ウッドデッキ日和

天高く馬肥える秋だねえ。

みんなあ、馬券買ってるかあい

おいらは足を洗ってずいぶん経つので、勝負するのに不可欠な馬の得意な距離やら馬場やら騎手やら血統やらのデータストックがパンピーになっちまってるんでね。

今はうちとこのネコのまりんと名前が似てるウルトラマリンとウインマリリンが出るときだけ、レース展開予想もへったくれもなしで単勝を買ってるんだけどさ。



カミさんは無謀にも日曜に京都で開催された菊花賞で勝負に出た。

そりゃあ、史上初の親子無敗のままのクラシック三連覇、大本命のコントレイルが優勝するのは鉄板だったけどさ。

勝っても１．１倍じゃ、買う価値あらへんということで連複を狙った。

たしかに、ド本命の単勝が意味なし芳一なのはその通りなんだけど。



なあおまえ、世の中ちゅうとこは、そんなに甘いもんやおまへんのや

カミさんが買った２番人気馬は馬群にまみれたままで、土と火と空気と水が万物を構成する四大要素であると唱えた哲学者の名前を冠した四番人気馬が首差で２着に踊り込んだ。

　

まあ、彼女が連複に突っ込んだのは１千円だけだったので、お楽しみ代のレベルなんだけどね。

まことに青島幸男が喝破した通りだ。

馬で金儲けしたやつあないよ♪

スーダラ節　−　植木等


https://www.youtube.com/watch?v=5Tynp0p4OTM


僕はクレージーキャッツが全盛を誇った１９６０年代前半はせいぜいが小学校低学年だったので、あの大人向けギャグはチンプンカンプンだった。

その後に出たドリフターズの子供向けギャグに腹を抱えた世代なんだけど。

自分がサラリーマンになってハシゴ酒を繰り返すようになって、その真価を知った。

スーダラ節は今もまったく生きている。ニッポンの昭和歌謡が生んだ最高傑作だ


その植木等が主演したニッポンの高度成長時代のサラリーマン映画のことをとあるマイミクさんが日記のテーマにした。



ちょうどその日、日経新聞のコラムがこの映画をネタに使っていてね。

サラリーマンは気楽な稼業と来たもんだあ♪

映画の挿入歌の「ドント節」が唄ったのは、年功序列と終身雇用に守られた昭和のホワイトカラーそのもの。。

おいら、思わず膝をポンと叩いちまったよ。




ということで馬はコケたけど、日曜は気持ちのいい秋晴れだった。

この日、僕はヲタ仲間の総帥からの作戦指令を辞退していた。

その作戦は立川で「どうにかなる日々」だけ見て反省会を催すという内容だった。

明らかに僕のチキンなわがままを反映させた計画であった。

仲間の中で唯一還暦を超えている僕が宣言していた要望は二つ。

ひとつ、若い野獣が群れる渋谷、新宿、池袋には立ち入らない。

ふたつ、同じく若いのの３密が予想されるキメツには触らない。


キメツとはなにか。　こないだＴＯＨＯシネマズ日比谷にそのヲタ仲間とアイドル映画を見に行ったらさ。　ショップはもうすぐ公開のその映画のグッズが満載だった。

　

通りかかったカップルが話す声が聞こえた。

「すげえな、キメツばっかりだ」「見に行くの？」「行かねえよ、混むだろうからな」


僕もヲタクのはしくれだからね。　劇場版化の大分前にローソンがキャラクターおにぎりを出した頃から評判は耳にしていた。　ジャンプのキメツは面白れえ、テレビアニメもパねえ。



