人間というのは、まるで自分たちが全知全能の神であるかのように思い、
他の動物たちを見下しているような一面もあるんじゃないかと思いますが、
なかなかどうして、頭の良い生き物というのはいるようでしてね。
賢い動物を挙げるとサルや犬、あるいはカラスなんかの名前が出てくると思いますが、
我々が日頃、天ぷらや刺身やで食べている【イカ】という生き物も、
予想以上に高度な知能を持っている事が、
ケンブリッジ大学の研究で最近判ってきたようですね。
研究者たちはイカの計画性や自制心を調べるために、
エビとカニという二種類のエサを用意しましてね。
イカというのは、エビよりカニが好きなんだそうですね。
そこで研究者は、まず全てのイカに対して昼はカニ、夜はエビのエサを与え、
エサのパターンを学習させたんですね。
するとイカたちは、当初の予測を上回る速度、
わずか五日でエサのパターンを学習し【夜のエビ】をより沢山食べるために
【昼のカニ】を食べる量を控えるようになったそうですね。
次にイカを二つのグループに分け、
一つ目のグループにはこれまでと同じように【昼にカニ】【夜にエビ】を与え、
二つ目のグループには【昼にカニ】の部分は同じで、
夜には必ずしもエビではなく、半々の割合でカニを与えたんですね。
その結果、一つ目のグループは
より一層【昼のカニ】を無視して【夜のエビ】を食べるようになる一方で、
二つ目のグループは【昼のカニ】を無視せず均等に食べるようになったんですね。
恐らく一つ目のグループでは、
「晩飯にはエビがもらえるから、あまりカニは食べるなよ」
「うん、判った。【腹八分目イカ】にしておくよ」
てな会話が交わされて、二つ目のグループでは、
「晩飯にはエビが出るかカニが出るか判らないから、今のうちにしっかり食べておけよ」
「そうそう。昨日もエビが出てくるだろうと思って期待してたら
カニだったからな・・・とんだ【イカさま】だよ」
そんな会話が、イカたちの間で交わされてるんでしょうね。
この結果からイカは、将来の報酬が不確実である場合、
目の前の報酬を優先させるという自己制御機能がある事が確認されたわけで、
イカと同じレベルの計画性と自己制御能力を確認された動物は、
カラス、霊長類、イヌだけだそうでして、人間でも【大人】だけなんですね。
一九七〇年に行われた【マシュマロテスト】と呼ばれる実験では、
四歳の子供たちにマシュマロが与えられ、
『十五分我慢したら、追加でもう一つあげるから』と伝えたんですね。
しかし、実際に十五分間の自制ができた子供は
全体の三分の一ほどしかいなかったそうですから、
人間の子供は【イカ以下】という事になるようですね。
微笑亭さん太
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