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2019年10月08日11:12

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『孫氏』巻十一九地篇

                         巻十一 九地篇
孫子言う。軍を運用する法則として、以下の九地があり、それぞれに応じた法則がある。九地とは、散地・輕地・爭地・交地・衢地・重地・圮地・圍地・死地である。国内で家に近く、兵士の心に逃げ場があるような地を散地と言う。敵の領地に侵入したが、未だそれほど深く入っておらず勢いが軽い状態の地を輕地と言う。彼我どちらにも有利になりうる地を爭地と言う。彼我両軍俱に進むことができ戦いを交えることができる地を交地と言う。四方に道が通じており、一方で敵と対峙したとき、他方の国と和を結び援助を得られるような地を衢地と言う。我が軍の城郭を去り、敵地に深く入り勢いが重く盛んな地を重地と言う。山林・険阻・湿地帯・沢などがあり進むも退くも困難な地で、頼るものも無く軍が窮地に陥る地を圮地と言う。入り口は狭く、侵入したのはよいが、入り口を塞がれ、帰るには遠回りをしなければならない場所で、敵は少人数で我の多人数を撃つことができる地を囲地と言う。速戦即決すれば生存できるが、そうでなければ亡ぶような地を死地と言う。それ故に兵士たちの家族から離れていない国内である散地では、兵士たちの心が戦いに集中していないので戦ってはいけない。敵地に未だ深く入っておらず、勢いも盛んでない軽地では止まってはいけない。両軍俱に得れば有利になるような争地では、不利な状態にあるときは無理に攻めてはいけない。戦いを交えることができる交地では、各部隊の連絡を保つことが大事である。四方に道が通じている衢地では旁国と交わりを結ぶことが大事である。敵国に深く侵入し勢いが盛んな重地では、敵から食料を奪い取れ。進退が困難で窮地に陥りやすい圮地では、留まらずに素早く立ち去ることが大事である。出口を塞がれた囲地では、脱出する謀計を立てろ。このままでは死滅する恐れのある死地では、必死で戦え。世に言う古の戦争に巧みな者は、敵の前衛と後衛の連絡が取れないようにし、大部隊と小部隊との連携が取れないようにし、位の上の者と下の者との間にくさびを打ち込み互いに助け合わないようにし、奇計を用いて敵兵をバラバラにし、集合しても体制が整わないようにさせることができた。そして有利であれば動き、不利であれば止まるという判断力があった。それでは敵軍が大部隊で整然と向かって来ればどのように対応すればよいのだろうか。答えよう、敵が我より有利であると思っている地や食料などを奪えば、敵は我が軍の意のままになる。兵を用いる理は、速戦を主として、敵が油断しているところをつき、思いもかけぬ道を通って、備えの薄い所を攻撃することである。およそ敵に攻め込む側の道理として、深く入り込めば士卒の戦意は専一になって、敵は我が軍に勝つことはできない。それは敵地に深く入り込めば、そこの豊かな土地から食料を奪い全軍の食糧を確保することができるので、守りを固めて、士卒を十分に休養させ、気力を充実させ、その上でこの兵を謀計で動かし、敵が推測できないようにする。こような敵地では前後進退する所がなく逃げ場がないので、兵士たちはたとえ死んでも逃げることはしない。死を免れることができないから、どうして力を尽くさないことがあろうか。兵士は危険な状態に陥れば、覚悟を決めて恐れなくなり、逃げ場がなければその覚悟は堅個になり、敵地に深く入れば心は戦いに向けて専一になり、こうして窮地に陥れば兵士はやむを得ず敢然と戦うのである、このような訳で、将軍は兵を整え修めなくても、兵たちは自ら懼れて誡め、将軍が求めなくても、兵たちは自らその意に答え、将軍が兵に約束を与えなくても、兵たちは将軍に親しみ、いちいち命令しなくとも、兵たちはそれを守って将軍を信頼する。