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2020年03月16日07:35

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「初恋」

プロデューサーの紀伊宗之が、「孤狼の血」の反響を見て「こういう映画こそ東映が作るべき作品」と考えてプロデュースした作品だ。
かつての東映ヤクザ路線の作品を観たことはほとんどないが、現代のピカレスク作品としてはいい出来になっていたと思う。

葛城レオ(窪田正孝)はボクシング雑誌から期待のホープとして取材を受けるほどの、才能あふれる若手ボクサーだ。
だがある日試合で簡単にノックアウトされ、精密検査を受けることとなる。
その結果医師から、脳に大きな腫瘍があり手術もかなり困難、このままだと余命も短いと告げられる。

モニカ(小西桜子)は親の借金のカタとしてヤクザに身柄を押さえられ、シャブ中毒にされ体を売っていた。
モニカの面倒を見ていたのは、半グレから組の下っ端となっていたヤス(三浦貴大)は彼女のジュリ(ベッキー)だった。
組は新宿にあったが、新興勢力のチャイニーズマフィアとの抗争が絶えなかった。
そんな中、服役中だった若頭の権藤(内野聖陽)が出所してくる。
組長代行(塩見三省)は共存共栄の時代だと言うが、武闘派の権藤はチャイニーズマフィアを受け入れようとはしなかった。
そもそも権藤が服役したのも、チャイニーズマフィアとの抗争の中でマフィアの一員ワンの左腕をぶった切ったからであった。

この状況を冷静に見ていたのは、組に所属する中堅の加瀬(染谷将太)だった。
権藤が出所したらチャイニーズマフィアと本格的な抗争になり、命すら危うくなる。
であれば、組がさばいている覚醒剤を横取りして堅気になった方が得策だと考えたのだ。
加瀬は、押収した覚せい剤を闇でさばいている刑事大伴(大森南朋)と組むことにし、覚せい剤の小分け作業をするヤスから覚せい剤を奪い、犯人をモニカに押し付ける計画を練った。
計画通り、大伴がモニカに予約を入れ、送迎役のジュリから引き離す。
ジュリは別途雇った中国人に殺させ、自分はその間にヤスをスタンガンで眠らせて覚せい剤を奪おうとした。
しかしモニカは覚せい剤のために幻覚を見て逃走、慌てた大伴はモニカを追いかけるも、勘違いしたレオにノックアウトされてしまう。
さらにジュリを拉致した中国人はジュリに逆襲されて逃げられ、加瀬自身もヤスから覚せい剤を奪う事に失敗してしまう。
加瀬の計画は完全に破綻し、チャイニーズマフィアを巻き込んで予期せぬ方向へと走り出した。

冒頭にも書いたが、ピカレスク作品としては程よい感じである。
ただ、三池崇史作品である事を考えると、ブッ飛び度は今一つという感じか。
「忍たま乱太郎」や「ヤッターマン」から「十三人の刺客」、「一命」など幅広く手掛ける多作の監督であるが、このカテゴリーの作品ならもう少し攻めてもよかったんじゃないかと思う。
レーティングを考えたのかもしれないが、もっとドバドバ血しぶきが飛び散るような作品を想像していた。

もう一つ、注目したいのはチャイニーズマフィアのチアチーを演じた藤岡麻美だ。
やけに中国語が巧いと思ったのでネイティブの中国系かと思ったが、なんとディーン・フジオカの妹との事。
しかもデビューは「DAIBAッテキ!!」のチェキッ娘で今から22年前の1998年、ディーン・フジオカよりも早くデビューしている。
アイドル活動の後はバンド活動やソロで音楽活動をしていたようだが、今回の演技はなかなか味があって良かった。
「TOKYO TRIBE」のアクション演技でいきなり有名になった清野菜名、あるいは「探偵の探偵」で知名度を上げた兄ディーン・フジオカのように、この作品から一気にスターダムに駆け上がる可能性もある。


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