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2020年03月27日07:25

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「弥生、三月 君を愛した30年」

予告編を観た感じでは「この作品は・・・」と思ったが、監督・脚本が遊川和彦という事で観に行くことにしたが、想像通りダメな作品であった。

弥生(波瑠)は宮城県の高校に通っており、親友のサクラ(杉咲花)が輸血製剤からAIDSを発症し、クラスメートからいじめられているのを見過ごすことができない性格だった。
そしてサクラがサッカー部のエース太郎(成田凌)に想いを寄せている事に気づき、後押ししようとする。
しかしサクラは、弥生と太郎が本当は隙あっていることに気づいていた。
そして高校卒業の直前、サクラは病で夭逝する。

高校卒業から6年後、太郎はデキ婚することになった。
太郎の夢はW杯で得点王になることだったが、いまだにJリーグのチームに所属する事すらできておらず、披露宴で弥生にはっぱをかけられていた。
一方弥生は、苦労をして大学を卒業し、夢であった教職に就いていた。
太郎はその後Jリーグのチームに所属するものの、試合に出られないまま解雇されてしまう。
さらに道路に飛び出した息子をかばうために事故にあい、足を引きずるようになってしまった。
その事もあり、太郎は妻と離婚をしてしまう。
うまくいかない太郎に比べ、弥生は歯科医の白井(小澤征悦)と結婚するなど円満なように見えた。
弥生は父との関係が上手く行っていなかったが、白井は弥生のために歯科医院を仙台に移し、父の面倒を見ようと言ってくれた。
数年後、弥生はふさぎ込んでいる太郎を引っ張り出し、無理やり中学生の息子のあゆむと引き合わせる。
そして2011年3月11日、東日本大震災の日を迎える。
太郎は必至で弥生の安否を確認しようとするが、そこで弥生の父と再会する。

弥生も順調な人生を送っていたわけではなく、大学時代、弥生の父の事業が上手く行かなかったため、取引先の常務の息子と結婚させられようとしていた。
しかし結婚式の直前、弥生はサクラと交わした自分らしく生きるという約束を守るため、結婚式場から逃げ出してしまう。
弥生の父はいまだにその事で、弥生を恨んでいた。
太郎は弥生の居所を探しあてるが、白井は津波の犠牲者になっていた。
ショックを受けた弥生は教職を辞めてしまう。
弥生がふさぎ込む日々を過ごしていた頃、太郎はJリーグの下部組織のコーチとなり、あゆむ(岡田健史)ともいい関係を気づけていた。

そんなある日、サクラの父がカセットテープを太郎の実家に持ってきた。
弥生の住所に送ったが戻ってきてしまったので、太郎の実家に持ってきたのだ。

高校2年生からの30年間を、すべて3月だけのシーンで構成した作品だ。
テーマとしては面白いのだが、ストーリーとしては凡庸、いやそれ以下だ。

特に、平成の時代に父親の借金のカタとして取引先と結婚するという設定は、あまりにも陳腐で呆れてしまった。
弥生の両親は離婚したらしいが、弥生の「借金のカタ結婚式」の時には両親はそろっており、なぜ離婚したかもわからない。
そしてなぜ、それ以降両親から離れて暮らしていた弥生が、倒れた父親の面倒をみなければならないのかの理由もわからない。
チームをクビになった後、太郎がしばらく何をして生計を立てていたのかもわからない。
そもそも、AIDSでサクラがいじめられているのに教師が何もしないという設定もかなり無理がある。
いくら昭和の時代と言えども、教室内であんないじめが発生して、担任が何も言わないなんてことはあり得ない。

さらに細かく言えば、太郎の披露宴は無音でセリフが会場中に響き渡って不気味だ。
披露宴なら普通、明るめのクラシックなどがBGMで流れるが、それがないのでものすごい違和感である。
太郎が長距離バスと並走して走って非常に危ない状態なのに、運転手はそのままバスを走らせ続けるのも強引な演出だ。

遊川和彦は「オヨビでない奴!」以降、数々の名作ドラマを生み出してきたが、脚本家としては非凡な才能を持っているものの、監督としては力量不足なのかもしれない。
あまり期待しないで観に行ったが、さらにそれを下回る出来の作品であった。


53.弥生、三月 君を愛した30年
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