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2019年10月20日07:33

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1985年 須磨の風ー1 ボブ・マーリイ・メモリアル

 いつの間にか、会場はすっかり闇に包まれていた。海浜公園の休憩所の仮設前ステージ前には7・800人もの観客がひしめき、歓声と熱気と、長い時間待ちわびていた今日のメインゲスト、ルーツロッカーズとカジャ&ジャミングの演奏がいよいよ始まるという興奮がビリビリしたエネルギーの渦となり、総立ちの観客たちのパワーは限界にまで達しているような、そんな暴力的雰囲気で、ルーツロッカーズのステージが始まった。

 ほんの数十分前までの海辺の平和でのどかな景色、夕方の犬の散歩の年寄り達、最後の波乗りを楽しんでいるウインド・サーファー達、夕食にありつくのに一生懸命な鳩たち、ボール遊びやフリスビーを楽しむ観客達、仲間と寄り集まって身内話に盛り上がる、しどけなく膝をくずした女の子たち、平和な海辺の景色とさわやかな風に名残りを惜しむように、曇りがちなこの日の太陽が薄い雲の向こうの山陰にゆっくりと消えていった。そんななかにステージからは絶え間なくレゲエの音が響き、遠く沖合を忙しく往来する漁船や貨物船の船乗り達の心まで和ませるようなユニバーサルでのどかな、イエー!リラックス&ポジティブな、そんな景色は懐かしい昔の思い出の如く飛んで行ってしまった。

 ルーツロッカーズが登場した途端、闇に包まれた観客達の弾けるような暴力的興奮と一種狂気のような空気が、ステージ直前で、ビデオ撮りとステージのガードを兼ねている、僕の背筋をゾクゾクさせた。


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