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2020年04月04日08:23

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キリシタン紀行 森本季子ー84 聖母の騎士社刊

私の奄美紀行ー48

一、大浜海岸と名瀬
 奄美に来てから自分でスケジュールを作ることをやめた。周囲の親切な人たちが助言し、お膳立てをして下さる。時間もあなた任せで、すっかり肩から力を抜いた。
 この日(三日目)もカリタスのシスターから大浜海浜公園行きという素晴らしいプレゼントをいただくことになった。
 地図の上で名称だけは知っていたが、私のプランには無かったものである。午後、名瀬で河内嘉純夫妻に会うことになっていたが、午前中は特に予定を立てていなかった。カリタスの車で二人のシスターと共に出かけた。
 大浜海岸は東シナ海にのぞむ珊瑚礁の景勝地である。しかもこの日は大潮。昼近い海は遠くまで退き、沖のリーフに波がレースのような白線を描いている。潮の引いた遠浅の珊瑚礁づたいに可成り沖まで行くことができる。あちらこちらの水溜りに小魚が、取り残され、小かにがはいまわっている。足の下に珊瑚が砕ける。そのあたりの形よい珊瑚に手をかけるとポロッと取れる。装身具に加工する赤や桃色の深海珊瑚と異なり、黒ずんだ褐色だが、形は飾り物の珊瑚と同じ。記念に幾つか採取した。後でカリタスのシスターがこれを漂白剤でさらし、真っ白にして下さったのには感心してしまった。
 「ね、シスター、これでは大潮の日に珊瑚を取ってきてお土産店を出してもいいですね」
 と冗談を言ったほどである。大熊あたりではブロック塀を用いているが、かって奄美の石垣は珊瑚礁のかけらを積んだものである。これはハブの絶好の隠れ家となるので用いられなくなったと聞く。

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