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2017年01月06日11:25

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伊藤まつさんの絵から想ったこと

  伊藤まつさんの絵は自己流だが、山水画のようにあっさりとしている。そこが僕の気に入った所だったようだ。


  絵を見る事が嫌いな人はいないだろうが、僕が絵を見る為に伊藤まつさんの所に行き続け、今はそれを公開もしている。あるいは、僕もそのような絵を描きたい気持ちも元々あったかもしれない。そのような気持ちがなければ、以上の事は説明できなくなる。でも、学校時代は絵の時間が嫌いだった。これもおかしかったので、振り返り、考えてみた。成程と思う理由が一つあった。小学から高等部まで、美術の時間では、鑑賞も、描き方も西洋画ばかりだったのだ。日本画や浮世絵は少しあったが、非常に少なかった。又、朝鮮や中国画は教えられなかった。それでも、中国画はテレビなどで時々放送されるが、独特の味わいのあるはずの朝鮮画は知らないで育った。西洋画も確かに素晴らしいが、日本人が追及しても限界があるのではないか。他に、日本画とか、東アジア人として、朝鮮画や中国画、ベトナム画を学校で教えるべきだと。


  僕も東洋的、日本的な感覚を非常に強く持っているから、学校で日本画などを教えられたら、絵の面白さを知り、鑑賞だけでなく、描きたい気持ちも出て、本当に絵も描くようになったかもしれないし、実際、日本にはそのような人たちが多くいるはずだ。僕の旧友たちの中にも、日本画などをさせたら伸びたような人たちが思い当たると。非常にもったいない話である。知的障碍者たちが優れた芸術作品を福祉作業所で作っているので、今の日本も文化国家になりつつあるが、学校で明治時代から日本画などを積極的に教えていたら、もっと早くに文化国家になったと思われる。

  日本では1853年にアメリカから黒船艦隊が来て、大騒ぎになったが、それで西洋に劣等感を持ち、自らも西洋人になろうとして、それまであった伝統を切り捨てた面があった。美術教育の件もその一つかも知れない。医療関係でも、効果はあるのに漢方医療を長らく無視しがちになった。確かに、細菌感染症には西洋医学が良いが、体内のバランス崩れの病気や免疫力強化には漢方薬が優れた効果を発揮するわけである。又、イギリスやアメリカと戦争をした第二次世界大戦中でさえ、ドイツに従ったわけである。美術関係にも根が深い問題があるようである。

  とは言え、もし、僕が本当に絵を描いていたら、伊藤まつさんの所に行ったか?、疑問である。恐らくは人生経路も大きく変わり、伊藤まつさんと出会う事もなかっただろう。そして、出会い、その絵の素晴らしさを知り、インターネットで公開もして、皆さまにも御紹介できた。僕は絵を描かなくて丁度良かったのかもしれない。

(伊藤まつ=1908年から1985年。少女の時にハンセン氏病を患い、以降、東村山市の多摩全生園で暮らし、一職員の勧めで、晩年は絵を描いた)





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