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2019年10月15日22:53

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「蜜蜂と遠雷」

恩田陸原作、これまで唯一直木賞と本屋大賞の両方を獲得している作品だ。
個人的には本屋大賞はかなり信頼しているので期待して観に行ったが、まずますくらいの完成度であった。

芳ヶ江国際ピアノコンクールは、優勝者が世界に羽ばたくことが多く新人の登竜門として注目されていた。
そして10周年を迎えた年に、ハイレベルな戦いが繰り広げられることとなった。

栄伝亜夜(松岡茉優)は、十数年ぶりにコンテストに参加していた。
かつて天才少女と言われた亜夜は、ある事がきっかけでピアノが弾けなくなり一線から退いていたのだ。
そしてこのコンテストに、最後のチャンスとして挑んでいた。

高島明石(松坂桃李)は東北で楽器店の店員をしていた。
妻子を持ち年齢制限があるためコンテストに出るのはこれが最後、アカデミー出身ではなく市井の音楽家として、他の参加者が誰も弾けないピアノを弾こうと考えていた。

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)は幼少時に日本に滞在しており、その時に亜夜と一緒にピアノを習っていた。
その後渡米したジュリアード音楽院でも高く才能を認められ、さらに美しい容姿からアイドル的な人気を博していた。

風間塵(鈴鹿央士)は、これまでコンテストの参加記録もないまったくのニューフェイスだ。
粗削りな演奏は審査員の間でも賛否両論が分かれるが、コンテストの前に逝去した巨匠ホフマン氏の推薦を受けていた。

その他の参加者も含め、コンテストは短期間で1次、2次、最終と進められる。
上記の4人は1次審査は楽々通過、それぞれ練習場所を確保して練習に励んでいた。
そしてその練習過程で、それぞれのバックグラウンドが明らかになっていく。

4人の中で、一番わかりやすいのが高島明石だ。
自分が天才でもなんでもないことを理解していて、自然体でコンテストに挑もうとしている。
家族の応援もあるが、どこかで天才たちには太刀打ちできないことも理解している。

亜夜は師でもある母親の死後、ピアノが弾けなくなってしまった。
子どもであったとはいえ、すでに幕が開いているのにステージをキャンセルしてしまっている。

マサルは天才肌であるが故、ピアノに没頭しすぎて周りが見えくなることがある。

風間は養蜂の研究者である父親に付いてヨーロッパを回っている最中にホフマンと出会い、その才能を認められる。
しかしいわゆる正規のピアノ教育を受けておらず、練習もホフマンからもらった音の出ない鍵盤だけのピアノで行っている。

明石以外は、ある意味自分の才能とも戦っており、そこに指揮者である小野寺(鹿賀丈史)がかかわってくる。
最終審査は楽団との演奏なのだが、この演奏の指揮者が小野寺だ。
練習中も含めて、コンテスト参加者が小野寺とどのような駆け引きをするかも見ものだ。

ただ、ストーリーとしてはややメリハリに欠ける。
コンテストに参加する4人の内面を描く作品なので、映像で行間を表現しなければならない。
脚本、演出、演技がしっかりしているので映画として完成されてはいるが、観終わった後に心に残る、と言う作品ではない。
とは言え、原作が元々静かな作品なようので、致し方ない事なのかもしれない。

「勝手にふるえてろ」に続く、松岡茉優の熱演は評価したいと思う。


124.蜜蜂と遠雷


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