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2020年06月24日21:07

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「水曜日が消えた」

予告編を観て、シリアスなミステリーなのかあるいはコメディタッチなのかわからなかったが、そのどちらでもなかった。

主人公の「僕」(中村倫也)は7人の人格を持ち、各曜日ごとに入れ替わる。
几帳面な「火曜日」の人格は、前日の月曜日のやらかした後始末から朝が始まる。
火曜日はゴミ出しや掃除などの細かいことを担当し、翌日の水曜日のゴミ出しまでを準備して1日を終える。
火曜が休館日の図書館に行くこともできず、通院して医師(きたろう)の診断を受けることがメインイベントと言うつまらない1日を過ごすのが火曜日の日課だ。
そんな7人の「僕」を見守るのが、友人の一ノ瀬(石橋菜津美)だった。

その日もいつもと同じ1日を過ごしてベッドに入った火曜日だったが、目を覚ますと水曜だった。
驚くものの初めての経験に興奮した火曜日は、水曜を満喫することにした。
そして図書館に行って、司書の瑞野(深川麻衣)と知り合う。
瑞野はどうやら水曜日と知り合いらしく、火曜日に話しかけてきた。
すぐに瑞野を気に入った火曜日は、なんとか次の水曜も自分が目覚めないものかと考える。
なぜ水曜も目覚めたのかは結局わからなかったが、火曜日は次の水曜も目覚めることができた。
そして瑞野に会う事もできた。
瑞野と会いたいがために、火曜日は水曜にも目覚めていることを誰にも内緒にしようとする。
しかし7人の「僕」といつも会っている一ノ瀬だけは、水曜にも火曜日が目覚めていることに気づく。
一ノ瀬は水曜日が現れないことが何かの前触れかもしれないと考えて心配しつつも、火曜日の瑞野への恋愛を後押しすることにした。
一見、火曜日の瑞野への恋愛は少しずつ進みそうに見えた。
しかしやはり火曜日には少しずつ体調の変化が表れており、瑞野とデートをしているときに記憶が飛び始めてしまう。
そして火曜日は、月曜日と人格を入れ替えながらの会話を始める。
月曜日はすでに土曜から月曜まで目覚めており、人格は4人に減っていた。
さらに月曜日は、すべての人格を支配しようとしていた。

ストーリーはミステリー仕立てだが、大きなどんでん返しなどは用意されていない。
冒頭で一ノ瀬が現れた時から、一ノ瀬は火曜日の人格を好きになっていることがわかり、そのほのかな恋心がクライマックスのキーとなる。
中村倫也の7人の人格の演じ分けがあってこその映画であるが、この一ノ瀬役の石橋菜津美の押さえた演技も作品全体に大きく機能している。
その対象としての華やかな瑞野を演じた深川麻衣もよかった。
「僕」の人格の秘密と言う主題に、僕、一ノ瀬、瑞野のほのかな三角関係が上手く組み込まれている。
ただ、「僕」の担当医を含め、人格の秘密にかかわる医療関係者の描き方がちょっと淡泊だったようにも思う。
この秘密の部分をもう少し重めに表現すれば、もう少し作品にメリハリが出たようにも思えた。


65.水曜日が消えた
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