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2020年11月26日11:26

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『呉子』料敵第二 第三章

                 第三章
武侯は尋ねた、「私は、敵の外見を観察して敵の内情を判断し、進軍してくる敵を観察してその先敵がどのような所で止まるかを推測して、勝敗を決したいと思っているのだが、それについて聞くことができるだろうか。」呉起は答えた、「適の来襲してくる様子に、おちつきが無く指揮に慎重な配慮が無く、旗印がごちゃごちゃと乱れており、人も馬もしばしば後ろを振り返るようならば、敵の十分の一の勢力で敗ることができ、必ず敵をあわてて適切な措置がとれないようにさせることができます。又敵の様子が、隣国の諸侯と盟約を交せず助けの兵も無く、君臣上下が乱れており、堀や塞も未だ完成しておらず、軍の規則も未だ周知されておらず、全軍騒然として進むことも出来ず退くことも出来ないようならば、敵の半分の兵力で敗ることができます。百戦しても危険な事はないでしょう。」

武侯問曰、吾欲觀敵之外以知其内、察其進以知其止、以定勝負。可得聞乎。起對曰、敵人之來、蕩蕩無慮、旌旗煩亂、人馬數顧、一可撃十。必使無措。諸侯未會、君臣未和、溝壘未成、禁令未施、三軍匈匈、欲前不能、欲去不敢、以半撃倍。百戰不殆。

武侯問いて曰く、「吾、敵の外を觀て以て其の内を知り、其の進むを察して以て其の止まるを知り、以て勝負を定めんと欲す。聞くを得可きか。」起對えて曰く、「敵人の來ること、蕩蕩として慮無く(注1)、旌旗煩亂し、人馬數々顧みば、一、十を撃つ可し。必ず措くこと無からしむ(注2)。諸侯未だ會せず、君臣未だ和せず、溝壘未だ成らず、禁令未だ施さずして、三軍匈匈として、前まんと欲して能わず、去らんと欲して敢てせざれば、半を以て倍を撃つ。百戰すれども殆うからず。」

<語釈>
○注1、直解:蕩蕩は輕忽なり。粗忽、軽はずみなこと。○注2、直解:必ず之をして倉皇として措くこと無しからしむ。「倉皇」は、あわてる様。敵をあわてさせて適切な措置を取れないようにさせること。

<解説>
武侯の質問に対する呉起の答えは不完全である。武侯の質問は、敵の外を觀て以て其の内を知り、其の進むを察して以て其の止まるを知るにはどうすればよいか、ということである。それに対する呉起の答えは、敵の外を見ることしか述べていないのに、十分の一の勢力で敗ることができる、半分の兵力で敗ることができる、と結論を述べており、内に相当するものがない。又進む、止まるに相当するものがない。不自然な章である。

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