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日記一覧

(※は本文より転載) 高宗三年、一八六六年初め、趙大王大妃の摂政の期間満了と共に垂簾政治は廃止され、六十二歳の彼女は引退して、高宗の親政が行われることとなった。だが高宗はまだ十四歳の若年である。大院君の執政は名実ともに強化され、彼は閣僚の最

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(※は本文より転載) やがて雲峴宮(ウンヒョングン)と呼ばれることになる是応の邸は昌徳宮と景福宮(キョンボククン)のほぼ中間にあり、その場所にはいま徳成女子大学がある。 趙大王大妃と正式対面の儀礼を終えた命福は、群臣一同を謁見(えっけ

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(※は本文より転載)大院君(是応)、権力の頂点に(新王奉迎の正使は、先王哲宗の時と同じく鄭元容が任命された。彼は第一級の輿(こし)行列をととのえて、慶雲洞(キョンウンドン)にある李是応の邸へ向かった。 広い敷地に囲まれた是応の邸は、かっての

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(※は本文より転載) 簾の外の人々の動揺をよそに、趙大王大妃はためらいなく事を運んでいった。直筆のハングル文字(朝鮮の国字)による教書で、新王となる命福に”翼成君(イクソンゲン)”の爵位を与え、彼女の夫であった翼宗(追尊)の後継者に仕立てた

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(※は本文より転載)「国家の多事多難を思い、諸大臣は王位継承者をすみやかに、また慎重に議定しますように」 御簾(みす)の内から流れる趙大王大妃の言葉は終った。だが、それに応(こた)える発言はない。哲宗の死が急であったため、金氏一族の間でもま

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(※は本文より転載)王を選ぶ (一八六十三年末、哲宗が急逝(きゅうせい)した。この王にも世子はない。 王位継承者決定が緊急課題となったが、王族のほとんどが都を逃れ出て窮乏の生活を送っているので、その家族構成さえ中央の人々にはよくわからない状

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(※は本文より転載) 是応の”売りこみ”は趙大王大妃に仕える女官たちへも、ぬかりなく行われた。”宮乞人”と呼ばれて悪評高い彼だが、宮殿の奥深くに住む女性たちにはふしぎに人気があった。乱れた女性関係も女官たちに知れわたっていたが、それさえ彼の

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(※は本文より転載)大院君(是応)の深謀遠慮(はるか先のことまで考えて立てた計略) 王族の一人である是応は、王室章典に精通していた。王室章典によれば、哲宗没後の王位継承者の決定権は神貞王后趙大王大妃(シンジョンワンフ チョデワンデビ)にある

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(※は本文より転載)この事件を興宣君是応は背筋に悪寒の走る思いで聞いた。王家との血縁だけで考えれば、是応は特に金氏一門から危険視される位置ではなかった。しかし幼少のころから父の南延君<ナミヨンゲン>に才能を認められて高い教育を受け、早くから

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(※は本文より転載)大院君、政権を握る (悲運をかこつ王族の一人に興宣君是応<フンソンゲンハウン>がいた。彼は一八二○年の生まれで、王家との血縁はあまり近くはないが、祖父の恩信君<ウンシンゲン>が第二十二代の王正祖の弟なので、まぎれもない王

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(※は本文より転載)正祖の後継者として、一八○一年に即位した第二十二代の王純祖(スンジョ)は十一歳であった。在位三十四年の間、彼はロボット的存在で、第二十一代の王英祖の妃であった貞純王后金氏(チョンスンワンフキムシ)の”垂簾(すいれん)政治

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(※は本文より転載)勢道(セド)政治が始まる (秀吉軍の来襲から五十年近く繰り返された戦乱(一六二十七年に後金<のちの清>の攻撃を受け、さらに一六三十六年には清軍に攻めこまれた。※)のため、朝鮮社会の発展は妨げられたが、十七世紀なかば頃から

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(※は本文より転載) ただし、日本の使節団はソウルへ行くことは出来なかった。朝鮮が対馬の宋氏に示したとりきめ通り、日本の使節団は釜山に止<とど>まり、ソウルから出向いてきた役人にここで接待された。秀吉軍が、かって室町時代の日本使節が通った道

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(※は本文より転載) 江戸時代には、家康と会見した千六百七年を第一回として、朝鮮の使節団は通算十二回日本に来た。毎回三百人から五百人に及ぶ大使節団で、名称が”通信使”となったのは第四回からである。その最後は一八一一年、将軍家斉<いえなり>の

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(※は本文より転載)朝鮮使節団の日本訪問の歴史 千六百七年、呂祐吉<ヨ ウギル>を正使とする四百六十七人の大使節団が日本に到着した。使節一行には対馬の宗義智<そうよしとし>らが護衛の責任者として同行し、江戸で二代将軍秀忠に謁見<えっけん>し