吉凶禍福の言を禁じ、疑惑の言を取り除くと、兵たちは死ぬまで余計な事を考えない。わが兵が余分な財貨を持たないのは財貨を憎んでの事ではない、わが兵が死を懼れずに戦うのは長生きを憎んでの事ではない。出撃の命令が発せられた当日、座っている者は涙で襟を濡らし、あおむけに寝ている者は涙が顎まで伝わる有様である。このような兵を必死の覚悟で戦うしかない所に置けば、かの有名な呉の專諸や魯の曹沫のような勇士になる。それゆえ、巧みな戦闘とは、率然のようなものだ。率然とは常山に住んでいる蛇である。この蛇はその頭を撃とうとすれば尾が助け、その尾を撃とうとすれば首が助け、その腹を撃とうとすれば首と尾が助ける。敢てお尋ねしますが、兵を動かすのに、この率然のように互いに助け合うように出来るでしょうか。答えよう。それは可能である。呉人と越人とは互いに憎み合う仲であるが、仮に同じ船に乗り合わせて強風に遭遇すれば、互いに左右の手のように助け合うものだ。軍隊にこのような一致協力をもたらすには、戦車の馬を並べて繋ぎ、戦車の車輪を地面に埋めて動かないようにして、陣の備えを固くするだけでは十分でない。衆人の勇気を等しくしそれを一にさせてこそ一致協力が得られるのであって、これこそが軍政の道である。強者も弱者も俱にその力を発揮させるためには地の利を得ることである。だから軍を上手に動かすものは、兵士全員を動かすのに、一人を動かすように使う。それは将軍の命に従わざるを得なくさせるからである。将軍のなすべき務めとして、敵には静かで奥深い謀を立て敵に悟られないようにし、部下には公正に整え治めて侮られないようにし、兵士たちが見たり聞いたりしてあれこれ考えることを極力させないようにし、一度行った行動や謀はその都度改め、兵士たちにその目的や理由が分からないようにし、軍の安居できる所を去り転々とし、進む道も遠回りして、兵士たちに推測させないようにして、必死の覚悟を持たせる。こうして将軍は兵士に戦いの期日を示せば、高い所に登らせて梯子を外すように、兵士たちを戦わざるを得なくなる。また将軍は兵と共に敵陣に深く入れば、弩の引き金を引いて発せられた矢のように真直ぐに進ませ、舟を焼き釜を壊して不退転の意を示し必死の覚悟を持たせ、羊の群れを駆り立てるようにどこへ行くか分からずに突き進ませる。このように三軍の兵を集めて危険な環境に置く。これが将軍の務めるべきことである。九地それぞれのの変化により、進退の利害、兵士たちの心の変化は左右されるのであって、この事は深く理解しておくべきである。およそ攻め入る側の道理としては、敵地に深く入れば兵士の心は専一になり、浅ければ散漫になる。國を離れ国境を越えて敵地で戦うのは自国から連絡を絶たれた絶地なのである。その絶地の中で四方に道が通じている所が衢地であり、敵地に深く入り込んでいる所が重地であり、浅い所が輕地であり、進退を塞がれ身動きが取れない所が囲地であり、進むべき道が無い所が死地である。だから兵たちの家から遠く離れておあらず、兵士の心が散漫になる国内の散地では、私は戦いに向けて兵士の心を専一にすることに務める。敵地にそれほど深く入っていない軽地では、私は兵士の心が揺るがないように、又いつ敵が来るか分からないので隊伍を連続するようにする。彼我どちらにも有利になりうる爭地では、私は前陣だけで突撃することが無いように後陣を速やかに進ませる。両軍が将に戰を交えようとする交地では、私は守備を固めることに務める。四方に道が通じているような衢地では、私は隣国と親交を結ぶ事に務める。敵地に深く入り込んだ重地では、糧道を確保して食糧が不足することのないようにする。山林や険阻な地や湿地帯などが有って容易に進めない圮地では、私は出来る限り速やかに通り過ぎることに意を注ぐ。出入り口が狭く敵に囲まれるような囲地では、私は敵が退路を開けていたとしてもそれを塞ぎ、兵士に必死の覚悟をさせる。