元旦の夕刻、ノーテンキな日記をアップしてアニメ「憑物語」4話を一気見し終わった直後にそれは起こった。
朝帰りしたあと2階の自分の部屋で爆睡しっぱなしの長男の様子を見にいったカミサンが、どどどっと階段を駆け下りて叫んだんだよ。
「大変や! インフルエンザにかかったていうてる!」
あちゃちゃあ! アチョー!
家中騒然となったのは言うまでもない。
まあ、家中っつっても、僕と次男、それに恒例で年末から泊まりに来てくれてたカミサンのおっかさんだけなんだけどね。
幸い去年、我が家にはこういうときの搬送機材が結婚以来初めて導入されていた。自動車だ。
我が家にドライバーは一人しかいない、大学生の次男のみ。
で、もうひとり付き添いが必須。 僕が挙手した。 俺がいくわ。
でもまあ、なんだかんだで日常のメンテをするカミサンが付き添った方がいいだろうということになって、凍てつく夕方の6時半頃、発熱状態の長男を後部座席に放り込んだ決死隊が出発した。
留守番役の僕は、男からみた義理の母上のこともそういうのか知らないけど、お姑さんと二人で晩飯を食べながら、やけに楽しくいろんなことをダベッてたのでよかったけど。
決死隊の方は予想通り大変な目にあった。
元旦その日だからね。 開けてくれてた病院はごった返しの状態だったらしい。
1年前の年末は僕のおふくろさんが風邪で熱を出して、やっぱり救急病院にお世話になった。
こういう社会のほんとのキモのインフラで年末年始も関係なく働いている方々には、感謝と尊敬の念を捧げます。
その僕のおふくろさんとは二日に皆で昼飯を一緒しようと計画してたんだけど、中止せざるをえなくなった。 さすがにねえ、いくら自覚症状がなくとも、万が一インフルエンザに罹患してて移しちゃったら、おふくろさんの命に関わっちゃうので。
ま、おかげさまで、今日は長男も回復して風呂場で鼻歌を歌ってたし、残りの家族も平常を保っているので、サタンバグの封じ込めに成功したようです。
えっ、サタンバグって、なんだって?
知らない人が多いだろうなあ。 こういう映画です。
THE SATAN BUG 1965年公開
製作、監督: ジョン・スタージェス 撮影: ロバート・サーティース
音楽: ジェリー・ゴールドスミス 出演: ジョージ・マハリス、 リチャード・ベースハート
今で言うBC兵器をめぐるサスペンス映画。
僕は例によって中坊のときに日曜洋画劇場で見た。
ジョン・スタージェスものにはその後、「大脱走」、「荒野の七人」そのほかで大興奮させられることになるんだけど、たぶんこの監督にあいまみえた最初の作品だったと思う。
後年、ロバート・サーティースにも「ラスト・ショー」、ジェリー・ゴールドスミスにも「パットン大戦車軍団」ほかで唸らされることになったわけで、ハリウッドの映画職人が結集した作品だった。
こういうの。 なにしろ、遥か昔にテレビで一回見ただけなので、記憶もかなりおぼろげになってはいるんだけど、確かに砂漠やヘリコプターがキモになってたと思う。
https://www.youtube.com/watch?v=7S_MGvc2XsI
こういうウィルスやBC兵器を題材にした作品は非常に多い。
もしかしたら、原水爆に匹敵するくらい多いかもしれない。
そういう中で、いくつか印象に残るものをあげてみると。
ペスト アルベール・カミュ著
僕は何回も何回も読み返してきてる。
特に危機的な状況にぶち込まれた時に。 で、勇気を与えられた。
愛用の鈍銀色の新潮文庫の裏表紙の紹介文の末尾が語り尽くしていると思うな。
「カミュはこの作品の成功により戦後世代の精神的支柱と考えられるようになった。」
同じような題材をとっても、ポーが書くと、ゴシックホラー調になる。
で、それをもじった名前を冠にしたのが、タイガーマスクに登場した最凶のヒールだった。
「赤死病の仮面」と「ザ・レッド・デスマスク」
その漫画でウィルスものというと、僕はやっぱりこれだ。
20世紀少年。
そりゃあ、無理に引っ張った後半はだらけちゃったけどさ。 前半のあのノリには魅せられた。
