怖くない街

インドというと映画産業が盛んな事で有名ですが、
インド人の方も、日本映画をご覧になるそうですね。


当然日本語は判りませんから、
英語の字幕が付いたバージョンで見る事が多いわけですが、
そんな日本映画大好きなインド人の友人がいる方がいらっしゃいましてね。


その友人は特に、日本のヤクザ映画がお気に入りなんだそうですが、
ある時、その友人から質問されましてね。
「なぜ日本人は、死ぬ間際に物の値段を気にするの？」
「・・・は？物の値段を気にする？・・・どういう事？」
意味が判らずその映画を見せてもらうと、
ヤクザ同士のケンカの場面で、刺された男が立ち上がり
『なんぼのもんじゃあ〜！！』と叫んでいる台詞の字幕が
【ＨＯＷ　ＭＵＣＨ？】 となってたそうでして・・・訳したのは誰なんでしょうね？


いわゆる反社会勢力の団体の方々が多い街というのは、
イメージが悪かったりするわけですが、
そんな中のひとつに福岡県の【北九州市】がありましてね。
何しろ『石を投げたら暴力団員に当たる』などと言われ
【修羅の国】という異名もあったりするんですね。


世の中にある【北九州市＝修羅の国】のイメージを覆そうと、
昨年、北九州市が作ったポスターが、話題を呼んだという事がありました。


『ウワサの真相！教えて、キタキューのおっちゃん』という名前のポスターで、
Ｑ＆Ａとデータで、怖いイメージを一掃しようという試みなんですね。


ネット上に根強く残る北九州の噂を、
東京生まれの【ボク】に【キタキューのおっちゃん】が回答する形式で進むんですが、
なかなか面白い質問が連発してましてね。


『北九州って修羅の国なんですか？』
『キタ!!　絶対に聞いてくるっち思っとった。
待っとったよ、その質問。
じゃあ聞くけど、【修羅の国】っちどんな国？
あれやろ、ピストルとか持った怖いおっちゃん達がいっぱいおるみたいな。
それはね、映画の見過ぎ。
北九州市はフィルムコミッション頑張っとるけ、街中で【図書館戦争】とか、
派手なロケいっぱいやっとるけど、いたって平和よ。
おっちゃんの顔が怖い？ほっとけ！』
『一家に一台、ロケットランチャーがあるって、本当ですか？』
『【ねえ、見て見て〜！これ買っちゃった♪】
【すごい！顔認証ついてるやつだ〜♪】・・・って、
こんなもん持っとるわけないっちゃ！
一体わしらは何と戦っとるんよ・・・怖いわ！
おっちゃんの切り返しを試すようなマネ、やめて〜』
『北九州では盾やヘルメットの貸し出しはありますか？』
『貸し出しは無いけんそれは買うしかないね。
ネットでポチッと買ってきー。
おっちゃんは止めんけど、君らが思っとる以上に北九州っち人が多いけ、
めちゃくちゃ見られて恥ずかしいと思うよ。
でもちょっと見てみたいけ、小倉来た時は電話ちょうだい』
『北九州では石を投げたらヤクザに当たるって本当ですか？』
『アウトレイジかっちゃ！
まあキタキューのイメージってこんなんやね。
でも実際四年前かなあ、県警が【頂上作戦】で暴力団幹部、
み〜んな捕まえてから全然おらんくなった。
見事なもんやね！やけ、メジャーリーガーがたくさん投げても当たらんわ！』
このポスターを見た方は無性に、北九州市に行きたくなるんじゃないですかね。


微笑亭さん太