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2020年02月04日06:19

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「AI崩壊」

「22年目の告白 -私が殺人犯です-」、「ギャングース」の入江悠監督作品だ。
いい部分と悪い分がかなりはっきり分かれる作品だった。

桐生浩介(大沢たかお)は元々植物関係のAIを開発する学者だった。
一緒にに研究をしていた妻の望(松嶋菜々子)が病に冒されていることを知り、望の弟の西村悟(賀来賢人)とともに病気を治療するAIの開発に着手する。
だがAIは法的に認可されず、望はこの世を去ってしまった。
2023年、浩介と悟はこのAIを生活を補助するプログラム「のぞみ」として新たに開発、HOPE社を立ち上げた。
「のぞみ」は瞬く間に日本社会に浸透し、人々の生活は「のぞみ」なしでは立ち行かなくなっていた。
そんな中、浩介は一人娘の心を連れて日本を去った。

シンガポールで心と暮らしていた浩介の元に、悟からメッセージが入る。
「のぞみ」の功績で政府が浩介に総理大臣賞を授与したいというのだ。
同時に、HOPE社の新しいデータセンター設立の挨拶もしてもらいたいので、日本に帰ってきて欲しいとの事だった。
浩介はあまり気乗りがしなかったが、心が日本に行ってみたいという事もあり帰国することにした。

日本では、AIに仕事を奪われれた人々のデモが多発していた。
そのため、HOPE社にもデモの人々が押し寄せていた。
そんな中、浩介たちは新しいデータセンターを見学し、記者発表で挨拶を行う。
その場にもデモ参加者が押し寄せ会場は混乱するが、浩介たちは総理大臣賞の授賞式に移動しようとする。
すると、心が家族で撮った写真をなくしたと言い出した。
悟は浩介を先に会場に向かわせ、みんなで写真を探しにデータセンターまで戻る。
その時各地の「のぞみ」が暴走し始め、日本は大混乱に陥る。
心はデータセンターの中に取り残され、冷却装置が作動し始めた。
浩介はいつの間にか荷物の中にハッキング用のデバイスを仕込まれ、ハッキングの犯人にされてしまう。

警察はこの機に、捜査用に開発していたAI「百目」を起動。
「百目」を使って浩介の足取りを追う。
そして浩介は悟から、24時間以内に助け出さないと心の命が危ないと連絡を受ける。
「のぞみ」の暴走を止めるため、浩介は逃亡を続ける。

作品の前半、「百目」が浩介を追跡するシーンはなかなか面白い。
街中の防犯カメラだけではなく、個人の車のドライブレコーダー、果ては個人の携帯デバイスのカメラまで使って浩介の足取りを追う。
捜査一課のアナログ刑事合田(三浦友和)が「令状はあるのか」と叫ぶが、お構いなしで操作は続く。

ただ、ストーリーとしてはかなりのご都合主義だ。
「のぞみ」が暴走すると、もう止める手立てがない。
序盤で、電源をオフにすると全国のシステムに影響が出ると言うが、もう全国のシステムに影響が出ても電源を強制的に遮断するレベルである。
そして中盤以降は、「のぞみ」が非常用電源の確保をして遮断しないようにしている、と言う設定だが、電源なのでどこかでケーブルを切れば遮断などいくらでもできそうなものだ。
浩介がフェリーの中に逃げ込むのもかなり現実味がない。
船に逃げ込んで居場所がバレれば逃げ場はなく、普通に考えればフェリーでの逃亡は避けるだろう。
実際、フェリーの中でノートPCを起動して居場所を特定されてしまっている。
その部分も、ノートPCをオフライン設定で起動すれば居場所の特定はなく、天才開発者の浩介ならそれくらいわかりそうなものだ。
ラストの「のぞみ」の暴走を止める手立ても、想像通りではあるが、冒頭に伏線がないためかなり強引な展開になってしまった。

途中、浩介の逃亡を助けてくれる漁師が、「連れが『のぞみ』のおかげで長く生きられた」と言うなど、ところどころいいシーンもあるのだが、AIの暴走という作品の軸となる部分が破綻しているので、ちょっと残念な作品になってしまった。


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