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2019年11月18日21:11

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「ひとよ」

KAKUTAという劇団が演じた演劇が原作との事だ。
監督は白石和彌で、観ている者の心を遠慮なくえぐってくる作品であった。

稲村家の母こはる(田中裕子)は、ある日3人の子供たちに父親をひき殺したことを告げる。
子供たちに暴力をふるい続ける父親が、その日も酔って帰宅足したため商売道具のタクシーでひき殺したのだ。
母親は、ほとぼりが冷める15年間は戻らないといった後、そのまま母の兄と一緒に警察に出頭する。

15年後、タクシー会社は母の兄の子で3人兄弟の従兄弟の丸井(音尾琢真)が社長を務め、以前からの社員や兄弟の友人たちがドライバーをして経営を続けていた。
長男の大樹(鈴木亮平)はバイト先の電気店に就職し、店の娘と結婚して専務となっていた。
次男の雄二(佐藤健)は小説家を目指して上京するもゴシップ誌のライターとなっており、末娘の園子(松岡茉優)は近所のスナックで働いていた。
そして出頭してからちょうど15年後、母が家に戻ってくる。
従業員たちはこはるの帰宅を歓迎するものの、大樹と園子はとまどっていた。
やがて雄二も東京から戻ってくる。

母親は子供たちと交流を図ろうとするのだが、園子以外とは関係がぎくしゃくする。
雄二は、母親の出頭後に自分たちが受けた仕打ちを根に持っていて素直に喜ばなかった。
大樹は不器用な性格のため妻(MEGUMI)と別居中という状況もあり、母親に積極的にかかわろうとしなかった。園子も嫌がらせを受けたため美容学校を辞めているのだが、母親の帰宅を喜んでいた。
そして雑誌記者の雄二は、事件から15年後の母親の帰宅を記事にまとめようとしていた。

そんなある日、タクシー会社に母親の事件に対する誹謗中傷のビラを貼られる。
ビラによる嫌がらせは事件直後から何度も行われていたが、園子は雄二のPCの中の写真と記事原稿見て、今回のビラは雄二が貼ったのではないかと疑い始める。

母の帰宅後、すぐに兄弟3人が感情を激しくぶつけ合うのかと思いきや、冒頭はかなり緩い始まり方である。
雄二も母や兄妹に嫌味を言う程度で、声を荒げて怒りをぶつけたりはしない。
しかし中盤以降、ストーリーが核心に迫ってくると、一気にギアが上がってくる。
母と3兄弟の話と並行して、同時期にドライバーとして入社した堂下(佐々木蔵之介)のエピソードが語られるのだが、このエピソードがなかなか激しく展開する。
ラストは希望の光が見えるのだが、それでもクライマックスはあまりにもつらい展開でかなり心が痛んだ。

大樹の妻のMEGUMIのセリフなど、現実的な生々しい本音のセリフが多く、中盤以降は観ていてかなり心が揺さぶられる。
白石和彌監督としてはかなりおとなし目の作品であるが、それでも心に迫ってくる作品であった。


140.ひとよ


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