●浦頭教会
スモッグの空に馴れた目には五島の空の青さがしみるほど目に鮮やかである。その空とコントラストをなし、白い平面を大きく広げた現代的な建物が浦頭教会である。濃緑の大蘇鉄を前景にした簡素な色調が美しい。約二十年前の完成。つまり五島としては大変新しい教会である。
ここは昔奥浦に属していた。アルメイダが五島にはじめて布教した時（１５６６）、最初に教会を建てた地が奥浦であったという。明治初年の弾圧で五十九名のキリシタンが入牢の苦しみに耐えたのも奥浦。そして迫害終了後、パリ外国宣教会の司祭が来島し、まず居を定めたのが奥浦地区だった。集落はほとんどキリスト者で、現在は小教区教会となっている。
この日のミサはこの浦頭教会だった。この時の聖歌が印象的であった。入祭時に、殉教者の栄光をしのびながら、
私は世の光、私に従う人は
いのちの光を持っている
あなたがたは 世の光
山の上にある町
世界の中に輝き
人々の中に立っている
（「合唱典礼聖歌集」�矯郢貂邏平軍誠冑辧�
閉祭には、彼らの信仰と受難を追想して
いつくしみ深き 友なるイエスは
かわらぬ愛もて 導きたもう
世の友われらを棄て去るときも
祈りにこたえて 労（いたわ）りたまわん
（「賛美歌」３１２番 日キ販）
これまで同じ歌を幾度も歌ってきた。が、これほど胸に迫る実感をもったことはなかった。
ログインしてコメントを確認・投稿する