涙のみうきいづる海人(あま)のつりざをの長(なが)きよすがら恋ひつつぞ寝(ぬ)る
光孝天皇御歌
題しらず
新古今和歌集 巻第十五 恋歌五 1356
「釣する海人の浮子(うき)ではないが、涙ばかりが浮び出て来、またその釣竿の長い節ではないが長い夜を一夜そなたを恋いつつ寝ていることだ。」『新日本古典文学大系 11』p.397
仁和御集には「波高み漕ぎいでぬ海人のつりざをの長きよなよな恋ひつつぞ寝る」。
うきいづる 下は「海人のつりざを」にかかって、釣竿の糸につけた浮子が浮び出ていることを涙のそれに掛ける。
つりざをの 「長きよ」にかかる枕詞的修辞。「よ」は「節(よ)」と「夜」と掛詞。
「涙に寄す久しく思ふ恋」。
光孝天皇(こうこうてんのう 830-887)第58代天皇(在位 884-887)。「仁和の帝」「小松の帝」とも呼ばれた。古今集初出。勅撰入集十四首。小倉百人一首 15 「君がため春の野にいでて若菜つむわが衣手に雪はふりつつ」
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