こないだ職場の近くの台湾料理屋に行ってきた。
なんで日頃のコンビニおにぎりをやめてお洒落な店に入ったかというと、歓迎会をやったからだ。
人事異動で他からひとりラインに転入してきた。
普段だったらドンチャン騒ぎの歓迎会をやるところなんだけど、今はそれはご法度。
酒抜きの昼飯でさえ大人数での会食はご法度。
そうはいっても、せっかく新しい仲間を迎えたのになんにもなしというのは人の道にもとる。 そうでなくとも、皆、代わりばんこでテレワークをやってるので、ちゃんと顔を合わせる機会が少ない。
なので、二人ずつツーマンセルを組んで昼食会を催している。で、僕の回はお洒落な台湾料理屋さんだったわけだ。
久々に食べた小籠包と鶏そば、美味かったよ。
銀座で小籠包というと、サライネス風に通な店に行きたいところなんだけど。
職場の昼休みどきではそうそうまったりも出来ないので、さくっと行って、適当にお喋り出来て、さくっと戻れる店にしたわけだ。
で、お店でどんな話をしたかというと、おいらが台北で食べた小籠包は絶品だったというようなこと。
おいら、カミさんと1回、遊び仲間と1回、台北に観光旅行に行ったことがあってね。
そのたびに出向く小籠包の店があるんだよ。僕らだけでなくて観光客はたいてい赴く。
そのときの日記を抜粋するとこんな感じ。
初日はまず、台湾旅行だったら誰でも行くというこの食堂で夕飯を食べた。
名物の小籠包がねえ、出てくるわ、出てくるわ。 オーソドックスなのから海老入りやらなんやら、もうワンコそば状態。
もちろん、自分のことばかり喋ったわけじゃないよ。
主賓は広島出身なのでお好み焼きのことなどを喋ってもらった。 そしたら、先だってかの地にお住まいのマイミクさんに教えてもらった通りだった。 大阪風は具をぐちゃぐちゃにかき混ぜて焼くのに対して広島風は重ね焼きで仕上げるところに特徴があるそうだ。
地元料理のことって初対面同士の当り障りない話題に最適だからね。
僕も広島はそばを具にするのが掟なんだよな、大坂にもモダン焼きというのがあるけど掟化まではしてないとかなんとか話題に反応出来て話が弾んだ。
こういう小ネタを仕込めるのはmixiの効用のひとつといえよう。
ただし、今回の相手は僕と同じ趣味は持ち合わせていない気配が濃厚だったので、「台湾料理だったら攻殻だよな」といった話題は出さなかった。
長いことヲタクを続けてるとさ、相手が同類かどうか嗅ぎ分ける嗅覚が発達するんでね。
会話をしている相手がこりゃあ健全なる一般市民だなと察知したら、そいつが鼻白む話題を敢えて出すことは差し控えるようになるんだよ。
実際は「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」という作品には台湾がてんこ盛りだ。
例えば、かの地ではお茶は鉄瓶を急須がこぼれるまで浸して淹れるのが流儀だ。
僕はこれを現地で実体験した。
台中市に無為草堂という料理屋さんがあってね。
そこで食後に供されたお茶がまさにそのものだった。
ちなみに無為草堂ではアルコール類は一切出さない。
そして食事はいわゆる薬膳系の料理だった。
なにをもって、薬膳系料理とするか。それを説明するのにうってつけの人物がいる。
人呼んで不死身の辰。
人物はやくざ界ではそれと知られた存在であったが、足を洗って専業主夫になった。
そしてネトフリでアニメ化されて新聞記事で紹介されるまでになった。
その辰の妻が残業残業でへばる。
妻のために辰がなにをしたか。
薬膳系料理のフルオープンだったのだ。
いや、「攻殻」に出てきた台湾茶と一緒でね。
こないだうちとこでも薬膳系料理を賞味したんでさ。
「極主夫道」で紹介されたものはなるほど、たしかにそうだと合点がいったんだよ。
うちとこのカミさんも辰のところと同じ職業婦人。
なので、特に仕事が遅くなる金曜はおいらはネコのまりんと二人で晩餐を楽しんでいる。
土曜は金曜よりはカミさんの帰りは早いけれど、それでも晩飯の用意をする気力がわく時間帯ではない。
そうかといって、おいらは不死身の辰みたいに主夫道を極めるような存在にはほど遠い。
昨日の残りのゴーヤチャンプルーをレンジでチンして目玉焼きを乗っけたようなものなんて食べとうないと言われれば、そりゃそうだろうなと思わざるを得ない。
なので、土曜の晩飯は出来合いの総菜か店屋ものにすることが多い。
先週土曜の晩は駅前のスーパー、ヤオコーで買ってきたピザと寿司。
その前の土曜の晩はお茶漬けセットのデリバリーだった。
まあ、贅沢といえば贅沢だけど、なにしろ俺らこの1年以上自粛自粛でさ。夫婦飯ばっかり食ってるんでね。
このぐらいは大目に見てクレヨンなんだよ。
で、お茶漬けセットの前の土曜は薬膳系のデリバリーを楽しんだ。
これが不死身の辰が用意した料理と全体的に似てたんだよ。
個々にもね。高麗人参入りのスープなんかクリソツ。
豚や鶏なんかも雰囲気的に似ている。
そうしてみると、日頃カミさんが食卓に出してくれる料理もあちこちに薬膳系の装いがこらしてあることに気がつく。
例えば豆ごはん。
あるいは人参のお浸し。
薬膳系は身体によい。食べるべし
それをけっこうしょっちゅう食べてることに今さら気がついた今日この頃なのだよ。
そしてその日、僕らはデザートに定番、カルディのお善哉をいただいて健やかな薬膳系夕餉を終えたのだった。
おしまい
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