速戦即決すれば生存できるが、そうでなければ亡ぶような死地では、私は兵士たちに戦って死ぬ以外に道はないことを示す。兵士の心理というものは、囲まれたなら防禦し、戰うよりほかに方法が無ければ戰うし、敵地に深く入り危難に陥れば将軍の命に従う。このような訳で、諸侯の謀を知らなければ、あらかじめその諸侯と親交を結んでおくことはできない。山林・険阻・湿地帯等地形を知らないものは、軍を進めることはできない。その土地の道案内をできる人を用いなければ、その地形上の利を得ることはできない。九地の利害の中で一地の利害さえも知らなければ、覇者の軍とは言えない。覇者の軍が大国を攻撃すれば、大国の衆も集まることが出来ず、威圧を示せば同盟国の諸侯も恐れて援助することができない。このような訳で、覇者は同盟国を得る為に他の諸侯と争う必要もなく、天下を治める為の権力を養い育てることもしない。ただ己の私欲を公言して、威圧を敵に加えるだけである。それ故に敵の城も国も破ることが出来る。賞罰はあらかじめ定めておくのではなく事に応じて行い、命令も敵に遭遇してから兵たちと誓い、そうして全軍の兵を一人であるかのように動かす。その為に兵を用いるには、言葉は不要である、ただ戦闘に放り込めばいいのである。また勝利につながることは述べて、害になるようなことを告げてはいけない。兵は窮地に置けば力を尽くして戦い生き残り、死地に置けば死を覚悟して戦い生き残る。兵という者は己を害する危険な地に置かれてこそ力を尽くして勝利を勝ち取る者である。だから敵と戦うときは、敵の思惑に時には従い時には偽り、謀を用いて敵を分散させずにただひたすらに一方向に進ませれば、遠く離れた敵の将軍も殺すことが出来る。これが戦いを巧みに進める者と言うのである。このような訳で、朝廷で戦争に対する政策と謀が定まれば、関所を閉鎖し割符を破棄し、使者の通行を禁止して秘密が漏れないようにし、朝廷では更に軍議を重ね謀を密にする。敵の間者がやって来れば、速やかにこれを入れて監視し、この間者により敵情を察し、敵が大事にしている者を先ず攻め、敵の間者にそれとなく攻撃の期日や目標を洩らして、帰国して報告するようにさせ、我が軍は敵の跡を踏み、敵に従いてその計を破って勝ちを制す。そのような訳で、初めは処女のように敵に従順なそぶりを示し、敵がつい油断すると、脱兎のごとく一気に攻め込むので、敵は防ぎようがない。

孫子曰。用兵之法、有散地、有輕地、有爭地、有交地、有衢地、有重地、有圮地、有圍地、有死地。諸侯自戰其地、為散地。入人之地而不深者、為輕地。我得則利、彼得亦利者、為爭地。我可以往、彼可以來者、為交地。諸侯之地三屬、先至而得天下之衆者、為衢地。入人之地深、背城邑多者、為重地。行山林險阻沮澤、凡難行之道者、為圮地。所由入者隘、所從歸者迂、彼寡可以撃吾之衆者、為圍地。疾戰則存、不疾戰則亡者、為死地。是故散地則無戰、輕地則無止、爭地則無攻、交地則無絶、衢地則合交、重地則掠、圮地則行、圍地則謀、死地則戰。古之所謂善用兵者、能使敵人前後不相及、衆寡不相恃、貴賤不相救、上下不相扶、卒離而不集、兵合而不齊。合于利而動、不合于利而止。敢問、敵衆整而將來、待之若何。曰、先奪其所愛、則聽矣。兵之情主速。乘人之不及、由不虞之道、攻其所不戒也。凡為客之道、深入則專、主人不克。掠于饒野、三軍足食、謹養而無勞、併氣積力、運兵計謀、為不可測、投之無所往、死且不北、死焉不得。士人盡力。兵士甚陷則不懼。無所往則固。深入則拘。不得已則鬭。是故、其兵不修而戒、不求而得、不約而親、不令而信。禁祥去疑、至死無所之。吾士無餘財、非惡貨也。無餘命、非惡壽也。令發之日、士卒坐者涕霑襟、偃臥者涕交頤、投之無所往、諸劌之勇也。故善用兵者、譬如率然。率然者、常山之蛇也。撃其首、則尾至、撃其尾、則首至、撃其中、則首尾俱至。敢問、兵可使如率然乎。曰、可。夫吳人與越人相惡也、當其同舟濟而遇風、其相救也如左右手。