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2019年12月13日00:53

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斬っても斬れない仲

時代劇などを見ていて、
ちょっと粗相があったりした町人や農民を、
侍が『この無礼者め!』と言って、ばっさり斬ってしまう、
いわゆる『無礼打ち』のシーンなんてのがあったりします。


『この愚か者めが』などと捨て台詞を言って、
そのまま何事もなかったように、その場を立ち去り、
あとには骸がひとつ・・・そんな場面を見ると、
『昔の侍ってのは、斬り捨て御免だったから、
好き放題人を斬ってたんだろうな〜』なんて思っちゃいますが、
現実にそんな事は、まずなかったそうですね。


というのも、むやみやたらに町民を切ったりしたら、
切腹、家名断絶などになりかねないからなんですね。
武士が無礼討ちを許されるのは、明白に無礼を働いた相手に対してのみでして、
例えば相手が聞くに堪えないような罵詈雑言を浴びせてきたり、
買っておいた冷蔵庫のプリンを勝手に食べたりといったような、
誰もが納得する落ち度が、町民側にあった場合のみですね。


時代劇で描かれている無礼打ちのシーンというのは、
大抵が単なる『殺人犯』です。
条件を満たした無礼打ちというのは、ほぼゼロに近かったそうですね。


では、そういった条件を満たせば
それでOKなのかというと、そうではないんですね。
斬り捨てた後には、色々な手続きが必要となります。


まず斬った後は、速やかに役所に届け出なければいけません。
きっと、あちこちの窓口をたらい回しされたあげく、
証明書的なものが交付されるんでしょうね。
『手打ち証明書』なんて書いてあるもんですから、よ〜く見たら、
『蕎麦屋の許可書』だったりしてね。


それから、どのような事情があったにせよ、
人一人切った責任の重みがありますから、
二十日以上に及ぶ自宅謹慎を申し付けられて、斬った刀も、
詮議に使う証拠品として押収されちゃうそうですね。


それから一番大変なのが、
相手が無礼な行為をしたという事を証明する、証人も必要とされるんですね。
「ねえねえ、ちょっとあんた、この死体の人がさ、
私に『このクソ侍、バ〜カ!』って言ったのを見てたよね?」
「・・・え〜っ、あたし、見てないし〜」
なんてな事を言われた日には、家名断絶なんて恐れもあるわけですよ。


ですから旦那さんが、町人を斬ったなんて事を知ろうもんなら奥さんは、
「あんた、何て事してくれたの!?
証人が見つからなかったら、迷惑するのは私たちなのよ!
全く余計な事して、信じられな〜い。私があんたを手打ちにしてやるわよ!」
めちゃめちゃ怒られたりしてね。


現代の離婚も、こういうシステムだったら困りますよね。
奥さんの方に落度がある事を証明する証人を、見つけるのは大変ですよ。
「私が毎日、スーパーに買い物に行かされて食事の支度させられたり、
お風呂掃除させられたり、肩揉まされたりしてた事知ってますよね?」
「いやいやいや、夫婦の事は判らないし」
・・・そりゃ当然ですよね。


微笑亭さん太
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