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2020年02月24日10:28

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音楽、再び

JR新宿駅東南中央口の改札を出てルミネの横をいくと地上にあがる階段がある。

その階段はとある老舗映画館への通路を兼ねている。

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どのくらい老舗かというと、この6月で創業100年だってんだから老舗中の老舗だ。

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そのわりには実際に足を運んだことのある人は案外少ないのではないかと思う。

例えば今上映中の何本かの一つはこれだからねえ。

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博識の相棒ろまさんによると、ドイツに実際にいた人の話らしい。 そのおっさんはバーで女の人に声をかけて酒をふるまうことを常としていたんだけど、呑み終わると女の人たちはさっさと去っていくのが常だったらしい。 おっさんはかなり残念なみてくれだったそうなんでね。 で、プッツンして女の人を殺して回るようになったんだと。

普通の人はそういうおっさんが主人公の映画にはあんまりそそられないと思う。


昨日は三連休の中日だったので、僕はろまさんと待ち合わせてこの映画館に赴いた。

いや、屋根裏の殺人鬼を見るためじゃないよ。

隣のシアターでやっていたこれを見るためだ。

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僕が「音楽」を新宿武蔵野館で見るのは2回目だった。

1月の封切り直後にヲタ仲間の総帥に誘われて見にいったら想定外の面白さでね。

なにこれ、すげえじゃん、ファンキーじゃんexclamationということでぶっとんじゃってさ。

そのことを書いた日記を読んだろまさんがよさげじゃないかと言ってくれたんでさ。

昨日、行ってきたわけだ。


僕らは11時に紀伊國屋で待ち合わせた。で、映画館で12時半上映のチケを買って、とりあえずイッペエやることにした。

といっても昼前なので、たいていのお店は開いてない。ビアホールのライオンは開いてたけどバカッ高いのでやめにして。 鉛筆ビルの4階に手頃な居酒屋があったので入った。

で、モルツや角ハイボールを呑みながらだべった。

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ろま 「アニメを映画館で見るのは梅田の阪急ナビオ以来だ、実際には見てないけど」

ぼく 「ああ、あれな、幻魔大戦」

あれは今をさること30数年前、僕らは大阪で独身寮生をやっていて、しょっちゅうつるんでいた。 なにしろ二十歳代の恐れを知らぬ若者たちだったので、終電の時間?ほっとけ、ほっとけで呑み歩いてた。

そのときもそういう晩だったので、深夜上映を打っている映画館で夜を明かすことにした。 そのとき上映していたのがこれだったんだよ。

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大好きな平井和正の小説に大好きな大友克洋が画をつけたってんだからさ。

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僕は大興奮で館内に赴いたんだけど。 なにしろへべれけだったんでね。 あっという間に寝落ちしちまって。 映画館のお兄さんに肩を揺すられて目が覚めたときはとっくに映画はFinになっちまっていた。 それはろまさんも同様だったわけだ。


僕は今では週に1度は映画館でアニメを見るすれっからしになっているけど。 ろまさんはあの寝落ちの晩以来のほぼ童貞だという。

しかし、僕には確信があった。こいつは絶対気に入ってもらえると。

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なにしろ、ろまさんは70年代フォーク小僧にしてロック野郎。

「音楽」はそういうやつにこそバリバリに入ってくる映画なんでね。

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まあ、だまされたと思って、予告編を開いてくれよ。

71分全て手描き!アニメーション映画『音楽』予告編


https://www.youtube.com/watch?v=7Fh6prMlXFg


実際、ろまさんも気に入ってくれたよ。

僕らは映画がハネると近場にある馴染みの食堂に入った。

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で、瓶ビールで乾杯して、アジフライやらなんやらをつまみながら反省会をやった。

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ろまさんが70年代ロック野郎ならではの感想を述べる。

いや、つっぱりたちのとんでも演奏を聴いて

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平岩紙がトリップするシーンがあってさ。

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その脳内に有名なアルバムジャケットが重なるシーンが出てくる。

で、僕はこれらはすぐに見てとれたんだけど。

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ろまさんはタルカスもあったと言う。エマーソン・レイク&パーマー

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そして、高校時代の文化祭を思い出したと言う。

高三のときに仲間5〜6人でこれをやったんだと。

【岬めぐり】 山本コータロー&ウィークエンド


https://www.youtube.com/watch?v=5SVjy25N7xs


いや、なんで「岬めぐり」かというと。「音楽」にはたしかにいかにも70年代風なフォークバンドも出てくるけど。

コータローの横でウイークエンドの人がリコーダーを吹いているでしょう。

ろまさんも文化祭のステージであれを担当したんだと。

ろま「おかげでリコーダーも主役になれるということを今さら認識できたよ」

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ところで、ろまさんはいっとき千葉に単身赴任していたことがあるので、そこそこ土地勘がある。

