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2020年10月15日09:21

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今回のギンレイ(20201015)

今回のギンレイは女流作家の自伝的作品2本。

まず「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」。
4姉妹の次女ジョーは、N.Y.で作家活動をしていた。
出版社の社長は刺激的な作品を求めてくるため、ジョーはなかなか作品を認めてもらえない。
いら立ちが募り、同じ下宿にいるベア教授の助言も素直に聞き入れられずケンカになってしまう。
そんな時、故郷の母親から三女のベスの具合がよくないと手紙が来る。
ジョーは急いで列車に乗った。
列車の中でジョーは夢を見る。
それはかつて母親と4姉妹が、従軍牧師の父の帰りを待ちながら暮らしていた少女時代の思い出だった。

小学生の頃、児童書として「若草物語」を読んだことがあり、そのおぼろげな記憶で見始めたのだが、いきなりジョーが作家でベスが重病と言う設定から始まり面食らった。
しかも長女のメグにはそこそこ大きな子供が二人もいる。
エイミーはマーチ叔母さんと一緒にフランスにいて、絵画の勉強をしていた。

若草物語に続編が第4部まであるのは、映画を観終わってから知った。
そのため、のどかな田舎で育つ4姉妹の物語を想像していたのだが、いきなり生々しい現実に立ち向かう姉妹たちの姿に、しばらくストーリーに入り込むことができなかった。

本作品はどうやら第二部までの内容で、現代と第一部の少女時代が頻繁に行き来する構成だ。
だが姉妹4人とも現代、少女時代とも同じ女優のため、少女時代があまり少女に見えない。
それゆえ、現代と少女時代のどちらが語られているのかが瞬間的にわかりづらくなってしまっている。
逆にそれを逆手に取り、終盤でジョーが手紙の後で嬉しそうに鞄を持って扉に駆け込むシーンがストーリーのポイントにもなっているのだが、全体としてはもう少し整理した方がよかったようにも思う。

そして第二部にあたる、大人の姉妹の現実が生々しすぎて、ちょっと引いてしまった。
姉妹の中で一番思いやりの深いベスが病気と言う部分でかなりショックの上、メグは二人の子供に恵まれているのに金銭的に厳しい生活をしている。
冒頭で、ジョーが作家になるものの才能が認められずにいら立っているシーンでもそこそこびっくりしたが、メグとベスに比べれば全然幸せと言えるほどだ。
だが少女時代のエピソードは、やはり見ていて心が温かくなる。
クリスマスに家族で隣家に食事を届けるシーンや、大げんか直後のスケートで池に落ちたエイミーをジョーとローリーが助けるシーンなどは、これが「若草物語」だよな、と思った。

続いて「リンドグレーン」。
こちらは「長くつ下のピッピ」や「ちいさいロッタちゃん」などの作者、アストリッド・リンドグレーンの若き日を綴った作品で、ある。
「若草物語」が元々自伝的作品であるのに対し、こちらは作者にスポットを当てた完全な自伝である。

アストリッドはスウェーデンの田舎で生まれた。
村人のほとんどがカトリック教徒で、父親が教区長を務めており厳格な家庭に育った。
文才に恵まれたアストリッドは、地元の新聞社が発行回数を増やすにあたり、手伝いをすることとなった。
新聞社の社主で編集長のブロンベルクは何人も子供がいるが、妻に先立たれてしまう。
その後再婚するが、後妻とは折り合いが悪く離婚調停の真っただ中だった。

まだ18歳だったアストリッドは、元々奔放な性格で田舎町のクリスチャンとしての生活に閉塞感を感じていたが、ブロンベルクと関係を持つようになってしまう。
そして妊娠。
田舎町で未婚の若い娘が出産するなどもってのほか、しかも父親は教区長だ。
ブロンベルクは離婚まではしばらく時間が掛かると言い、自分が費用を出すのでストックホルムで秘書の勉強をするように言う。
アストリッドはストックホルムの下宿のルームメイトから、デンマークのコペンハーゲンで内緒で出産し、子どもを育ってもらっている知人がいると聞かされ、自分もコペンハーゲンを訪ね、そこで出産する。
アストリッドは生まれた息子を女性弁護士のマリーに預け、自分は単身ストックホルムに戻って仕事を始める。

ブロンベルクの離婚を待ち続けるアストリッドだが、彼の妻に不倫していることがバレ、ブロンベルクは姦通罪で投獄されるかもしれないと言い出した。
アストリッドは仕方なく働きながら、ブロンベルクの離婚を何年も待つ。
そしてブロンベルクが、姦通罪で有罪となるものの罰金刑で済んだと喜びながらアストリッドの前に現れた。
アストリッドは長年ブロンベルクの事を心配して耐えていたが、彼があまりにも能天気な態度を取るのを見てすっかり冷めてしまい、息子を一人で育てる決意をした。

時代としてはおそらく1920年代くらいだろう。
今でこそ未婚の母ある程度認知されるようになったものの、女手一つで仕事をしながら子育てをするのは、簡単に小説やドラマの題材にできるほど困難な事である。
それが1920年代である。
クリスチャンの両親はアストリッドの妊娠を真っ向から否定、しかも子どもの父親であるブロンベルクはいい年をしてまったく頼りにならない。
一人で子育てをするが、子どもの体調が悪くなってもどうしていいかわからない。
アストリッドはそんな状況から結婚相手に恵まれ、長年児童文学を発表し続ける。
映画は結婚する前までで終了するのだが、その後発表された文学作品は、若い頃の苦労した経験が影響しているのだろうと思わせる作品だった。



98.ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
99.リンドグレーン



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