文春オンライン 2018年5月
先生への賄賂が授業料
(7)ファン・ジェヒ(36歳・男性)
──獣医だそうだが、国の仕事だから待遇はいいのでは?
「(大きくため息をついたあと、苦笑しながら)配給が10日分か15日分出るときはありますが、商売しなければ誰も食べていけませんよ。この季節はマツタケを売ります」
──最近では、飢え死にする人はいないのでは?
「以前よりよくなったとはいえ、死ぬことができないから生きているだけです。いまの季節は、飢えて死にません。野原に出れば、穀物を泥棒して食べられますからね」
──金正恩委員長について。
「以前は、みんなで集まっても体制批判するのは容易でなかった。でもいまは、祝日や誕生日に集まってお酒を1杯飲めば、最高指導者に対して悪口を言い合います。『自分だけ飯を食らって腹がいっぱいだから、あんなことをしている』と。庶民が食べていくのに、核やミサイルなんか必要ないじゃないですか」
──金正男氏が海外で暗殺されたが?
「その人が大統領になりそうだから殺したという話が、村で広がっています。叔父の張成沢も殺し、兄も殺すのだから、私たちが何か失敗すれば『この野郎、子牛め!』と言って撃ち殺すのは簡単です」
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