それが今やコンビニの店内はキメツだらけ。



そして、公開開始。日経が関係記事を掲載するに至って僕は宣言した。

キメツはやべえ、とんでもないブタ混みになるのが見えてる。俺は行かん。




しかし、世はキメツ、キメツで草木もなびく情勢だ。

それを避けてしかもアングラの三大ゾーンも避けてでは、作戦計画の立てようがないのは目に見えていた。

僕にはそういう立場になりたくない二大がある。

ひとつ、招かれざる客になること。

ふたつ、仲間の足を引っ張ること。


そんなことで、総帥に申し入れたわけだ。

今回の日曜作戦はおいら抜きで立案してくれ。


総帥も僕の気持ちをわかってくれてね。

今回は巨乳派とのツーマンセルで決行することになった。

場所は魔界都市・新宿。コードネームは「どうにかなる音楽」

「どうにかなる日々」　バルト15：45−16：55　　移動
「音楽」　武蔵野館17：55−19：06　　
その後、反省会


ここに「音楽」をぶち込んできたところが総帥のセンスの光るところだ。

こいつあ傑作でね。　僕は総帥と封切り直後に見て感激しちゃってさ。　もう一回、アニメに土地勘のない盟友ろまさんを誘って見た。

初回は巨乳派が奥さんと先約があって不参加でね、総帥と僕のツーマンセルだった。

なので、ヲタ仲間の中で巨乳派だけがまだ一回も見てなかったんだよ。

しかし、新宿武蔵野館はえらいなあ、このマイナー作品の上映をまだ続けていたんだ。

なんだかんだで、1年近くになるロングランだよ。



その後、久々登場の若も参加することになって、「どうにかなる音楽」作戦はトリオで決行することになった。


そうしてデンジャラスゾーンで作戦行動を敢行するヲタ仲間に心の中で声援を送りつつ。




僕の方も秋晴れを満喫するプロジェクトをやったよ。


我が家には玄関の横にウッドデッキがある。

普段はまりんが日向ぼっこをするくらいであまり使わない。



しかも、まりんには外出は厳禁にしている。

外の世界にはねえ、クルマやらイヌやらヘンタイやらが蠢いているからねえ。

かわゆいネコにとっては、新宿どころでないデンジャラスゾーンそのものだ。

なので、まりんがウッドデッキに出るときも横で体操したりなんだりして、外に出ないように目配りを怠りなくしているんだよ。




なので、いつもはほんのいっときだけのことなんだけど。

せっかくの日本晴れなんだし、まりんにものびのびしてもらいましょう、ウッドデッキでランチパーティーをしましょうよ

と、カミさんが提案してね。　そりゃいいね、と僕も乗ったわけだ。


カミさんがパーティーの食材を買い出しにＰＡＲＣＯのヤオコーに出かけた。

心配だわ、キメツのせいで駐輪場が満杯になってるかも。翔んで埼玉のときみたいに。



まあ、埼玉映画のヒットは別格中の別格だったので、そこまではなかったようだけどね。


その間に僕はウッドデッキに柔らかいシートを敷いて



まりんがそこから出ないように出口の２か所にバリを築いた。有効だったよ。

　


そして、カミさんが帰還した。

メインはチキンの乗ったピザ。普段は５９０円なのが５００円に割引だったんだと。

あと、サンドイッチ各種。



僕はプレモル、カミさんはタピオカミルクティーで乾杯した。


いやあ、日曜は超絶によいお天気だったからね。

気持ちよくて美味かったあ

妻「さすがにいつもの生協のよりも高いだけあるわ。美味しいわね」

僕「これは分厚い生地のシチリア系だな」

妻「シチリアのは他のピザと違うの？」

僕「うん、シチリアの生地はもモチッとして分厚い。ローマのはパリッとして薄い」

まあその、このイタリアを舞台にしたマンガからもらった知識なんだけどね。

　

ガンスリンガー・ガールの伝では、仲間たちが反省会会場にするであろうサイゼリヤのピザは薄いローマ系だ。




そして、まりんも美味しそうにご飯を食べたよ。



明るい陽光の下、妻と猫と三人でのんびりゆったり過ごす。

もうねえ、気分は太陽がいっぱいだったよ。




さらに追加品もあった。パン系ばかりだと舌が飽きちゃうでしょう。




その鉄火巻をつまみ始めたとき、うちの裏手の家の２階から声がかかった。

楽しそうねえ

カミさんと仲のよいご近所の奥さんだ。

いらっしゃいよ、まりんもいるのよ。

あら、まりんちゃんに会うのは久しぶりだわ。じゃあ、ちょっとお呼ばれするわね。

そうして、ご近所さんが柚餅子などのお茶菓子を持参して来てくれた。



彼女の家にもネコが二匹いるもんだから、ネコ話で盛り上がったよ。


ご近所さんがおいとました後も、僕らは食後の珈琲を楽しんだ。



まりんは好物のヨーグルト（ただし、ヒトが食べた後の底にひっついたの）をピチャピチャ舐めた。




これが第一幕。　翌日にウッドデッキ・ランチ会の第二幕があった。

えっ？翌日は月曜だろ？　あんた、いくら気楽な稼業でも一応宮仕えだろって？

そうなんだけどさ、おいら都心に通うホワイトカラーの義務として混雑緩和のためのテレワークをやっていて、今週はその当番なんだよ。

で、昼休みにウッドデッキで飯を食うのは労働者の当然の権利なんだよ。

今日もテレワークで通勤時間がカットできるので、こうやってＭｉｘｉ日記をアップできるんだけど、それはおいといて。


月曜はまりんにとって大事な日だった。

なにかというと、追加の診断を受けたんでね。　彼女は定期的にかかりつけのお医者さんのとこでお小水なんかの検査を受けてるんだけど、１か月前の結果があんまりよくなくてね。　もう一回検査しましょうと言われていたんだよ。



ネコは腎臓が傷みやすくて、その兆候がある。

で、この月曜にカミさんがその獣医さんのところに連れてったら。

良好　ペーハー値はちょっよくないかもから、健常値に下がってくれていた。

これはお祝いをしなくちゃでしょう。


幸い僕はテレワーク。　職業婦人のカミさんも月曜の昼飯どきはフリーだった。

もちろん勤務中なので、アルコールはご法度。ノンアルにしたけどね。




今回も食材の調達はカミさん、設えは僕が担当した。

獣医さんの帰りに通りかかったベーカリーがちょうど開店したとこだったという。

近所で評判の出来立てパンの店だ。



そこで買った調理パンがメイン。　あと、僕が買ったファミコロ。　カミさんが握った塩結びに生トマトなど。



さすが、評判の店、美味し。



もちろん、主賓はまりんだ。



やっぱ、ヒトもネコも健康が一番。　前日、新宿に進軍したヲタ仲間からも楽しかった、えがったという戦果を喜ぶメールが来ていた。


僕らはデザートの菓子パンも頬張った。バタークリームと餡子の組み合わせ、美味し。



で、気持ちよさそうに佇んでいるまりんを眺めながら



「スフィンクスみたいだな」「元々ネコはエジプトから来たらしいわよ」


遠出をしたりなんだりしなくとも、幸せの青い鳥はすぐ身近にいる

ということを実感した二日間なのでした。