なので、当時いてた京都支社で女性陣に貸したら一大ブームになったのも懐かしい思い出だ。
もちろん、映画化されて一般にも有名になったのより大分前のことだよ。
あれは70年代世代の琴線に触れるネタがてんこ盛りだった。
原っぱの秘密基地、鉄人的なロボット、ゴールデン洋画劇場の大脱走、万博、尾崎紀世彦etc
ウィルスもきちんと当時の表記に従ってビールスと発音されてた。
ということで、最後の1/4くらいは残念だったけど、そうはいっても傑作だったこの漫画のモチーフになったナンバーを。
20センチュリー・ボーイ 20th Century Boy Tレックス
https://www.youtube.com/watch?v=Ylww2dOW7fg
その「20世紀少年」が漫画雑誌界で一世を風靡していたのと同時期に、アニメ界を席巻したのが「カウボーイ・ビバップ」。 これがまたねえ、スタイリッシュでイカしてるんだ。
で、今年の元旦の朝、年初めの一作として僕が選んだその劇場公開版「天国の扉」が一種のBC兵器を出していた。
「天国の扉」で使われたBC兵器はナノマシンだった。
そのナノマシンが活躍することで、病気というものがこの世から消滅した世界に生きる少女たちを描いた「ハーモニー」という名作がある。
これと「虐殺器官」の二作を残して、34歳でこの世を去った伊藤計劃という作家は、惜しんでも余りある才能の持ち主だった。
もっとも、映画や小説や漫画で面白がっている分には、(たぶん)罪はないんだけど。
現実世界ではBC兵器はとんでもない厄災をもたらす。
戦争はもちろんだけど、都市テロで使われるても目も当てられないことになる。
僕はそれを一回だけ身近に実感したことがある。
もちろん、地下鉄サリン事件だ。
あの狂気のテロが勃発したとき、僕は前の会社の本社で課長をやっていた。
そのとき部下だった女性の母上があれで一命を落としてしまったのだ。
といっても、直接サリンを吸ったわけではなくて、いわば二次被害者だった。
あれが発生したときまさにあの日に、母上が脳溢血的な症状を発して倒れた。
すぐに救急車を呼んだんだけど。
どこの救急病院もサリンの被害者でてんやわんや状態だった。
で、ようやく受け入れてもらったときは既に手遅れになっていたそうだ。
お通夜と告別式に参列したけど。 彼女にはかける言葉もなかった。
と、ちょっと柄にもないシリアスなことを書いちゃったので、また小説に戻ると。
風邪やインフルエンザを馬鹿にしちゃいけない。
火星人はもうちょっとで地球(というか正確にはイギリス)を制圧しそうになったんだけど、そこで彼らにとっては未知のウィルスだった風邪菌にやられて死滅しちゃうんだ。
H・G・ウェルズの「宇宙戦争」ね。
子供の頃、クリスマスプレゼントにもらったジュブナイルには興奮したぜ。
あの19世紀に創造されたタコ型火星人は、未だに宇宙人の王道的存在でい続けてるよね。
その19世紀的なウィルスの威力を20世紀のコンピューターウィルスに翻案して、敵の宇宙船をやっつけるアイテムにしたハリウッド映画がこれだ。
インディペンデンスデイ INDEPENDENCE DAY
あと、あれだな、こいつはウィルスというわけじゃないけど、そういうのを巨大化したキャラだったと思う。 あるいはウィルスとイカタコの合体版。
封切りされた頃見たいなあと思ったんだけど、親に映画館に連れてってもらえなかった。
ので、ますます魅惑的な存在になっていったんだけど。
実際に封切りで見た奴の言によると、ギャングの抗争とかに主軸が置かれれたシナリオで、肝心のこいつらはちらっと出てきただけだったので、子供としてはがっくりさせられたそうだ。
宇宙怪獣ドゴラ
まあ、この辺にしとこうかな。
お正月早々ということで、あんまりあれな作品は避けときました。
おかげさまで、僕は未だに平常で、インフルエンザウィルスには犯されていないようなので、予定通り明後日(すいません、明日も休みなんです)は、仕事始めに出勤する予定です。
ログインしてコメントを確認・投稿する