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2020年07月30日08:03

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(転載)中国・チベット女子一人旅−8


9月26日 クンサン。
彼が胸にかけているのは、菩薩か観音か何かのペンダント。その後ろに少し見える黄色い太い紐で、携帯仏壇「ガウー」を斜めがけにしている。ガウーというのは、握りこぶし大の金属の箱状の入れ物で、その中にダライラマの写真(中国影響下では持っている事自体がご法度)や、仏の写真などをいれてお守りのように肌身離さず付けている。こんな普通風の青年でも、とっても信心深いのだ。


私は、体調さえ良ければ、明日の朝8:00のバスに乗って、次の目的地、徳格(デルゲ)へ行くつもりだった。クンサンは、「じゃ、明日の朝、君を起こしに来るよ、いい?」と言い、私を宿まで送ってくれた。もう夜の10時を過ぎていた。私は長袖のシャツに、彭措にもらった赤いセーター、その上にユニクロフリースといういでたちだったが、ここは高度3200m。身震いして「ちょっと寒いね〜」と言ったら、クンサンはさっと自分の上着を脱いで私に貸してくれようとしたが、その下は半袖!!セーターのように見えたものは実はベストだった。びっくりして、「いいよいいよ!!」と、クンサンの二の腕をぽーん、と叩いたら、すっげー筋肉硬かった。カァッッコイィ〜〜!
 
9月27日 甘孜(カンゼ)で一回休み。

一応私は6:45に起きたが、結局8:00を過ぎてもクンサンは私を迎えに来なかった。
・・・んだよー、バス8:00だって言わなかったっけ??まぁ、いいや。もう一日くらい、ゆっくりしちゃうか・・・一日ごとにハードな移動をしていたので、少し疲れていた。ラサへは一日も早く行きたいけど、今のあたしには休養が必要・・・と自分に言い聞かせ、うとうとしていたら、10:30になってやっと、「Hallo」とクンサンがやって来た。
何だか、革ジャンと黒のTシャツでキメてるぞ・・・?
彼は開口一番、「あと一時間で、俺家に帰らなきゃ。」と言い出した。
い??・・・んだよぉ突然ーー! とりあえず私は何も食べていなかったので、中国カステラを買いに一緒に出た。
クンサンは、「今日、白玉の家に帰るよ。俺の故郷、見てみたいかい?」と爽やかに笑った。
遊牧民の家・・・ステキだ。今の私にはラサに勝るとも劣らない魅力だった。
いや、でも私はラサに行かなくては。何故だか分からないけど、とにかくラサを目指しているんだから、行かなけりゃ。
白玉まで道をそれてしまったら、そっから私はどーやってラサに行けばいいんだい。しかし、そんな難しい(くもないけど)文章を中国語に訳すことが出来ず、モゴモゴしていると、彼が「どう?行く?行かない?」とたたみかけてくる。
イヤ、困った。
しかも、もしかして、それって深い意味があったらどうしよう、行ってみたら突然家族に囲まれて・・・そんなの困るわぁ〜、などと、そんなことまで頭をよぎり、「い、いいの?」と控えめに訊いてみたが、クンサンは聞いてなかった。
ゲストハウスの前まで二人で並んで歩いてきた時、でかいトラックが目の前に停まった。
「あ、あれが俺のクルマさ。」「じゃ、手紙、書いてね。いい?」とだけ言い残し、何事も無かったかのように、颯爽と砂煙とともにクンサンは行ってしまった。呆然とたたずむ私を残して・・・。
またもや、あっけない別れだ。チベタンって、いつもこうなんだろうか。広い広い大地に点在して暮らしているチベタンにとって、別れと出会いというのは、取るに足らない小さな出来事なんだろうか。とってもクールだ。だけどその取るに足らない出会いも、とっても大事にする彼らが、私は大好きだ、と思った。
何だか、ひどく寂しい気持ちになって、カステラを抱えたまま、ひとり街をうろついてみるものの、ちょっと歩いただけで心臓がバクバクして、道端に座り込んでしまう。どうも、ひとり残されてしまうタイミングを狙って、高山に体が反応するみたいだった。
クンサンについて行けば良かったかなぁ。もしかして、素晴らしいチャンスを逃してしまったのかなぁ。情けない表情(だったと思う)で、そんな事を繰り返し考える。
でも・・・旅も人生も、岐路ってヤツがそこらじゅうにころがっているけど、私は常に、現在地が最良の選択の結果なのだ、と思う事にしている。
今回だって、クンサンについていかずに甘孜に残った事によって出会える人達や、感動や、楽しい事があるはずだ・・・そう言い聞かせて、気持ちを好転させることにした。

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