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2020年01月25日06:51

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キリシタン紀行 森本季子ー24 聖母の騎士社刊

四、上五島へ渡って(1988年8月30日)

●中通島へ

 早朝六時、福江教会のミサに出かけた。この教会は宿所、上乃家から通り一つ隔てた場所にある。主任の浜崎師とM師の共同司式で、土地の信者八十名ぐらいが出席していた。

 宿所出発は七時半。福江港からフェリーに乗船して上五島、中通島の奈良尾港に向かった。福江の町を囲む丘陵の後方に鬼岳が緑色の頂上をのぞかせている。遠ざかる福江島に名残を惜しんでいると、急に空模様が怪しくなってきた。(中略)

 五島には亜熱帯植物のアコウ、ヘゴ、ビロウなどが自生していると聞いてはいるが私たちは見たことがない。これも勉強の一つと、波止場に近い奈良尾神社のアコウ大樹を見学した。樹齢六百年、国指定の天然記念物である。幹の下部が二つに分かれ、その間を参道が通っている。太い幹や大枝から無数の垂根がたれ下がり、これが地面に付けばそこからまた新しい芽が出る。南方では一樹よく森をなすとか。この珍しい大木を見上げながら何となく南太平洋の島に来たような気分になった。


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