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2020年05月22日00:06

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上下関係のしっかりした仕事

落語で幇間(たいこもち)の噺をする時には
『昔あって、今ほとんどなくなってしまった職業』という言い方をしたりするんですが、
この幇間と同じく『絶滅危惧種』に指定されそうなのが
『エレベーターガール』と呼ばれる方々ですね。


独特の『上へまいりま〜す』といった、
ゆっくりとした口調、高い声がトレードマークになってますが、
あれは乗客の話し声にまぎれないようにするためという、確固とした理由があるんですね。


日本で最初にエレベーターガールを置いたのは昭和四年、
松坂屋上野店のエレベーターだそうですね。
一九三〇年代は、手動でエレベーターを動かす運転手がいて、
『昇降機ガール』なんと呼ばれ、当時は千三百名が警視庁に届けられていたらしいですね。


専用の制服姿で優雅に客の案内をする姿は、
女性の憧れの職業のひとつで、男性から見ても、
『お嫁さんにしたい職業』だったそうですね。
何しろ全員が『箱入り娘』ですからね。


ただ『エレベーターガール』といっても『専門職』ではなく、
あくまでその施設の店員さんの『持ち場』の一つという事らしいですね。
密室内で長時間立ちっぱなしの仕事ですから、とてもストレスがたまりやすくて、
『チ〜ン』なんて扉が開いたら、満面の笑みのお姉さんの後ろの壁が
ボコボコにヘコんでたりすると、ちょっと乗るのをためらっちゃったりしますよね。


エレベーターガールが目に見えて減ったのは、バブル以降でして、
世間から『過剰サービスだ』と批判を受け、真っ先に
経費削減の対象となっちゃったからなんですね。
完全に無くなってしまうのは寂しいですから、無くさないためにも、
彼女たちの価値を上げていけばいいわけですね。


扉が開いたら、エレベーターガールとジャンケンをして、勝ったら乗れるとかね。
「しまった〜!また負けちゃったよ〜。これで八回目のスルーだよ」
なんてんで、エレベーターガールの『ドヤ顔』を見ながら、全く乗れなかったりしてね。


あと、『ちょいワルエレベーターガール』なんてのが出てきましてね。
お客さんが乗ろうとすると『うぜえ〜!』とか言いながら、乗車拒否したりするんですね。
乗ったお客さんに対しても、
「何階行くの?五階?アクセサリー売り場あんじゃん。
止めときなよ〜。ここのアクセ売り場、サイテ〜。マジありえないし。他の店行きなよ。
・・・アタシさ、次の階で降りるからさ、あとしくよろ〜」
なんてんで、ろくに仕事しなかったりしてね。


若い女性ばかりというのも何ですから、高齢者の雇用という事にも役立つよう
『エレベーターお婆ちゃん』なんてのもいいですよね。
「あの、六階お願いします」
「・・・何です?」
「六階お願いします」
「・・・何です?」
「六階、パソコン売り場です」
「パソコン?いやいや、ワシはパソコンなんぞに用はない」
なんて降ろされちゃったりしてね。


これからは、エレベーターだけでなく、様々な空間に
『○○ガール』と呼ばれる人が登場してくるかもしれませんね。


便秘の人のトイレに付き添ってくれる『トイレガール』とかね。
「・・・また出そうにないですか?今日はもうひと踏ん張りしてみましょうよ。
きっと出ますってば。ほら、ヒーヒーフー!ヒーヒーフー!」
って出産みたくなってたりしてね。


それから、絶叫コースターに同乗してくれる、『ジェットコースターガール』とかね。
万が一、怖さのあまり失神してしまった場合には、
カツを入れてくれて、気がついたら、そっと替えのパンツを差し出してくれるという、
これはなかなかいいんじゃないでしょうか。


微笑亭さん太
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