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2020年09月26日07:05

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キリシタン紀行 森本季子ー245 聖母の騎士社刊

天草・歴史の幻影ー103

●子部屋の跡
 「子部屋」は無くなっても、その土地は教会の所有として、現在は崎津教会主任・ダイヤモンド師の管理下にある。機会があれば是非訪ねてみたい所だ。
 折よく、六月十六日日曜の午後、ダイヤモンド師が根引に行くという。彼の運転で、崎津修道院の山野、新里両シスターも同行することになった。
 車は大江教会下の国道を通って北方の山中に入り、途中「天草南部広域基幹林道」に出会う。この林道をしばらく行くと眼下に天主堂が見下ろせる。丁度天主堂の近くから見上げた山腹の道である。やがて車が停まった所が根引峠で、かっての「子部屋」のすぐ下である。今でこそこんなに簡単に来てしまったが、林道開通前、山中の険しい旧道をガルニエ神父が大江からここに、週一回通うのはどんなにか大変だったろう。
 ダイヤモンド師の後に続いて傾斜地を少し登ると、もうそこが「子部屋」の跡地である。
 「ガルニエ神父の井戸です」
 ダイヤモンド師の言葉で立ち停まると、白く塗ったパイプで囲った深い井戸穴がある。この井戸を掘り、この水を飲んだ人たちのことが思われた。生命の水である。

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