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2019年09月21日07:44

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1985年 ジャマイカ旅ー5

今夜のコンサートはグレゴリー・アイザックスが楽しみだった。四時間も待った昨夜の体験に懲りて、8時前から一眠りした。12時頃に起きて、最高潮に盛り上がった会場に行く予定だった。
そして目を覚ます。時計を見る。2時だ!(しまった!寝過ごした!)会場からグレゴリーの歌が聞こえてくる。慌てて着替え、ホテルを飛び出した。が、なんと表で当のグレゴリーにばったり鉢合わせした。会場では、まだ彼の歌が流れていた。「えー!本当にグレゴリー?」「イヤー、チャイナマン」(ジャマイカでは日本人も「チャイナ(マン)」と呼ばれる。最初は腹も立つが、あちこちで言われまくり、無理やり慣らされる)会場の音はレコードだった。ステージを終えたばかりのグレゴリーは二人の側近に抱きかかえられて、ぐったりしていた。会場に近いこのホテルに今夜は泊まるという。日本のレゲエ・シーンを手短に話し、キングストンでまた会いたい、と言っても先生は朦朧として、はっきりしたことは何も言わなかった。ヤクザで手が早いと評判の人だから、僕もおっかなびっくりだった。
しかし、その後、彼の店「アフリカン・ミュージアム」で会った時はしゃきっとしてたし、親切で紳士的だった。トレード・マークの帽子を粋にかぶり、見るからにスターの雰囲気を持った人だった。
コンサートには行けなかったけど、グレゴリーには直接会えた。ラッキーか?アンラッキーか?複雑な気持ちの夜だった。

キラマン・ジャレットがスプリッフ(紙巻のマリファナ)を吸いながら、真っ赤な目を光らせて僕に約束した。「お前がジャマイカにいる間に、知り合いが持ってる山の中のガンジャ(マリファナ)畑に連れていってやる。そして、ジャマイカのラスタを代表する伝説のラスタマンで、ボブ・マーリイを発見して導いたあのプラトーにも会わしてやろう。ただ彼は居所の分からない謎の人物だ。ジャングルに居ると思うと、街に出没する。何とか連絡を取って会わしてやろう。うーん、それから温泉もいいな。どうだい?」
ここはキングストンのレコード会社、シャブロック・レコードのオフィイス裏手の台所兼食堂だ。と言っても、コンクリの流しとカマドの他には、ガラクタをのせた大きな古テーブルと、中身がむき出しの白黒テレビという殺風景な部屋で、スタッフや近所の子供たちが集まって、賑やかに昼飯を食べていた。皆がチキンカレーを美味しそうに味わっていると、シェパードがのっそり入ってきた。

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