天才の天災

「ウチのお婆ちゃん、機械が苦手で、
携帯電話を持つのも嫌だと言って持たなかったんだけど、
『連絡が取れないと困るから』と説得して、
この間やっと持ってくれたのよ。ガラケーだけどね」
「良かったじゃない」
「でも電話をしても、着信した時の操作が判らないらしくて、出てくれないのよ」
「それじゃ意味ないわね」
「そしたらお母さんが
『電話が鳴っています。電話機を開いて、黄色いボタンを押してください』
という言葉を吹き込んで着信音にしたら、
お婆ちゃん、出てくれるようになったのよ」
こういうのを、天才的な発想と言うんでしょうね。


天才というのは、子供の頃から、
その片鱗を感じさせるような言動があるんでしょうね。


ケーキ屋さんでショーウインドウ越しに、
ケーキを選んでいる母親と幼稚園くらいの子供がいましてね。
お母さんが子供に、
「どれにするか決まった？」
「うんとね、コレとコレがいい」
「ケンちゃん、二つは駄目よ」と言われると、
「じゃあ、コレと、コレと、コレ！」
増やすという発想は、天才ならではじゃないでしょうかね。


頭の良さを判断する基準の一つに【ＩＱ】というのがあります。
一般人のＩＱの平均は100と言われますが、
ＩＱ130以上を持つ超優秀な人々が存在します。
全人口のおよそ２％しか存在しないと言われている、
まぎれもない天才たちの事を【ギフテッド】と呼ぶんだそうですね。


あるギフテッドの男性は、一歳半でローマ字を書き、
三歳で漢字が書けるようになり、小学生の時に、
アインシュタインの相対性理論を完璧に理解したと言いますから桁外れの天才ですよね。


「ＩＱってさ、相対的に見ると、男性よりも女性の方が圧倒的に高いんだってね」
「そうなの？どうして？」
「ほら、昔から言うだろ。【男は度胸、女はＩＱ】って」


しかし『出る杭は打たれる』のことわざ通り、
そういうギフテッドの人たちというのは、周りから疎まれたりして、
浮いてしまう事もしばしばだそうですね。


勉強についていけなくて置いていかれてしまう子の事を
【落ちこぼれ】と言ったりしますが、ギフテッドの中では、
優秀すぎて周りから浮いてしまう状態の事を【浮きこぼれ】と呼んでいるそうですね。
天才には天才の苦悩もあるようですね。


｢ウチの家の塀に、よく落書きされて困ってるんだよ。
消しても消しても落書きされてね。
この間なんて【落書き禁止！】と書いてある落書きがあったからね｣
｢それって【大人は何も教えてくれない】という事を教えてくれる大人みたいなものだね｣
即座にこういう切り返しができる程度の優秀さが、
一番程よいのかもしれませんね。


微笑亭さん太