第43回日本アカデミー賞の優秀賞が発表された。
毎年オレ的最優秀賞予想をアップしているが、今年はしない。
なぜか。
優秀賞を受賞した作品が、どの部門もダメダメだからだ。
はっきり言って、予想する気にもならない。
たしかに、2019年の邦画はかなりレベルが低かった。
とはいうものの、優秀作品賞がこの5作品と言うのは、かなりびっくりした。
キングダム
新聞記者
翔んで埼玉
閉鎖病棟 それぞれの朝
蜜蜂と遠雷
昨日の日記にも書いたが、「新聞記者」はかなり酷い映画である。
それ以外も、「キングダム」と「翔んで埼玉」はエンターテイメント作品として中途半端、「閉鎖病棟 それぞれの朝」と「蜜蜂と遠雷」は期待して観に行ったものの、こちらも硬派系の映画として中途半端だった。
オレ的に2019年の邦画を5作品選ぶなら、公開順に以下となる。
長いお別れ(中野量太)
凪待ち(白石和彌)
人間失格 太宰治と3人の女たち(蜷川実花)
見えない目撃者(森淳一)
宮本から君へ(真利子哲也)
カッコ内はそれぞれ監督で、監督賞もこの5人でいいと思う。
ただ、「宮本から君へ」はピエール瀧が逮捕されているので、ノミネート自体が難しいかもしれない。
その場合は、「空母いぶき」か「アイネクライネナハトムジーク」あたりか。
最優秀は、個人的には作品賞、監督賞とも「人間失格」がふさわしいと思う。
そうでなければ「凪待ち」だ。
昨年の邦画は、この2作品が2強だった。
主演男優賞だけは、実際のノミネートであまり違和感がない。
個人的には「アルキメデスの大戦」の菅田将暉に取ってほしいが、おそらく「閉鎖病棟 それぞれの朝」の笑福亭鶴瓶だろう。
問題は主演女優賞。
シム・ウンギョン:「新聞記者」
二階堂ふみ:「翔んで埼玉」
松岡茉優:「蜜蜂と遠雷」
宮沢りえ:「人間失格 太宰治と3人の女たち」
吉永小百合:「最高の人生の見つけ方」
受賞はおそらく宮沢りえで、これは順当だと思うが、日本語を発音するのがやっとでまったく演技ができていなかったシム・ウンギョンがノミネートされているのにはひっくり返りそうになった。
元々、演技力のある女優であることは間違いないが、あの作品のあの演技で主演女優賞を受賞していいのか?
万一最優秀主演女優賞を受賞したら、おそらく本人が一番恥ずかしいと思うだろう。
それと二階堂ふみだ。
役柄は男の役だったのに、主演女優賞である。
そんなのアリなのか?
では、男優がドラァグクイーンを演じても、主演男優賞になるのか?
今年の主演女優賞は、ちょっと迷走しすぎである。
さらに、主演女優賞に吉岡里帆がノミネートされていないのも納得いかない。
新人賞を受賞しているが、「見えない目撃者」の演技は主演女優賞を受賞してもおかしくないレベルだった。
ちなみに第40回日本アカデミー賞では、杉咲花が新人賞と最優秀主演女優賞をダブルで受賞している。
加えて、「凪待ち」の恒松祐里が新人俳優賞に選ばれていないのも違和感を感じた。
作品中ではかなりの存在感を見せており、「アイネクライネナハトムジーク」でもいい演技をしていた。
結論から言えば、日本アカデミー賞会員は、昨年1年間何をしていたのか、と言う事になるだろう。
そもそも、日本アカデミー賞は恣意的に選ばれる傾向があるのだが、今年は本当にいい加減にしろよ、の世界である。
もし1部門でも「新聞記者」が選ばれれば、その時点で日本の映画は死んだと言っていいだろう。
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