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(※は本文より転載)徳川幕府と接触(秀吉の朝鮮侵略が終った翌年から、対馬の宋氏は朝鮮との修好回復の折衝を始めた。だが日本の侵略の記憶も生々しい朝鮮は、これを冷たくあしらった。 対馬はその北端に立てば、波の彼方六十キロ先の朝鮮南部海岸が見える

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(※は本文より転載)豊臣秀吉による友好関係の破壊(一時中断していた使節団派遣が復活したのは千五百九十年、豊臣秀吉から朝鮮国王の入朝を勧告するように命じられた対馬の宋(そう)氏が、入朝要求を使節団派遣要求にすりかえて折衝した結果、実現したもの

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(※は本文より転載)2ー朝鮮と日本室町幕府との交隣関係日本と李氏朝鮮王朝とは、(千四百四年、朝鮮王朝創建から十二年後、日本では室町幕府の第三代将軍足利義満のとき、長い国交断絶の時代に終止符を打って交隣関係が結ばれた。きっかけは、倭寇<わこう

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(※は本文より転載)日本人の殆どが知らないであろう、この事件。日本のアジア植民地化の象徴とも言える、日韓併合条約(1910年<明治43年>八月二十二日、統監寺内正穀、総理大臣李完用と会見、「韓国皇帝陛下は韓国全部に関する一切の統治権を完全か

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ウェインが急に立ち上がる。「失礼!太陽の最後の光に息子と挨拶する」海を見下ろす石垣の上に立つと、太陽の残照を浴びながら抱いた赤ん坊に話しかけた。「坊や、お前はマイアミで一番の金持ちになるんだぜ」まるでゴッド・ファーザーの世界だ。カリブの海が

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「ラスタファーライ!ジャー・ラスタファライ!」ラスタたちは歓声を上げた。感極まって涙ぐむラスタマンたちの祈りが白熱していった。神聖な想念が邪悪な存在を焼き尽くす見えない炎となって夜空に吹き上げた。「ジャー、リブ!」(神は生きている)と誰かが

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満月の夜、山の頂上のガンジャ畑にラスタたちが上って来た。巨人のようなガンジャの茂みには、精霊の息吹のように甘い香りが漂っていた。そしてナイヤビンギの儀式が始まる。淡い月明かりに包まれる山々にドラムの音が木霊(こだま)した。ラスタたちがチャン

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僕の身体がゆっくり揺れ始める。目に見えないバイブレーションに交感しているようだ。ガンジャが二回りする間に、ラスタマンは新しいスプリッフを仕上げていた。身体の奥で眠っていた神経が活発に活動を始める。海面近くで輝く黄金色の太陽が呼吸するように大

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同行のラスタマンが太巻きのスプリッフを器用につくっていた。濃い茶色のガンジャの塊から一部を取り分けた。べっとりして、白い粉もふいて、見るからに効きそうだ。揉みほぐして茎を丁寧にしごくと、白いペーパーに黄金色の葉がパラパラと落ちた。サングラス

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この少し先に六角形の奇抜な二階家があった。これが彼のネグリルでの住まいだった。一階部分は石壁の半地下で、木製の柱や梁以外は全てガラス張りの温室のような構造だった。木の階段を上ると、海に向かって半円形に突き出た二階のテラスに出た。二十メートル

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しばらく走って、車はリゾート・ホテルの駐車場に入った。蔦の這う白壁と青いスペイン瓦の洒落た本館と点在する木造のバンガロー。ジャマイカの典型的リゾート・ホテルだ。淡いブルーの制服を着た痩せて背が高いボーイの姿も見えた。「ここも彼が所有している

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車は走り続けたが、途中の道にラケットを持った白いテニスウェアの若い白人女性がこちらを見てニッコリした。「ヘイ!ジェーン。乗ってけよ!」とウェインが窓から手を出して叫んだ。「彼のワイフだ」アンディが囁いた。大胆なカットのタンクトップから豊かな

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ワーゲン・ゴルフは人気の無い淋しい道を走った。雑木林や野原を通り過ぎ、遠くの光る海が時々現れる。野原では、茶、黒、白と色とりどりの山羊たちが緑に埋もれるようにして、草を食べていた。車内では、アンディがマイケル・ローズのイベントの儲けを皮算用

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ワーゲン・ゴルフは人気の無い淋しい道を走った。雑木林や野原を通り過ぎ、遠くの光る海が時々現れる。野原では、茶、黒、白と色とりどりの山羊たちが緑に埋もれるようにして、草を食べていた。車内では、アンディがマイケル・ローズのイベントの儲けを皮算用

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ドレッドが運転する車はネグリルの町を通り抜け、人家も疎らな海沿いの道を走った。少しづつ標高が高くなる。眼下に海を望む、高台の雑木林の間を走っていると、赤ん坊をあやしながらウェインがアンディに言った。「この土地は幾らくらいする?アンディ」と。

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