なので、僕が尋ねた。 俺は「音楽」は千葉のつっぱりの話だと思うんだけど、どうだろう? ポイントはあのアビーロードのビートルズみたいに横断歩道を渡るシーンで背後に見えた大仏さまみたいな巨大像だ。

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ろま「うーん、千葉にはああいうのはないなあ」

ぼく「海辺の話なので埼玉ではない。湘南って感じもビタイチない」

ろま「あれは牛久大仏じゃないか、茨城人なら知ってるだろう?」

ぼく「牛久は大分東京寄りなので行ったことはない」

ろま「なんか茨城っぽい感じがする。あの川は那賀川なんじゃないか」

ぼく「でも牛久にあるのは大仏じゃなくて観音さまじゃなかったっけ」


なんていうおバカなお喋りを僕らが楽しんでいるときに。

一人の客がお店のお姉さんにクレームをつけ始めた。さっき、お姉さんが新聞をトイレに持っていくのはやめてくれと注意していた年齢不詳の痩せ男だ。

自分はちょっと新聞を読んでいただけだ、なんで文句を言うんだ、あなたの名前を教えろ云々 ネチネチかんぬん

なかなか終わらないので、ろまさんが男気を出した。

「さっきからうるさいよexclamation店の新聞をトイレに持ってくなというのは常識だろ」

ろまさんはムキムキマンだし、いつもどおりの黒ずくめの装束。

怒鳴られた痩せ男は小声でぶつぶつ言いながらそそくさと退散した。

お姉さんがろまさんに感謝したのは言うまでもない。最近はああいう風に助け船を出してくれるお客さんが少なくなってしまった。


ろまさん曰く YouTubeで見た「カサブランカ」の影響があったかもしらん。 

うーむ、たしかにボギーはラストで男気を出してたなあ。

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で、僕らはホワイトホースのハイボールなどを呑みながら歓談を続けた。

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例えば、僕がサライネス話をした。

このネコとダートラと野球と都心生活者に精通している作家が

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ロックバンドの物語をモーニングに連載した時。

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「音楽」のテーマソングを担当したミュージシャンにスペシャルサンクスを送ったり

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ラストのロックフェスに出てひでえ歌を歌っていたバンドのジャケットを描いたことを単行本の帯で紹介していたよ。

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そんなこんなで美味しく呑んで食って楽しくだべって。

僕らはお姉さんに手をふって店を後にした。

で、歩いた。 まだお昼の最中で日差しはポカポカだったからね。

靖国通りを皇居の方に向かって歩いた。

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二人の影が夕陽のガンマンみたいに長く伸びた。

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っていうのは椎名誠からもらったフレーズだけどね。たしかこのエッセイにある一節だ。

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こういう女子高があったので、知ってるか?知らんと話したり

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僕が「女子学院」なら最近知った。やきとん屋で呑んだ女子がそこのOGだというので、女学院?と聞き返したら、違う、女子学院ときっぱり言われたと話したら。

ろまさんに女子学院といったら、桜蔭、雙葉と並ぶ女子高御三家だぞと言われたので。

俺は茨城で高校生をやって地方の大学に行った者だから、東京の高校事情はチンプンカンプンなのだよと弁明した。


その成女学園なる学校の玄関の横にはこういう石碑があったので

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僕らはこの書籍で紹介されていた

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ハーンと漱石のかかわりなどについて話し合った。

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あるいはこういう懐かしい感じの商店街が大通りの横に見えたのでふらふら入ったら

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その先に病院が見えたので。

僕がかつて俺に「重篤の鬱」という診断書を出してくれたところだ、おかげで長期休暇を取れたので救われたという懐かしい思い出話をした。

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さらにその先に進むと、普通の住宅街になった。 それはいいんだけど、トイレに行きたくなってしまった。しかしコンビニもなにも見当たらん。困るではないか。

というときにこういう野っぱらがあったので、僕はついつい立ちションしてしまった。

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関係者の皆さま、すみません。あせあせ(飛び散る汗)

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そうこうするうちに巨大な建物が見えた。

ぼく「これなら俺も知ってる、白門だ」

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しかし、その建物の横の塀がいつまでも続く。

ぼく「中央大学のキャンパスってこんなに広いのか?すげえな」

ろま「いや、これは違う。大学だったら、上にあんな矢じりみたいなのは乗せない」

ぼく「たしかにまったくオープンじゃないな、なんだろう?」

ろま「この辺はもう市谷だ。とすればクニの施設だろ」

ぼく「ああそうか、朋ちゃんが大臣やってたこともあるクニの機関だ」

そしたらビンゴだった。

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で、その先の橋を渡って

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最初に目に止まった居酒屋に入って

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本日半額という焼酎のボトルを入れて

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これまた本日半額という刺身盛りや

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今どき珍しい見事なするめいかの姿焼きに舌鼓を打って

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お開きにしたのは夜の7時半だった。

11時から8時間半。 呑んで食って映画見て歩いてだべって

楽しい一日だったよ。
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