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2020年10月16日08:25

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「82年生まれ、キム・ジヨン」

ジヨンはソウルで、夫、2歳の娘と暮らしている。
出産で仕事を辞めてしまい、現在は専業主婦だ。
だが、そんな生活に違和感を感じていた。

毎年正月お盆は夫の実家に帰省するのが韓国流だが、やや疲れた感じを見て取った夫が、今年は帰省するのをやめようと言い出す。
しかし帰省をしないで姑から文句を言われるのは嫁のジヨンだ。
ジヨンは夫からの気遣いによって、逆に不機嫌になってしまう。
そして正月に帰省をすると、姑は相変わらずチクチクと嫌味を言ってくる。
ジヨンは嫁としての務めを果たし、夫も早々に荷物をまとめてソウルに戻ろうとするが、そこに夫の妹家族がやってくる。
帰るタイミングを逸してしまったジヨンたち。
姑は義理の妹家族のために食事を温めろと言うが、その時ジヨンが妙なことを口走る。
「奥さん、そろそろ私の娘を解放してください。あなたが自分の娘の帰省を喜ぶように、私も娘のジヨンに会いたい」
その場にいた姑たちは驚くが、その状況を見た夫が慌ててジヨンと娘を連れてソウルに戻る。
ソウルに帰宅後、ジヨンは実家を出た記憶がないと言った。
ジヨンは以前から、しばしば他人が憑依したような言動を繰り返していたのだ。

夫はジヨンに、精神科の診察を受けさせようとする。
しかしジヨンに自覚はなく、高額な料金を見て診察を拒否した。
どうしていいかわからない夫。

ジヨンの実母は若い頃、優秀でありながら男兄弟の学費のために、学校に行かずに服飾工場で働いていた。
男の子を重視するのが韓国の風習であり、ジヨンの母もその事を納得していた。
そして今でも男尊女卑の風習が残り、女性は結婚して家庭に入り子育てするのが普通、と言う考えが浸透している。
ジヨンの実家でも、子どもの頃から父弟ばかりを可愛がり、ジヨンと姉は父からあまり可愛がられていなかった。
それでもジヨンは大学を出て広告代理店に就職する。
上司はやり手の女性管理職で、ジヨンは彼女に憧れていたが、上司はジヨンをプロジェクトチームに選んでくれなかった。
選ばれたのは男性社員である。
上司はその理由を、ジヨンは優秀であるが、5年以上の長いプロジェクトで人生設計を考えると女性を選ぶわけにはいかないと説明した。
ジヨンは家庭があっても頑張ると言ったが、実際には結婚、出産で退職をしている。
そしてジヨンは、そんな自分の環境に違和感を感じていたのだった。

題材としては、日本でも現在進行形で起こっている社会問題だ。
ただ、儒教の韓国では日本よりも女性の社会進出が難しくなっているのだろう。
女性の上司も結婚し出産もしているが、仕事中心の生活で育児は祖母である自分の母親に任せっきりで、自分は母親失格だと言っている。
ジヨンの夫も、決して悪いとは思わない。
特に韓国の社会では、かなり理解のある夫ではないかと思う。
それでも根本的な解決策はなく、夫自身も悩んでしまう。
人によって環境が異なるため簡単に解決できる問題ではなく、その問題に対して楽観的な解決策を提示せず、登場人物の誰もが極めて現実的に行動する事で問題点をより浮き彫りにしている点は、とても共感できる。

そのまま日本に持ってきてもまったく無理がないので、映画かドラマで日本版のリメイクができそうな作品である。


100.82年生まれ、キム・ジヨン


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