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2019年02月16日07:37

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1985年ジャマイカの旅ー17

「行け」(GO)の許可がやっと出る。ガンジャが発見されないか心配したが(当然持ってる筈だ)、ポリスの声にホッとした。うっぷんを晴らすように、派手にタイヤを鳴らしながら、ジープは急発進した。検問を待つ十台ほどの車がバックミラーの中で遠ざかる。ジャマイカ人たちは、もう軽い冗談とお喋りを楽しんでいる。僕は心配したが、彼等にとっては当たり前の日常生活の一部なのだろう。底抜けにタフな奴等だ。

前方に黒い雲が現れた。ジープは白く光る海に沿って快調に走っている。雲がゆっくり近づいてくる。灼熱の太陽はまだジープを焼いている。海岸沿いにココナッツ・ヤシが並び、野原で牛たちが呑気そうに草を食べていた。遠くの山々の緑が美しく、すべてが生き生きと光り輝く世界だった。マフラーの壊れたジープは飛行機のような爆音を響かせて疾走した。そしてスコールが始まる。日本ではありえない不思議な雨だ。晴れた世界から大雨警報の世界に一瞬に飛び込むのだから。フロント・ウインドウに守られた前の我々はまだしも、可哀想に屋根も無い後ろの荷台の連中はずぶ濡れだ。しかしジープは豪雨にひるむ事無く突っ走る。のんびり歩いていた人々も雨宿りの場所を求めて、右往左往と駆け回る。通り過ぎた商店の軒先では鈴なりの人々が恨めしそうに空を眺めていた。雨足が益々激しくなった。車は山道に入っていく。スピードが落ち、前の席の我々もびしょ濡れになる。強気のドライバーも到頭ギブアップした。近くの酒場(食料品も売っていた)の前に車を停めると、我々一同は店内に駆け込んだ。

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