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2015年08月10日17:18

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攻め込んだ側の兵士たちの戦場




  この間のNHKスペシャル「憎しみはこうして作られた」という番組を見た。日本・アメリカ両政府の広報活動がいかに真実を隠し、それぞれの国民への相手国の憎しみの感情を作りたてていったか、をテーマとした番組だったが、僕がもっとも気になった場面は南の島々に攻め込むアメリカ兵たちの気持ちだった。以前も同様の場面をテレビで見た事があるから。その時は戦いには勝ったものの、残酷な場面を見て、精神に病を持った一人の兵士の姿をはっきりと放送していた。今回も元アメリカ兵たちが「残酷だった」と語っていた。原爆の様子は勿論、南の島々の戦いの様子をアメリカ政府は戦後もしばらく隠し続けたようだ。例えば、硫黄島に星条旗を掲げた姿のフィルムや写真など、アメリカにとって格好の良い場面だけを早く公開して、戦意高揚と戦争の正当化を宣伝した。でも、戦場のアメリカ兵たちの全員が実際に経験した事は「地獄」だった。

  番組では述べられていなかったが、その前に中国戦線に攻め込んだ日本兵たちもアメリカ兵と同じ事を経験したはずだ。攻められた側の中国人民や兵士たちはもっと悲惨だったが、日本兵たちも「地獄」を経験した。でも、その日本兵たちの声は政府の統制の下、終戦まで伏せられた。

  日本、アメリカ共、新聞も政府の意向ばかり報道し、肝心の「兵士たちの声」は伝えなかった。新聞も戦争に協力した事はご存知の通りである。

  でも、それから20年以上したヴェトナム戦争の時はアメリカの各放送局もアメリカ兵の嫌がる声も伝えるようになり、アメリカ国内で反戦運動が起き、それもあり、政府も次第に戦争を止めざるを得なかった。まだITがない時代だったとは言え、当時はテレビがメディアの主役になり、新聞だけが世論形成ではなくなっていたからだ。新聞は本当に新聞社にとって都合の良い事しか伝えない面があるし、又、格好いい書き方もしたがるから、どうしても戦争報道は事実を曲げる面もあるわけである。

  マスコミの事はともかく、戦場では勝者も敗者もないのである。あるのは「地獄」だけだと。そのような所に行くと、誰もが精神を病むわけである。戦争に行って精神を病み、正式に医者から精神病と認定された人はかなりいるが、実際はその何百倍も多いはずだ。全員が精神病になると言っても過言ではないだろう。戦争の恐ろしい面の一つだと。勿論、民間人もそうなるわけだし。ならば、戦争は尚更してはいけないわけである。

   尚、このような残酷な戦争を何故かつての人たちは起こしたのか。日本人は何故徴兵制を支持し、ドイツ人は「ハイル・ヒットラー」と言ったのか?  考えてみたが、現代とは人々の意識が大きく違っている。そこから考えない限りは本当の事は判らないだろう。現代人の価値観で1945年以前の世界の事を考える事はできないわけである。それゆえ、難しいわけだ。

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