是故、方馬埋輪、未足恃也。齊勇若一、政之道也。剛柔皆得、地之理也。故善用兵者、攜手若使一人、不得已也。將軍之事、靜以幽、正以治。能愚士卒之耳目、使之無知。易其事、革其謀、使人無識。易其居、迂其途、使人不得慮。帥與之期、如登高而去其梯、帥與之深入諸侯之地、而發其機、焚舟破釜、若驅羣羊而往、驅而來、莫知所之。聚三軍之衆、投之于險、此將軍之事也。九地之變、屈伸之利、人情之理、不可不察也。凡為客之道、深則專、淺則散。去國越境而師者、絕地也。四達者、衢地也。入深者、重地也。入淺者、輕地也。背固前隘者、圍地也。無所往者、死地也。是故散地吾將一其志。輕地吾將使之屬。爭地吾將趨其後。交地吾將謹其守。衢地吾將固其結。重地吾將繼其食。圮地吾將進其途。圍地吾將塞其闕。死地吾將示之以不活。故兵之情、圍則禦、不得已則鬭、過則從。是故不知諸侯之謀者、不能預交。不知山林險阻沮澤之形者、不能行軍。不用鄉導者、不能得地利。四五者、不知一、非霸王之兵也。夫霸王之兵、伐大國則其衆不得聚、威加于敵、則其交不得合。是故不爭天下之交、不養天下之權、信己之私、威加于敵。故其城可拔、其國可墮。施無法之賞、懸無政之令、犯三軍之衆、若使一人。犯之以事、勿告以言。犯之以利、勿告以害。投之亡地然後存、陷之死地然後生。夫衆陷于害、然後能為勝敗。故為兵之事、在于順詳敵之意。幷力一向、千里殺將。是謂巧能成事者也。是故、政舉之日、夷關折符、無通其使、厥河廟之上、以誅其事。敵人開闔、必亟入之、先其所愛、微與之期、賤墨隨敵、以決戰事。是故始如處女、敵人開戶。後如脫兔、敵不及拒。

孫子曰く、「兵を用うるの法、散地有り、輕地有り、爭地有り、交地有り、衢地有り、重地有り、圮地有り、圍地有り、死地有り。諸侯自ら其の地に戰うを、散地と為す(注1)。人の地に入りて深からざる者を、輕地と為す(注2)。我得れば則ち利あり、彼得るも亦た利ある者を、爭地と為す。我以て往く可く、彼以て來る可き者を、交地と為す(注3)。諸侯の地三屬して、先に至りて天下の衆を得る者を、衢地と為す(注4)。人の地に入ること深くして、城邑を背にすること多き者を、重地と為す(注5)。山林・險阻・沮澤、凡そ行き難きの道を行く者を、圮地と為す(注6)。由りて入る所の者は隘く、從りて歸る所の者は迂にして、彼の寡、以て吾の衆を撃つ可き者を、圍地と為す。疾く戰えば則ち存し、疾く戰わざれば則ち亡ぶ者を、死地と為す。是の故に散地は則ち戰うこと無く、輕地は則ち止まること無く、爭地は則ち攻むること無く(注7)、交地は則ち絶つこと無く(注8)、衢地は則ち交を合わせ(注9)、重地は則ち掠め(注10)、圮地は則ち行き(注11)、圍地は則ち謀り(注12)、死地は則ち戰う(注13)。古の所謂善く兵を用うる者は、能く敵人をして前後相及ばず、衆寡相恃まず、貴賤相救わず、上下相扶けず、卒離れて集まらず(注14)、兵合うも齊わざらしめ、利に合いて動き、利に合わずして止む。敢て問う、『敵衆く整いて將に來らんとす。之を待つこと若何。』曰く、『先づ其の愛する所を奪えば、則ち聽く。兵の情は速なるを主とし、人の及ばざるに乘じ、虞らざるの道に由り、其の戒めざる所を攻む(注15)。』凡そ客為るの道、深く入れば則ち專にして、主人克たず(注16)。饒野に掠めて、三軍食を足し、謹み養いて勞すること無く、氣を併せて力を積み、兵を運らし計謀し、測る可からざるを為し(注17)、之を往く所無きに投ずれば、死すとも且つ北げず、死焉くんぞ得ざらん。士人力を盡くさん。兵士甚だ陷れば則ち懼れず(注18)。往く所無ければ則ち固し。深く入れば則ち拘す(注19)。已むを得ざれば則ち鬭う。是の故に、其の兵修めずして戒め、求めずして得、約せずして親しみ、令せずして信あり。祥を禁じ疑を去れば、死に至るまで之く所無し。吾が士餘財無きは、貨を惡むに非ざるなり。餘命無きは、壽を惡むに非ざるなり。令發するの日、士卒の坐する者は涕襟を霑し、偃臥する者は涕頤に交わる。