これでお終い、続きはないよという作品のラストには決めゼリフがつきものだ。
勝手にしやがれ(À bout de souffle)のベルモンドはこうつぶやいた。
c’est vraiment dégueulasse.
ワイルド・バンチの決めゼリフはもっとシンプルだ。
ウィリアム・ホールデンが言う。「Let's go.」
アーネスト・ボーグナインが応える。「Why not?」
で、4対200の壮絶なラストに至る。
漫画だって負けてない。
サイボーグ002のジェットが言う。「ジョー、きみはどこにおちたい?」
もう一人のジョーは「真っ白な灰」
しかし、多くの場合、そうはいかない。
ダーティー・ハリー・キャラハンはマグナムで変態野郎をぶっ飛ばした後、サンフランシスコ市警のバッジを川に捨てた。
しかし、その後も2から5まで万年インスペクターを続けざるを得なかった。
ゴジラだって、オキシジェンデストロイヤーという必殺兵器で初代は完全消滅したのに。
山根博士の”To Be Continued”なセリフ、「あのゴジラが、最後の一匹とは思えない」がラストに出たせいで、次から次に新ゴジラが現れて日本どころか米国にまで上陸した。
ちなみにオキシジェンデストロイヤーを発明した芹沢博士はマッドサイエンティスト的な風貌ながら、実は自分もろともせっかくの発明を滅する平和主義者だった。
これに対して、好々爺風の山根博士が東京を破壊しまくるゴジラを研究材料として保護するべきだとか無茶苦茶なことを言って、周りを困らせる科学至上主義者だったりする。
僕はこの辺の妙も初代ゴジラの味だと思っている。
まあ、とにかく
The Empire Strikes Backで
I will be backなのだ。
なので、僕も7連休のGWを終えて仕事に復帰した。
外野席ばっかりいるわけにもいかねえ
現刻より状況開始
なんて、かっこいいものではもちろんない。
ほんとはもっと休んでいたかったんだけど。その方が政府の意向に沿ったんだけど。
ベターっと家に居るのはいい加減にしてっ
という声には逆らえるはずもなく
イエス、マムだったのだ。
それにしても、「イエス、マム」って最近の流行り言葉だな。
そんなことで朝もはよから通勤電車に乗ったよ。
そしたら、電車の混み具合はいつも通り。どこが緊急事態だっちゅうねん
まあ、おいらもそれに加担したひとりなのでとやかく言えないけど。
山手線なんか、あんな早朝だってのにいつもより混んでいた。
そしたら、間引き運転してたんだと。
まびきーっ?江戸時代じゃあるめえし。
いや、木枯し紋次郎っていう渡世人がいたじゃない。
紋次郎は食えるときに食っとくということで、即物的にガツガツ飯を喰らう。
それが蒟蒻だけは頑として食べない。飢え死にするかというぐらいの腹ペコのときに差し出されても手をつけない。
なぜかというと、上州新田郷三日月村で蒟蒻を使って間引きされそうになったからだ。
でもまあ、電車が混むのはしょうがない。
ため息が出たのは相変わらず歩く人がいっぱいいたことだ。
舗道とかそういうところじゃないよ。 駅のエスカレーターだ。 こういう風にくどいほど言われてるのにねえ。
右側で立ち止まってるとドつかれかねない。
こういうポスターの横を歩いていく人、人、人でねえ。
歩きたいなら階段を行けよ。 そんなに慌てるほど大事な用事があるのかい?
第一、こんな短いエスカレーターを歩いても1秒稼ぐのが関の山だぜ。
東京は民度が低い、条例を作った埼玉を見習えとまで思ったけれど。
その浦和駅でもやっぱりエスカレーターを歩く人がいた。
これはポスターを無視して歩く人だけのことではない。
あれだけ医療が大変だっていう悲痛な声が満ち溢れてるのにシカトして外遊びをする人にも当てはまるんだけどさ。
テラフォーマーズの人が喝破した通りだと思う。
教えてやるよ!モラルのねえやつってのはよー
大抵危機感がねえだけのマヌケ野郎だってな!
まあ、おいらもエッセンシャルワーカーでもないのに荒川を超えて東京までのこのこ出しゃばったので、あんまりえらそうなことは言えないんだけどさ。
仕事自体もね。
荒事は男の仕事だと威勢のいいことを吠えたりしても
男児はすぐにかっこつけたがると言われるのがオチだ。
久しぶりにガンマン姿が見られるかしら?と問われて
鉄火場に立つのは嫌いじゃないが立場がある、なんて言えればかっこいいんだけど。
基本的には陽当たりのいい窓際で辺境伯をしていた。
で、昼飯はいつものように新聞を眺めながらローソンおにぎりを食べた。
金曜の一面トップはどの新聞も緊急事態宣言のことだったけど
日経のスポーツ欄には我ら中年の星のコラムが健在だったし
ミチクサ先生は「猫」の執筆に着手していた。
緊急事態宣言のことは晩の食卓でも話題になった。
「なんで埼玉はマンボウ止まりのままなのよ」
「一都三県は同一歩調だったはずなのに変だよな」
これじゃ、観光やらなんやらで東京から遊びに来る人が増える一方。
人流の加速、神竜剛次だ。
「だいたい、愛知や福岡が緊急事態なのになんで埼玉はならないのよ」
「名古屋はゴジラ、博多はガメラにやられたけど、埼玉はまだ怪獣が来てないからなあ」
「アホなこといわんとって」
そんなことで、木金と二日だけ出勤してまた週末のお休みなのだ。
これでいいのだ。
「en plein soleil」はほんとはお天道様は見ているぜといった意味らしいけれど。
今日も太陽がいっぱいなのだ。
なので、これから散歩に行ってくるのだ。
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