今日も「べっぴんさん」から一日が始まった。
この朝ドラも終盤に入ってきて、見逃せない回続きなんでね。
今朝は来るべきものが来たというか、すみれとゆりのお父さん、はなの夫の五十八さんが亡くなった。
明るい陽射しの中で、妻と二人の娘と一緒に写った昔のモノクロ写真を手に召された。
孫と戯れながら穏やかに逝ったドン・コルレオーネみたいだったよ。
今回はもう一つ大事な場面があった。
ジャズバーのママ大村すずさんのたぶん最後の登場シーンがあったんだ。
面倒をみてきた家出娘のさつきが身ごもる。 ジャズドラマーのジローは東京に出て成功する夢よりも、さつきと一緒に神戸で生きていく道を選ぶ。
すずさんは若い二人に自分は引退して楽することにしたので店を譲ると告げるんだ。
この男前のママを演ったのがかの江波杏子なんだよ。
あれは小学校高学年から中学生初めの頃。 僕はこの女優さん、いいなあと思った。
言わずと知れた女賭博師シリーズ。
当時、あれがテレビでよく放映されてねえ。 親父と一緒に見てたんだよ。
で、かっこいいなあ、いろっぺえなあと見入ったもんだった。
当時、女博徒といえば藤純子が当代随一の人気を誇ってたと思う。
ご存じ緋牡丹のお竜だ。
でも、あれは当時はあまりテレビで放映されなかったかなにかで、僕はそれほどなじみがなくてね。
それよりも江波杏子の登り竜のお銀だったわけだ。
ちょっと見てみる? 伝説の壺振りシーン。
https://www.youtube.com/watch?v=S7h4S8op8Ho
二人の女博徒に共通してたのは墨を入れた片肌をちらっとは見せても、モロ出しはなかったことかな。 裸で売ることはしなかった。
それでもアオい思春期の坊主にとってはさ、お銀さんは艶っぽい姐さんだったんだよ。
というか、うちとこの親父を初めとしてオッサン連中にも人気絶大で、大映はお銀シリーズを量産した。
今となってはどれを見たのか記憶が混濁してるんだけど、怒涛のラッシュだった。
この登り竜のお銀で一躍スターになった江波杏子は、大映の看板女優としてそのほかの役でも映画にドラマに活躍したんだけど、僕はほとんど目にすることはなかった。
かの「ガメラ対バルゴン」にも南海の島の娘かなにかの役で出たらしいんだけど、僕は映画館に連れてってもらえなかったので見てないんだよ。
そのお銀さんが半世紀を経て朝ドラで眼前に登場する。
これは見ずば、でしょう。
外航船のコックだった旦那を亡くし、一人息子も戦争で亡くして、一人でジャズバー・ヨーソローを切り盛りするすずさん。
いつも黒い衣装で、酸いも甘いも嚙み分けた風情でねえ。 えがったあ。
おまけショット。 かつての杏子さん。
考えてみると、僕はいわゆる任侠もの映画はこの女賭博師シリーズくらいしかまともに見たことはない。
なにしろ健さんとかに熱狂したのは、僕らの仇敵ともいえる全学連世代だからねえ。
例のあれだ、学祭のポスターが象徴してる。
とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへいく
そういう僕も漫画では熱中したことがある。
バロン吉本の柔侠伝シリーズ。 週刊漫画アクション連載。
これにはハマった。 仙台書店の2階やらでしょっちゅう立ち読みした。
こういう男汁ドバドバの劇画なんだけどさ。
いったんその世界に入っていくと止まらなくなるんだよ。
しかも、バロン吉本は女性キャラを描くのも巧くてねえ。
代表格は茜ちゃん。 かわゆかった。
僕だけでなく、1970年代後半の若者にはファンがいっぱいいいた。
その証拠にサントリーがヤング向け商品のイメージキャラクターに採用した。
マイルドウォッカ樹氷
キャッチコピーは「樹氷にしてね、とあの娘(こ)は言った」
僕もその頃、樹氷を下宿で愛飲してたよ。
最期はその1970年代末にヒットしたCM。 ヴォーカルはチェリッシュ。
https://www.youtube.com/watch?v=lEgBb4OhopQ
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