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2020年06月02日09:17

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キングストンー5

紫色の大型車がパレードの広場から路地に突っ込んで、勢いよく停まった。アフリカン・ミュージアムの前に。グレゴリー・アイザックスの二、三坪の小さな店だ。通りにたむろするミュージシャンたちが車を囲む。三人の取り巻きと共にグレゴリーが車を降りた。帽子、三つ揃えの背広、靴まで白づくめの洒落姿。周りの、どちらかといえば貧相なミュージシャンたちに比べて、スーパースターの貫禄十分だ。ワイワイ喋りあっている所に、タムをかぶった、小児麻痺のようで、不自由そうに歩いてきたラスタマンがグレゴリーに親しげに声を掛ける。「ヘイ、グレゴリー。元気かい」。グレゴリーも手を振って返事する。

しかし、暫くすると和やかな光景が一変した。グレゴリーがひどい剣幕で怒鳴りだしたのだ。仲間のラスタの腕を捉え、殴りかかる。相手は必死にあやまるが、御大の怒りは静まらない。「金をゴマカされたらしいよ。グレゴリーはいい奴だから、誤解しないでほしいネ」近くの仲間が弁明する。Mr.クール・ルーラー、グレゴリー・アイザックスも、白い帽子を飛ばし、ドレッドを振りみだし、ダウンタウンで珍しいショーを演じている。芸能人風にキメていても、すぐホンネをむきだすジャマイカのスターたちは、誰でも街の中で暮らす身近な雰囲気を持つ愛すべきスターたちなのだ。

今日もキングストンの街のあちこちで、レコードショップの前に置かれた巨大なスピーカーからレゲエがフルボリュームで流れている。

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