?」。
 リス子さんは
 「白く、焼いて食べるものよ。お米の『もち米』から作るものだけど、焼くとやわらかくなり、ねばり気もあり、香りもいい。食べると最初は味はしないけれど、かんでいると甘くなって、おいしいの」。
 クマ太郎君は
 「食べてみたいな。それから、おせちも。たくさんおいしいものがあるね。でも、冬眠で食べられないや。そうだ。正月まで起きていよう。眠くなったら、CDでロックの音楽を聞いて、眠らないようにすれば良いのだから」。
 リス子さんは
 「そんなことをして、大丈夫なの? 体に悪くないの?」
 クマ太郎
 「平気さ。お餅をたべたいからね」。
 
 本当にクマ太郎はそうしました。12月になり、森の中のクマ太郎の家からは時々ロックの音楽が流れます。森に住むシカさんたちやフクロウさんなどはうるさくて、たまりません。
逃げ出しました。
 雪も降ってきて、さむくなりました。まきに火を付け、ペチカで暖まりながら、さむさをしのぎました。
 「冬がこんなにさむいとは知らなかったな。いつもの年は寝ていて、気か付かないものな」
とひとり言を言いました。
 
 クリスマスになり、ローストチキンとケーキを食べました。もうじきお正月です。ゆびおり、日をかぞえました。
 ついにお正月。リス子さんがお餅とおせち料理を持ってきました。クマ太郎君はお餅をペチカの火で焼いて、食べました。まずは、お餅だけを食べました。あっさりしていますが、かめばかむほど、甘くなり、おいしいです。それから、おぞうに、黄な粉をまぶしたもの、おしることたくさん食べました。にものやクリきんとん、かまぼこなどのおせち料理も。おなかいっぱいになりました。ものすごく眠くなりました。
 「ここでおそい冬眠をしよう。一ト月おそくなったから、起きるのは一ト月おそくなるだけだろう」と思い、ねまきにきがえて、家の戸にカギをかけて、ぐっすり寝ました。
 
 お餅はおなかにたまりますね。食べるとものすごく眠くなる人もいるでしょう。腹もちもよく、えいようもたくさんあるわけです。クマ太郎君もそうですね。本当にぐっすりと寝ました。
 
 クマ太郎君は目を覚ましました。
 「よく寝た。しかし、今はいつだ。外に出て、ようすを見よう」。
 外には赤い彼岸花が咲いています。9月ですね。
 「これは寝すぎた。今年はお花見も、夏の山登りもできなかった。クマの仲間とも会えない。やはり、自然のままに、さむくなったら、寝るのが一番いいね。お餅はおいしいけれど、食べたくなったら、いつでもリス子さんにたのんで。しかし、もう少ししたら、また冬がやってくる。今度の冬は眠られるかな...」と思い、ひとり言を言いました。本当にその冬はよく眠れませんでした。でも、春のお花見もしたくて、じっとしていました。
 冬が明けて、また春になりました。4月にはお花見。今度はクマ太郎君もお花見の時にお餅を食べました。クマの仲間はもちろん、リスやシカさんたちとも。今回は一人一個ずつ。クマ太郎君も一個しか食べられなかったですが、一人で食べた時よりもおいしく感じました。
 「お餅はみんなで食べた方がおいしいね」とクマ太郎君は言いました。
 
 物語はこれで終わりですが、みなさんもお餅にかぎらず、食べ物はみんなでワイワイ言いながら食べた方が楽しいですし、おいしくも感じますよね。僕もキャンプの時にカレーをみんなで食べて、大へんおいしかったことがあります。お友だちは大事です。

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