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2020年06月30日08:38

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キリシタン紀行 森本季子ー167 聖母の騎士社刊

天草・歴史の幻影ー25

 この日、主任司祭・ハンター神父(コロンバン会所属)が大江着任の六年目、という知らせがあった。それで、信者たちはミサ後、師に挨拶するものと思い、私も聖堂入口で信者たちと合流するつもりだった。ところが若い人たちから、どんどん帰ってゆく。シスター松下の話によれば、このあたりでは近年養豚が盛んで、早朝ミサに出席する人たちは、大急ぎで帰宅して豚に飼料を与えねばならいのだという。
 私は高齢者により関心があったので、近づきになりたいと思い声をかけた。ところが何となくよそよそしい。はかばかしい口もきかない。上目づかいに私を見、はにかむようにちょっと頭を下げてそっと通り過ぎてゆく。関わりを持ちたくない、という素振りである。この時、ハッと思い当たるものがあった。
 この人たちは隠れキリシタンの子孫である。明治になってキリスト教は禁制でこそ無くなったが、何代にも渡って隠れ潜んできた保身の心理から抜け切れないものがあって当然である。一面識もない外来者に対して、無意識に警戒の態度が出るとしたら、彼らはー正真正銘ーというのもおかしいが、弾圧時代の血を受け継いでいる人たちなのだ。それならば尚更、彼らが伝え聞いている「隠れ」の話を聞かせてもらえたら、と願った。

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