之を往く所無きに投ずれば、諸劌の勇なり(注20)。故に善く兵を用うる者は、譬えば率然の如し。率然とは、常山の蛇なり。其の首を撃てば、則ち尾至り、其の尾撃てば、則ち首至り、其の中を撃てば、則ち首尾俱に至る。敢て問う、『兵は率然の如くならしむ可きか。』曰く、『可なり。夫れ呉人と越人とは相惡むも、其の舟を同じくして濟り風に遇うに當りて、其の相救うこと、左右の手の如し。』是の故に、馬を方べ輪を埋むるも、未だ恃むに足らざるなり(注21)。勇を齊えて一の若くするは、政の道なり。剛柔皆得るは、地の理なり(22)。故に善く兵を用うる者は、手を攜えて一人を使うが若くす。已むを得ざらしむればなり。將軍の事は、靜にして以て幽に、正にして以て治なり(注23)。能く士卒の耳目を愚にして、之をして知ること無からしむ。其の事を易え、其の謀を革めて、人をして識ること無からしむ(注24)。其の居を易え、其の途を迂にして、人をして慮ることを得ざらしむ(25)。帥、之と期すれば、高きに登りて其の梯を去るが如く、帥、之と深く諸侯の地に入りて、其の機を發すれば、舟を焚き釜を破り、群羊を驅りて往き、驅りて來るが若く、之く所を知る莫し。三軍の衆を聚め、之を險に投ず。此れ將軍の事を謂うなり。九地の變、屈伸の利、人情の理、察せざる可からざるなり。凡そ客為るの道、深ければ則ち專、淺ければ則ち散なり。國を去り境を越えて師する者は、絶地なり(注26)。四達なる者は、衢地なり。入ること深き者は、重地なり。入ること淺き者は、輕地なり。固を背にし隘を前にする者は、圍地なり。往く所無き者は、死地なり。是の故に散地には吾將に其の志を一にせんとす。輕地には吾將に之をして屬せしめんとす(注27)。爭地には吾將に其の後を趨らさんとす(注28)。交地には吾將に其の守りを謹まんとす。衢地には吾將に其の結びを固くせんとす。重地には吾將に其の食を繼がんとす。圮地には吾將に其の途を進まんとす。圍地には吾將に其の闕を塞がんとす(注29)。死地には吾將に之に示すに活きざるを以てせんとす。故に兵の情、圍まるれば則ち禦ぎ、已むを得ざれば則ち鬭う。過ぐれば則ち從う(注30)。是の故に諸侯の謀を知らざる者は、預め交る能わず。山林險阻沮澤の形を知らざる者は、軍を行る能わず。鄉導を用いざる者は、地の利を得る能わず。四五の者(注31)、一をも知らざれば、霸王の兵に非ざるなり。夫れ霸王の兵は、大國を伐てば、則ち其の衆聚まるを得ず、威敵に加うれば、則ち其の交り合うを得ず。是の故に天下の交を爭わず、天下の權を養わず。己の私を信べ、威敵に加わる。故に其の城拔く可く、其の國墮(やぶる)る可し。無法の賞を施し、無政の令を懸け(注32)、三軍の衆を犯すこと(十注:曹公曰く、「犯」は「用」なり)、一人を使うが若し。之を犯すに事を以てし、告ぐるに言を以てすること勿れ。之を犯すに利を以てして、告ぐるに害を以てすること勿れ。之を亡地に投じて、然る後に存し、之を死地に陥れて、然る後に生く。夫れ衆は害に陷いりて、然る後に能く勝敗を為す。故に兵を為すの事は、敵の意に順詳するに在り。幷敵一向して、千里に將を殺す(注33)。是を巧みに能く事を成す者と謂う。是の故に政舉るの日、關を夷(とどめる)め符を折りて、其の使いを通ずること無く(注34)、廊廟の上に劼泙掘以て其の事を誅む(注35)。敵人の開闔は、必ず亟かに之を入れ(注36)、其の愛する所を先にして、微かに之と期し、墨を踐み敵に隨い、以て戰事を決す(注37)。是の故に始めは處女の如し、敵人戶を開く(注38)。後は脫兔の如し、敵拒ぐに及ばず。」
辭数の関係から語釈と解説は省きました。ご覧になりたい方はホームページで閲覧してください。 http://gongsunlong.web.fc2.com/

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