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2017年04月18日05:38

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空はなをかすみもやらず風さえて雪げにくもる春の夜の月 摂政太政大臣[藤原良経]

空はなをかすみもやらず風さえて雪げにくもる春の夜の月
 摂政太政大臣[藤原良経]
 家百首歌合に、余寒の心を
 新古今和歌集 巻第一 春歌上 23

「空は春というのにまだ霞みきらずに風は寒く、雪げの雲がかかってそのため朧な春の夜の月よ。」『新日本古典文学大系 11』p.26

建久四年(1193)、六百番歌合。後京極殿御自歌合。
家百首歌合 作者藤原良経(当時左大将)の邸で催された百首歌を結番してなった歌合の意。
余寒 立春後の寒さ。「なほさえて」は余寒を表わす常套句。
雪げにくもる 雪催いに曇る意。
「雪げの雲」という句もあり、「雪降らむとて黄雲の立つなり」(奥義抄[おうぎしょう〔アウギセウ〕平安後期の歌学書。三巻。藤原清輔(ふじわらのきよすけ 1104-1177)著。天治元年(1124)〜天養元年(1144)の間に成立]上)という。
霞のためでなく、雪げの雲で朧だというのである。
「余寒」、または「余寒の月」の歌。

藤原良経(ふじわらのよしつね 1169-1206)平安時代末期から鎌倉時代前期にかけての公卿。後京極良経とも。摂政関白・藤原兼実二男。和歌所寄人筆頭。
新古今集仮名序執筆者。新古今集入集七十九首、西行・慈円に次ぎ第三位。
千載集初出。勅撰入集三百二十首。
隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合 再撰本』では在原業平と番えられている。
小倉百人一首 91 「きりぎりすなくや霜夜のさむしろに衣かたしき独りかもねん」
http://bit.ly/1di7DsW
http://bit.ly/ZCtCDG


小山順子『藤原良経 コレクション日本歌人選027』 笠間書院 2012.1
https://bookmeter.com/books/4536854
https://www.amazon.co.jp/dp/product/430570627X
を2012年2月に読みました。
38歳で夭折した新古今和歌集巻頭歌の作者です。

私は良経の
「幾夜われ浪にしほれて貴船川袖に玉散る物思ふらん」
新古今和歌集 巻第十二 恋歌二。六百番歌合「恋」
が好きです。

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