亡国の海軍（42）

霧「１９２２年に締結されたワシントン海軍軍縮条約ですが、この条約は最も金食い虫で
　　ある戦艦に焦点を絞り過ぎたため、今度は戦艦以外の艦において新型艦建造競争が起
　　きてしまいました。そこで不備を改めるために内容を更新した条約が、ロンドン海軍
　　軍縮条約です。１９３０年に締結されました」
金「この条約ではまあ色々多方面にわたって制限がかけられることになったけど、戦艦に
　　関して言えば１９３７年まで戦艦の新造禁止と、既存戦艦の廃棄が決められマシタ」
三「既存戦艦廃棄については、イギリスが５隻アメリカが３隻日本が１隻と決まった」
比「そして日本が廃棄する１隻には、まだ近代化改装が完了していなかったワタシ比叡に
　　決まってしまったのです。ヒエーー（泣）」
榛「ただし条約には特記事項があって、３カ国とも廃棄する戦艦のうち１隻だけは、ある
　　改造をすれば練習用戦艦として残しても良い事になっていました」
霧「そのある改造というのは、一．最大速力は１８ノット以下とする、二．主砲砲塔は３
　　基以下とする、三．魚雷発射管装備は撤去、四．舷側装甲は撤去、というものでした」
金「こうして比叡はエンジンを低出力のものに置き換え、兵装や装甲の削減という工事を
　　行い、練習用戦艦に改造されたのデース」
比「ヒエーー（泣）、ワタシだけみんなと違って予備役扱いの練習艦に、ヒエーー（泣）」
榛「でもその代わり比叡お姉様は、練習用戦艦だから外洋に出て日本に不在となる事が少
　　ない、兵装減少により艦内スペースに余裕が出来た、という理由により天皇陛下がお
　　乗りになる艦、いわゆる『御召艦』となる栄誉を受けたじゃないですか」
霧「内装も豪華なものにしてもらい、常にピカピカに磨き上げられていて羨ましいです」
金「ロンドン海軍軍縮条約は日本の政治にも大きな影響を与えたけど、それはまた後で触
　　れることにするネー。ワタシと榛名と霧島は近代化改装されてどう変わったかナ？」
榛「まず最大の懸案だった防御力の強化です。水平防御強化には厚さ４インチの鋼板が追
　　加されました。また巡洋戦艦は垂直防御も不足している、とされていたので船体の外
　　側にバルジを追加して防御力を強化しました」