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日記一覧

聖母文庫 聖母の騎士社刊 さて翌二十六日になると、ゼノ様は、又もや大きな紙包みを二個抱えて早朝から見えて、「オ嬢サン、今日ハ病院ニ入ッテイル可哀ソウナ人間、訪ネテアゲマショウ」とおっしゃいました。国鉄線立川の奥の国立大和病院の慰問に出かける

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聖母文庫 聖母の騎士社刊この文を書いた人々が、今夜も上野の地下道で、コンクリートの上に寝ているのかと思うと、ガス・ストーブが暖かく燃えている応接間で、安楽椅子にかけながら、この文を読んでいることすら、罪悪のような気がして、私は身も縮まる思い

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 このような陳情書を何十枚となく集めて、本願寺や、電灯会社や、水道局にお願いして歩きましたが、どこでもうんと言ってくれませんでした。 最初の予定では、本願寺を終わったら、上野の墓地集落まで、一日のうちに回るつもりでし

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 ゼノ様は、それから、私をお連れになって、言問橋の下の浮浪者アパートを訪問なさいました。ここの特徴は、住んでいる人がみんな偏屈で、誰が訪ねても、そっぽを向いて、ろくに返事もしてくれないことです。会長格の人は片手のない

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 さて、裏から出ると、すぐ目の前は、隅田公園。と言っても、公園とは名ばかりで、残土の山(戦災の焼跡の土を捨てた山)が、東武線のガードの上までとどく程高くつみあげてあって、その山の頂や、中腹には、空箱、古トタン、菰など

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 ただし、その心の悩みを治療する名薬の処方箋を送れというご注文には閉口です。だって、金持ちと貧乏人が本当に握手できるようなペニシリンが発見されたら、この世の中はたちどころに天国になる筈ですもの。などと、偉そうなことを

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聖母文庫 聖母の騎士社刊第二章家なき人々芦屋の太田真弓様宛の書簡(昭和二十六年聖霊御降臨の大祝日直後)真弓様 薬専時代に一番やんちゃだった、あなたが、カトリックの洗礼をお受けになったなんて、信じられない気がしますわ。 もっとも、やんちゃにか

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聖母文庫 聖母の騎士社刊久子様 私は、自分の自慢がしたさに、こんなことをくどくどと書いているのではありません。この気の毒な子供たちと、たとえ数時間でも、同じ心で、楽しく過ごすことができた感激で、胸が一杯なのです。又それと同時に子供を持つ母の

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 その久ちゃんのことが、私の一番気にかかっていた時だったせいか、あの晩、丁度、何かお話をしている時だったと思います。急に停電になってしまったのです。その暗闇の中で、久ちゃんが、初めて、先生って私のそばへ取りすがって来

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 定刻の五時になったら、大きな鐘を鳴らして、華々しく始める用意をしていました。そして本職の松居先生をあっと言わせる程素晴らしい演出をして見せようと張り切っていたのに肝心の松居先生が一向お見えならず、折角のプランも少々

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聖母文庫 聖母の騎士社刊お化けの話 さて、昭和二十五年十二月二十四日。「蟻の街」最初のクリスマスがやって来ました。あの晩のことは、おそらく生涯忘れることができないでしょう。 高さ九尺の小屋の上に、更に十尺の煙突を作って、そこから、まさに入り

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聖母文庫 聖母の騎士社刊蟻の街の中では、野良犬のようにいじけていた子供たちも、私の家の応接間に入ったとたん、すっかり活き活きしてしまって、どたんばたんと、大あばれを始めたり、又高声で身の上話や蟻の街の生活を面白おかしく話し始めました。 「あ

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 私はほとんど無我夢中で、子供たちのお友達になり、歌を教え始めました。一節一節、私は無心になって、子供たちの目を見ながら歌いつづけました。最初はほとんど歌とはいえないほど不様(ぶざま)なものでしたが、間もなく学校から

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聖母文庫 聖母の騎士社刊川岸に近い日溜りには、すでに、二、三人の子供たちが集まっていました。今では、そのちょっとした広場には、食堂や、水道小屋などが建てられてしまいましたが、その時は、「街」の中の広場の感じだったのです。 会長さんの計らいで

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聖母文庫 聖母の騎士社刊ところでお二人が帰ってしまうと、家族のものが集まって来て、反対するものはなく、かえって私のために喜んでくれました。「それはそうと、あの松居さんという方ね、私は、確か隅田劇場かどっかで見かけたことがあるように思うけど・

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聖母文庫 聖母の騎士社刊クリスマスの歌 それから、何日たってからでしょう。ある晴れた冬の朝でした。 「怜子さん、またお髭のおじいさん、あのサンタクロースが来ましたよ」 と店の人が二階にいる私に知らせてくれました。私は、階段を降りてお店の土間

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 私は、洗礼を受けたその日から、何か世の中に貢献することをしたい、したいではなくて、すべきである、それが信者として、又社会人としての義務である、ということをはっきり感じるようになりました。 私は、信者の一人一人が、そ

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聖母文庫 聖母の騎士社刊丁度、卒業試験も終わって、あとは卒業式を迎えるばかりになった頃のことでした。もう一人の同じ、横浜から通っていたお友達が、 「とても、私は幸福よ!」 と言って、ひとりではしゃぎまわっていました。 「どうして。もうすぐ卒

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聖母文庫 聖母の騎士社刊薬専に入ると、全国各地からいろいろのお嬢さんが集まって来ておりました。その中で、田舎からいらっしゃった方たちは、まるで都会へ出たら、何でも派手な服装をしなければならないという規則でもあるかのように、急に、けばけばしい

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聖母文庫 聖母の騎士社刊眠られぬ夜に その夜、私は床についても、どうしても眠ることができませんでした。今日一日のことを思い出すにつけ、目に一丁字(いっていじ)もない、一外人があんなにまでして日本の貧しい人々のために尽くして下さっているのに・

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 ゼノ神父様は、その夜、例の黒鞄から、数々の困っている人の写真や、手紙や新聞を出して見せて下さいました。 「オ嬢サン、御覧ナサイ、コノ写真ノ人、共同便所ノ中ニ住ンデイマス。御飯、三日モ四日モ食ベテナイデス、可哀ソウデ

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 会長さんの家は、内部もやはり、倉庫という感じでガランとした土間になっており、その左側に、小さな日本座敷があって、そこに腰かけておいでになった、ゼノ神父様と、全く見知らぬ学生さん一人、それとベレー帽をかぶった白髪まじ

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聖母文庫 聖母の騎士社刊 それから間もなく十二月初旬の冷たい小雨の煙っている夕暮でした。 私は、二階の電車通りに面した、窓の戸締りをしながら、ふと下を見ると、この雨の中を、傘もささずに急ぎ足で店の前を通り過ぎて行く、黒い服の神父様があります

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