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アイヌ神謡集ー3 mixi日記

アイヌ神謡集ー3 mixi日記
2006年12月14日20:55

札幌はここ数日の暖かさで道路の雪もぐちゃぐちゃです。去年の二月末、急に暖かくなって30センチはある裏道の雪がやはりぐちゃぐちゃになって、あちこちの路地で車がエンコしたことを思い出しました。あの怖さは体験者でないと分からないだろうなあ・・・。雪に鍛えられてます。

「老婦人は、東の窓の下に
敷物をしいて私をそこへ置きました。
それからみんな寝ると直ぐに高いびきで
寝入ってしまいました。
私は私の体の耳と耳の間に坐って
いましたがやがて、ちょうど、真夜中時分に
起き上がりました。
「銀の滴降る降るまわりに、
金の滴降る降るまわりに。」
という歌を静かにうたいながら
この家の左の座へ右の座へ
美しい羽ばたきをすると、私のまわりに
美しい宝物、神の宝物が美しい音をたてて
落ち散りました。
一寸(ちょっと)のうちに、この小さい家を、りっぱな宝物
神の宝物で一ぱいにしました。
「銀の滴降る降るまわりに、
金の滴降る降るまわりに。」
という歌をうたいながらこの小さい家を
一寸の間にかねの家、大きな家に
作りかえてしまいました、家の中は、りっぱな宝物の
  積場を作り、りっぱな着物の美しいのを
早つくりして家の中を飾りつけました。
富豪の家よりももっとりっぱにこの大きな家の
中を飾りつけました。私はそれを終ると
もとのままに私の冑(かぶと)の
耳と耳との間に坐っていました。
(冑「ハヨクペ」:鳥でもけものでも山にいる時は、人間の目には見えないが、各々に人間のような家があって、みんな人間と同じ姿で暮らしていて、人間の村へ出てくる時は冑をつけて出て来るのだと云います。そして鳥やけものの屍体は冑で本体は目には見えないけれども、屍体の耳と耳の間にいるのだと云います)
家の人たちに夢を見せて
アイヌのニシバが運が悪くて貧乏人になって
昔貧乏人で今お金持になっている者たちに
ばかにされたりいじめられたりしてるさまを私が見て
不憫に思ったので、私は身分の卑しいただの神では
ないのだが、人間の家
に泊って、恵んでやったのだという事を
知らせました。
それが済んで少したって夜が明けますと
家の人々が一しょに起きて
目をこすりこすり家の中を見るとみんな
床の上に腰を抜かしてしまいました。老婦人は
声を上げて泣き、老人は
大粒の涙をポロポロこぼして
いましたが、やがて、老人は起き上り
私の処へ来て、二十も三十も礼拝
を重ねて、そして云う事には、
「ただの夢ただの眠りをしたのだと
思ったのに、ほんとうに、こうしていただいた事、
つまらないつまらない、私共の粗末な家に
お出で下さるだけでも有難く存じますものを
国の神様、大神様、私たちの不運な

事を哀れんで下さいまして
お恵みのうちにも最も大きいお恵みをいただき
ました事。」と云う事を泣きながら
申しました。
それから、老人はイナウの木をきり
りっぱなイナウを美しく作って私を飾りました。
老婦人は身支度をして
小さい子を手伝わせ、薪をとったり
水を汲んだりして、酒を造る仕度をして、一寸の間に
六つの酒樽を上座にならべました。
それから私は火の老女、老女神と
種々な神の話を語り合いました。
二日程たつと、神様の好物ですから
はや、家の中に酒の香が
漂いました。(続く)

Herry2006年12月15日 14:38
イナウというのは木の名前のようですが、祭壇を意味するのですか?

ジャー・ヒロ2006年12月15日 20:52
御幣といって一本の木の周囲を削って花のようにする、神様への捧げ物です。アイヌの人々の信仰には欠かせないものです。

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コメント

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